自社の在庫を担保に融資を受ける (在庫担保融資)

銀行融資を断られ、リスケジュール(返済条件の見直し)を実行したとしても、どうしても資金が足りない時があります。多額の季節資金や、「仕入れの関係上、どうしても○月にはまとまった資金が必要だ」といった場合、リスケジュール中の企業は資金調達ができず、困り果ててしまうケースがあります。

そのような時、最も有効な資金調達方法である、ABL(流動資産担保)という資金調達方法があります。

ここ数年のうち、「リスケジュール」という言葉と同じぐらいの広がりを見せているABL。(そう思い込んでいるのは私だけ?)

ここ1ヶ月の面談相談を振り返ってみると、「そんな方法は初めて聞きました」という方がいらっしゃったので、今回はABLについてお話していきます。

(無料レポートで簡単に紹介しているんですけどね・・・)

 

ABL (流動資産担保融資)

一言でABLと言っても、大まかに3つに分かれます

  • 在庫担保融資
    《文字通り、在庫を担保に融資を受ける》
  • 売掛金担保融資
    《売掛金を担保に融資を受ける》
  • 将来債権担保融資
    《家賃収入などの将来発生する収入を担保に融資を受ける》

です。

今回は在庫担保融資に関してお話していきます。

 

在庫担保融資

在庫担保融資とは、あなたのお店や工場、倉庫内にある商品、仕掛品、半製品、原材料を担保に融資を受ける事ができる制度です。

どのような物が担保になるのかといいますと、ワイン・焼酎・日本酒といった酒類から、カニ、水産加工品、冷凍食品、リンゴ、胡蝶蘭、家畜(豚・牛など)、アクセサリー、衣料品、宝石、電化製品などなど、原則的に、どのような物(在庫)でも担保になります。

 

実際にどれぐらいの融資を受ける事ができるのか、あなたが最も知りたいところでしょうが、 在庫担保融資の場合ですと、在庫の30%が掛け目となっているケースが多いです。

ですから、1億円の在庫があれば、3000万円を上限に融資を受ける事ができるといった具合です。

 

一応、保証協会の説明では、

第三者の客観的評価が得られた場合等、金融機関および信用保証協会が相当と認めた場合は、70%を上限として引き上げることが可能です。
とは言っていますが、実際にそのような事はまれで、大抵は30%ぐらいのものです。

リスケジュール中の急な資金ニーズに答えるには、上記のような方法を使って、短期資金を調達する事ができます。

「これからリスケジュールを申請しようかと思っている」というようなご相談をいただく際に、リスケジュールとあわせてご提案させていただいております。「どうしても仕入れのお金が足りない」という時には有効です。

 

在庫担保融資のデメリット

一見すると、「凄くいい方法なんだ」という印象を与えてしまうかもしれませんが、当然、デメリットも存在します。良い事の裏には、必ず相応のリスクが潜んでいます。

  • 金利が高い。
  • 返せなければ在庫を処分されてしまう。

というリスクがあります。

金利は、通常の融資と比べ、若干高いです。(手形割引と同等、もしくはそれ以上と思って下さい)

また、返済できなければ担保提供している在庫をすべて処分される事になってしまいます。在庫が無くなってしまえば、営業が完全にストップしてしまいますから、確実に倒産します。

ですから、「ABLを活用して急場を凌ごう!」 と考えたら「とりあえず借りてみよう」的な、安易な発想ではなく、綿密な資金繰り計画を立て、「どう計算しても、確実に返済が可能」という時だけ、利用して下さい。

ざっくばらんに立てた計画は大変危険です。商品がなくなってしまっては、商売ができなくなってしまいますから、あまり楽観的に考えずに、「返済できない = 100%倒産」という事を認識した上で、利用して下さい。

使い方が正しければ、とても有効な資金調達方法ですが、使い方を間違ってしまうと、一生後悔する羽目になってしまいますので、慎重に慎重を重ねて、検討して下さい。

 

ただ、新規の融資を受ける事ができないからこそ、ABLを活用するのであって、 検討に時間がかかり過ぎて、イザ、申し込んでみても、

「予定していた支払日までに融資を受ける事ができなくなってしまった」  という事態も考えられますから、迅速に資金繰り状態を把握し、ABLの活用をするのかしないのかを 短期間のうちに判断して下さい。

 

どこで申し込めばいいの?

一応、信用保証協会で取り扱ってます。

通常の保証枠と別に、

保証金額 2億円
保証料 0.68% ~ 0.85%
(都道府県によってまちまちです。)
保証割合 80%

というような好条件で保証を受ける事ができます。

一見すると、かなり好条件で、とても良さそうな印象を受けますが、ここには思わぬ伏兵が待ち構えております。私があえて「一応」 と言ったのはそのためです。

 

信用保証協会は、あなたも分かっていると思いますが、融資を実行する事はありません。債務の保証をするだけです。実際に融資を実行するのは、銀行です!

ここがすごくネックとなるのです!

保証協会が100%保証してくれるなら、お金は簡単に出てくると思います。というか出すでしょうね。どんな事態が起こっても元金が100%保証されているのですから、融資を出さないほうがクレイジーです。100%儲かるビジネスなんですから。

でも、融資にかかわる保証割合は「保証協会8割:銀行2割」です。銀行としては2割のリスクを背負わなければならない羽目になります。

在庫を担保提供するあなたからしたら、「うちも担保提供するんだから、2割ぐらいいいだろ!」と思うかもしれませんが、ABLを申し込んでくる企業というのはリスケジュール中の企業が多いです。(多いというより、ほとんどそうなるでしょうね、必然的に。)

リスケジュールをするという事は、約定どおり返済する事ができないぐらい資金繰りが苦しい訳ですから、そんな危ない企業に融資を出すのは腰が引けてしまう場合が多いのです。

さらに!

銀行からしたら、いくら在庫を担保に取っているといっても、在庫など「なんだかよく分からない物」ですから、あまり積極的に融資をしてくれる訳ではありません。

もし、融資したお金が貸し倒れてしまった場合、処分するのも難しいですし、管理するのも面倒です。

そんな面倒な方法で融資を実行するぐらいなら、わざわざそんな熱い会社に手を出さなくても、健全な企業に営業をかけて、借りてもらった方が楽です。

実際に申し込んでみた方なら分かっていると思いますが、まず、断られる事になります。

中小企業庁のホームページなどでは、積極的にアピールされてはいますが、実務上、まだまだ使い勝手はよくありません。そのため、実際に利用している企業は、ノンバンクを利用する事が圧倒的に多いのです。

 

実際に利用するならノンバンク!

ノンバンクというと、「高金利でキツイ取立て」というイメージを持っている方がまれにいらっしゃいますけど、(“まれ”どころではないかも知れませんね)正しく利用すれば、これほど使い勝手の良い物はありません。

ノンバンクに対して抵抗を持っている方は、「できれば保証協会で利用したい」と考える人が多いですが、「保証協会申し込み → 銀行審査」となると、正直けっこう時間がかかります。しかし、ノンバンクであれば、そこまでの時間を必要としません。

確かにノンバンクは金利が高いですが、2~3ヶ月の短期利用でしたら、そこまでの負担にはなりませんし、何より、スピーディーに融資が実行されます。

そもそも金利が高いといっても、長期で借りれるものではありませんし、(流動資産という性質上、長期には向かない)使い方さえ間違わなければ、危険はありません。

 

ただ、しつこいようですが、「多分大丈夫」、「まあ、返せると思うよ」といった大雑把な予測ではなく、確実な入金予定があり、過去のデータを何度検証したが、確実に返済可能という時だけ、利用して下さい。

適当な計画を立てて、倒産のトリガーを引いてしまわないように、細心の注意を払って利用し下さいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている