先日(2月16日)の日経新聞に返済猶予申請状況が公表されました。この数字は大手6銀行のみの数字ですので、地銀・信用金庫・信用組合などを合わせると、倍以上の数字になると思います。
新聞を読み忘れたという方やそんなニュースは知らなかったという方のために、公表された数字を転載しておきますので、参考にして下さいね。
| |
中小企業 |
住宅ローン |
件数 |
金額 |
件数 |
金額 |
三菱東京UFJ |
4.626
(945) |
2.346
(802) |
1.878
(2) |
316
(0.5) |
みずほ |
3.282
(830) |
2.048
(828) |
567
(50) |
99
(7) |
三井住友 |
5.320
(540) |
2.309
(421) |
835
(19) |
147
(3) |
りそな |
2.102
(773) |
1.249
(609) |
518
(38) |
98
(6) |
住友信託 |
13
(4) |
11
(6) |
59
(0) |
8
(0) |
中央三井 |
86
(11) |
46
(11) |
66
(01) |
15
(0.2) |
合計 |
15.429
(3.103) |
8.009
(2.677) |
3.923
(110) |
683
(17) |
データ出所:日本経済新聞(2月16日、朝刊)
金額の単位は億円。カッコ内は条件変更に応じた件数・金額
上記の集計期間は法施行(12月4日)~12月末時点
このような数字を見てしまうと、パッと見た感じ、すごい件数のような印象を受けますが、実情は“微増”との事ですから、中小企業金融円滑化法が施行されたからといって、たいしたインパクトはなかったように思えます。
でも、「金融機関が返済猶予に応じてくれる」という事をあまり理解していない方々も世の中に大勢いらっしゃた訳ですから、そのような方々に対してのアナウンス効果は若干あったのではないかと思います。
ここから先のお話は、リスケをしていない方に対してのお話になります、
すでにリスケ済みの方は次回の記事をお待ち下さいね。
しかし、いくら金融機関が返済条件を応諾してくれる法律ができたといっても、中には「今後借りれなくなるから」といって、資金繰りが厳しいにもかかわらず、頑張って約定どおりの返済を続けている会社がたくさんあります。
相談者の方にお会いしていると、「リスケはしたいけど、リスケすると銀行から今後借りれなくなりますよね?そうなるとヤバイから、リスケはしていません。」と答える経営者の方をたまに見かけます。
日経新聞の記事の中にも「条件変更を申し込むと追加の融資を断られるのではないかといった懸念が根強い」なんて書いてあるぐらいですから、そのように考えている経営者様はたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
確かに、一度リスケしてしまうと、新規の融資はなかなか実行されなくなってしまいます。(可能性は0ではないですが、かなりハードルが高いです)
制度上、「不良債権に分類しなくて良い」なんて書いてありますが、以前にもお話ししたように、実際はかなり厳しいです。
新規の融資を受けるには、約定弁済に戻った後、数ヶ月間の実績を作らない限り、融資を実行されないのが実情です。ですから、「借りれなくなるから・・・」と腰が引けてしまう気持ちはよくわかります。
今後借りれなくなってしまえば、不測の資金ニーズに対応する事が難しくなり、厳しい経営環境におかれてしまうことは痛いほど理解しております。
でも、「借りれなくなるから・・・」といって、頑張って返済を続けてしまうと、後々よい結果を招く事はあまり少ないです。
そもそも、「リスケをしたいけど、借りれなくなるから・・・」と考えるようになってしまう状況を、冷静に考えてみて下さい。
「リスケをしたい」という事は、すでに資金繰りが悪化してきているからこそ、そのように考えるのであって、約定どおり返済しても、資金繰りになんら問題がなければ「リスケをしたい」などと考える事はありませんよね?
事業が黒字で、毎月常に月商の2~3ヶ月分の現金が留保されている状況であれば、「リスケしたい」なんて考える事は無いはずです。
しかし、「リスケをしたい・・・」と考えているのであれば、状況はかなり厳しいはずです。
返済負担もさることながら、事業が赤字ということも考えられます。
そのような状況に置かれているのに、資金繰りが厳しいのを我慢して、約定どおりの返済を続けていても、後々さらに苦しくなるのは目に見えています。
現状で資金繰りが厳しいというのであれば
「借りれなくなるから・・・」なんて悠長な事を考える前に、
「資金繰りをどのように確保するか?」という観点で、
会社の資金繰りを真剣に考え、これ以上の資金流出を最大限食い止めてください。
それに、無理な返済を続けてしまうと、たいていの場合、次のような弊害をもたらす事が非常に多いです。
- 経営者の役員報酬減額
(実質0というケースが多いです。)
- 親戚・知人から引っ張る
「すぐ返すから」といって借り、返せない事が多いです
- たまたま目にした怪しいDMに食らいついてしまう
金利がハンパなく高い、いわゆる闇金
- 大口の取引先の支払いができなくなってしまう
手形を振り出していれば、「不渡り」に怯える事になってしまいます
あるいは、
資金繰りの危機を察知した有能な社員が真っ先に辞めてしまう事になります。(たいていの場合、有能な社員ほどすぐにいなくなります。悲しいですよね・・・)
上記の項目を見るとゾッとしますよね・・・
「うちはそんな事にはならない」なんて思いましたか?
そう言って、数ヵ月後、上記のような負のスパイラルにはまってしまったケースを私は数え切れないほど目にしてきました。
あなたはそんな目にあいたいですか?
誰も好き好んでそんな目にあいたくないですよね。
ですから、資金繰りが厳しいのであれば、「借りれなくなるから」なんて考えず、素直にリスケするべきなのです。
「借りれなくなるから」なんて先々の事を過剰に心配しても、会社自体が無くなってしまえば何の意味もなさないのですから。
リスケ期間中に取り組む事
単純に返済を止めただけでは、問題の先送りに過ぎません。リスケ期間中、経営改善に取り組まない限り、資金繰りの厳しい状況は一向に改善されません。
元金の返済がストップしても、金利は払う事になるのですから、金利分だけでも利益を確保しない限り、会社が潰れてしまう事になるからです。
ですから、「支払いが減ってとりあえず楽になった。」とホッとせずに、「これからが正念場だ」という意気込みを持って、経営改善に着手して下さい。返済による資金流出が無くなる訳ですから、本業が黒字であれば、資金繰りの問題は無くなるはずです。
リスケ期間終了後、約定どおりの返済が難しい時は
リスケ期間中、経営改善に取り組んでいても、約定どおりの返済に戻す事が不可能な場合もあります。
そうなってしまうと、強行回収されてしまうのではないか?
という心配事が浮かび上がってくると思いますが、大丈夫です。
そのような時はリスケの期間を延ばしてもらう事で、対応する事もできます。
また、「約定どおりの返済は無理でも約定の○割は返済はできる」
という事であれば、そのように交渉し、対応することも可能です。
上記のように柔軟な対応ができるのですから、今現在「借りれないから」と考えてリスケを躊躇しているなら、考えを改めた方がよいのではないでしょうか?
借りる、借りないなどと言っていられるのも会社があるうちだけです。会社がなくなってしまえば、元も子もありません。
会社が無くなってから「あの時、リスケしておけば・・・」なんて考えても手遅れなのですから・・・