周りの方々から心理的に破産に誘われる例

経営者の方が破産を決断する時、ご自身で破産を決断するのが殆どだと思いますが、そうでないケースもあります。

経営者の方が自ら破産を選択し、決断するのではなく、第三者による洗脳まがいな暗示により、破産する必要なんて全く無い状態で、破産してしまうケースがあるのです。

洗脳による破産の例

顧問の専門家が経営者を取り囲んで「破産しか無いですよ」とか、「もうこの辺りが限界ですよ。清算いう選択肢も視野に入れた方が良いかもしれませんね」等と囁いて、破産するよう心理的に誘っているシーンに遭遇する事があります。

都心部ではこうしたシーンに遭遇する確立は低いですが、地方へ行くとこうしたシーンに遭遇する確率は結構高いです。

例えば、地方の方から相談依頼を受ける際に「当社の顧問○○士も同席してもらっても良いですか?」と言われる事が良くあります。私からしたら、経営者の方と1対1であっても、3名、5名、10名同席しても、流れる時間は変わりませんので「先方さんと社長が良ければ、何名同席しても私は気にしません」と伝えてます。

質問攻めで進行を妨げられ、時間が伸びてしまうような事があると困りますが(帰りの交通機関の関係上)時間通り面談が終るようであれば、いくら質問されても気になりません。

経営者の方から顧問の専門家同席の確認があると、だいたい3者で今後の方向性を検討する事になります。ここまでは別に良いのですが、問題はこの後です。

現況をヒアリングし、今後の方向性を話し合う時に「その方法は難しいんじゃないんですかね…」等と言って、洗脳が始まったりするケースが本当に多いのです。

私も笑いながら「そんな事ありませんよ、そもそも、先方にまだ話もしていないじゃないですか。やる前からそんな事を言っても前に進まないですよ」と、すかさず前向きなフォローを入れるのですが、たいていの場合、深刻そうな顔で「非常に難しいのでは…」と言われます。

過去の実例

今でも忘れないのが、手形ジャンプの案件です。

某県のハウスメーカーさんですが、800万の手形が決済日に決済できそうにないという事で、1ヶ月以上、悩みに悩みつづけ、私に連絡してきました。

手形を振り出した先や資金繰りを見る限り、大掛かりなことをしなくても「手形ジャンプだけで乗り切れる」と思い、社長にそのように伝えたところ、面談に同席した顧問の方々から、一斉攻撃を受けました。

  • ジャンプなんてできる訳が無い(相手が応諾するわけが無い)。
  • そんな事をしたら信用不安が起こり、いっきに売上が減る。最終的には同じ結末を辿る。
  • ここは受任通知を出した方が話がまとまりやすい。

etc、etc…まあ、かなりの反論を受けました。

反論は慣れているので、あまり気に留めず手形ジャンプをするように理論的に説明したのですが、同席した方々は

  • ジャンプしても多分駄目だろう
  • 潔く破産した方がいい

等と訳の分らない、それこそ理論的ではない破産ありきで話が進んでしまいました。この時ばかりはちょっと意味が分りませんでした。

私に相談する前に、経営者の方が取引先に相談して、「ジャンプなんて絶対にダメだ!勘弁して欲しい!」と言われているならまだしも、取引先に相談した訳でもなく、机上の空論だけで、「手元にある○百万円で破産した方が良い。ちょうど破産費用に充てられるから、破産のチャンスは今しかないですよ。」等と破産する事が前提で話が進んでしまうのですから、訳が分りません。

存続するために設けられた打ち合わせが、なぜか、破産するためにはどうするか?という打ち合わせに切り替わりつつありました(というか、完全に切り替わってました)。

20年近く続いた会社が、破産する必要なんて全く無い状態で、破産への道へ一直線に進もうとしているのですから、もう訳が分りません。

結局、この場では「やっぱり破産しか無いのかな…」なんて、諦めムードで打ち合わせが終了しましたが、帰り、社長に車で駅まで送ってもらう時に、「本音を言えば破産なんてしたくない。もうどうしたらよいか分らない。せっかく来てもらったのに、こんな話になって申し訳ない。終わる時って呆気ないですね。ハハハ。」なんて、すでに洗脳完了状態。

「とにかく、すぐに決めない方がいいですよ。」とだけ伝え、社長と別れました。

結論を言うと、この会社はまだ存続しています。本当にギリギリまで悩み、顧問に内緒にして、ジャンプをしよう!と決断し、「ジャンプを断られたら諦めよう」と意を決して取引先に行ったら、二つ返事でOKを貰ったとの事。

交渉の様子を聞いたら、「なんでもっと早く来ないのか!ギリギリに来られるとウチも困る、社長今度はもっと早く言ってよ(笑)」等と、冗談交じりで言われたとの事。

結局、あれから2年経っても事業を続けてますし、取引先との関係も悪化していないとの事。今でも一緒にゴルフをしたり、飲みに行く仲だと言います。

あのまま「破産しかない」という雰囲気に呑まれ、破産手続きをしてしまったら、今の社長はありません。仕事を失い、家も競売にかかり、何もかも失っていたことでしょう。そう考えると恐ろしいですね。

 

まとめ

どんな状況においても、破産しか方法が無いというのはあり得ません。破産以外の解決策が必ず存在します。

このまま事業を続けても赤字続きなので整理するほか無いという状態でしたら、破産も選択肢の一つになりますが、この例でも分るとおり、破産は数ある選択肢の中の一つで、「破産しか無い」ということではありません。

いろんな専門家の意見を聞く事は大事だと思いますが、まず、経営者の方が十分な情報と知識をもって、焦らずに冷静に判断を下すことが経営危機場面では非常に重要だと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている