負債にも簿価と時価という概念がある

「ウチは債務超過だから、倒産するしか道はないですよね。」

債務超過状態にある方からご相談を受けると、このような質問をされる事があります。債務超過が原因で資金調達が難しくなるのは間違い無いと思いますが、債務超過が原因で倒産する事はありません

毎月の収支が赤字で、キャッシュがどんどん出て行くような状態であれば、さすがに倒産すると思いますが、毎月の収支がトントン、若しくは黒字であれば、債務超過だからといって倒産するような事はあり得えません。

要するに、「債務超過だからといっても、資金繰りが回っている間は倒産する事は無い」のです。

 

債務超過状態だと、銀行からの借入は難しくなる

債務超過状態に陥ると、金融機関からの借入が難しくなります。銀行との付き合いや、今後の仕事の受注などによって、必ずしも断られる訳ではありませんが、銀行は基本的に債務超過状態の企業に対して、積極的に融資をしようとしません。そのため、突発的な売上減・売上増という事態が起こった際、耐える事ができなくなってしまいます。

ですから、いずれ、債務超過状態を解消しなければなりません。

債務超過を解消するにはどのような方法が考えられるのか

では、債務超過を解消するには、どのような方法が考えられるでしょうか。

一般的には、

  1. 遊休資産を売却し、売却代金を弁済に充当して負債を減らしていく。
  2. 事業を立て直し、利益を出して負債を減らしていく

という方法が基本だと思います。

収益獲得力を高める努力を続け、たくさん稼いで地道に負債を減らしていくというのは、当たり前だと思いますが、これ以外に方法は無いのでしょうか。仮に、「債務超過を解消するのに、どれだけ頑張っても○十年かかる」というような場合であっても、頑張って稼ぐしか、方法は無いのでしょうか。

 

負債にも簿価と時価という概念がある

負債を圧縮する際、資産を売却して返済に充当するケースがあると思います。遊休資産を売却し、売却資金を弁済に充当し、負債を圧縮していく。という事になるのですが、資産を売却する時の売却価格は時価で取引される場合が殆どです。

資産を取得した時の価格(簿価)で資産を売却する事という事は、資産価値が上がらない限りまずありませんから、通常は時価で取引されるのが一般的です。そのため、資産を売却する時は時価で評価されるのが一般的です。

時価で資産を売却し、売却代金を返済に充当し、負債に充当する。ここで負債総額を見ると、ある矛盾が発生する事に気付くと思います。その矛盾とは、「資産は時価で取引されるのに、負債は簿価のまま残っている」という受け入れがたい大きな矛盾が発生するのです。

資産が時価評価なら、負債も時価で考えてしまえば気楽

資産は時価評価で売買されるのに、負債は簿価のまま返済していくという考えは、正直、ナンセンスだと思います。今の経営状況で返せない負債があるのであれば、負債も時価で評価されるべきなのです。

具体例を出しましょう。
例えば、負債総額を100と想定します。
年間で2の返済しか出来ない場合、負債を全額返済するには50年掛かる計算になります。
50年後の将来なんて想像つきますか?つかないですよね。先の事なんて誰にも分りません。

ここで債権者と交渉して、10年間、この返済を続けるよう交渉するのです。
2の返済を10年続ければ、20の返済ができる計算になります。
100ある負債総額のうち、20の返済がなされたので、残りは80になります。

この80の部分に関しては、債権者側で処理してもらうのです。

このように負債を時価評価する事により、債務超過を解消する事ができるのです。

ちなみに、こういった例は珍しい事でもなんでもなく、普通に行われている事ですから、負債を額面どおり受け取って、債務超過解消に○十年かかるとか考えても、あまり意味が無いのです。

決算書上、債務超過だからといっても別に大きな問題にはなりませんから、「ウチは債務超過だから、もう倒産するしか道がないですかね。」なんて、考える必要などまったく無いのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。
平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている