教科書に書いてあることと、実務上の取扱は異なる

この仕事をしていると、専門家の方とご一緒させていただく事がよくあります。クライアント様の再生計画を策定する際、専門的な部分、例えば、税務や法務などの部分を専門家の方にチェックしていただく事があるのです。

また、専門家の方々の難解な言葉を、経営者の方に分りやすく翻訳するような事をしたりするので、そのような場面で専門家の方と一緒になる事が多いのです。

実務に長けている方とご一緒できると、いろんな話が聞けてすごく面白いのですが、たまに、教科書丸暗記の方と頭の固い方とバッティングする事があります。

これが非常に疲れるのです。

この場でしか言えませんが、面倒くさくて途中で帰りたくなるぐらい、嫌になる事もあります。

以前、こんなケースがありました。

販売業と不動産業を営む方がいたのですが、販売業が若干不振になってきたため、別会社を作り、販売業を事業譲渡し、旧会社は不動産業の営業に切り替え、旧会社の負債を圧縮しましょうという事で動いた案件がありました。

別会社を作る際、法律家の方に会社の設立を依頼し、会社設立の手続きをするところまでは良かったのですが、

手続きの際、法律家の方に「なぜ会社を設立するのか?」と聞かれたので、細かい事情を色々と話してしまい、これがきっかけで少々面倒な事になってしまったのです。

何が面倒なのかと言いますと、法律家の方にこんな事を言われたみたいなのです。

「別会社を作るのは良いとして、事業を譲渡して、旧会社の支払いを止めるとの事ですが、借地権があるから、差押えがうんたらかんたら。その、瀬間氏の言ってるとおりにはならない。法律を甘く見ている。いいですか、借地権というのは…」

というような感じで、これからやろうとしている方法のダメ出しを食らってしまったのです。

 

法律家の方にこのように言われたクライアントの方は

「瀬間さん、先生が言うには、差し押さえされて、あの土地を使えなくなるみたいです。そうなると、不動産業の収入が完全に無くなります。やっぱり、何もしない方が良いのでしょうか。」等と、心がグラグラ揺れてきたので、これはマズイと思い、フォローの電話を入れました。

「いいですか、教科書どおりに言えば、その先生の言うとおりであるのは間違いありません。でも、実務上は違います。差押えして、止めを刺すような事はされません。この計画通り支払っていけば、問題ないのです。」と、フォロー入れたのですが、

「瀬間さんの事ももちろん信用してますが、法律家の方もその分野に特化しているみたいで、正直、何をどう決めればよいのか分らなくなってきました。」

等と言い出したので、これ以上、電話で話してもラチがあかないと思い、三者でお会いする事にしました。

法律家の方、クライアント様、私の3人でお会いしました。

3人で会うなり、真っ先に「この方法は詰めが甘い!」というところから話が始まり、借地権に関する講義が展開されました。教科書に書いてある事ばかり早口でまくし立てられたので、ちょっと眠くなってしまいました。

法律家の方の一方的な話が終わりそうな頃を見計らい、私の方からプライドを傷つけないよう、細心の注意をはらってこのように回答いたしました。

「過去の判例や、法律的な枠組みに当てはめれば、先生のおっしゃることは確かに正論です。六法全書にもそのように書いてあります。ただ、実務上、そのような事はまずされません。話し合いで折り合いがつきます。

似たような案件に何件か関わりましたが、脅しでそのように言われるぐらいで、実際やるかと言えば、それは別の話です。先生のおっしゃるリスクはありますが、実際に起こる確率はもの凄く低いです。

生活を守るという観点からしたら、私が考えた方法でこのまま進めた方が、生活を犠牲にする事も無く、債権者も極大回収が図れます。リスクを恐れて不動産事業を手放したら、クライアント様が飯が食えなくなりますよ。」

と、丁寧に回答したのですが、法律家の方は気に食わないようで、

私が絶対に正しい!

と言わんばかりに、その後も数十分程度、先生の講義を受ける羽目になりました。

立派な事務所を構え、やり手女性法律家というような感じではあるのですが、基本的に的がズレており、しかもご自身の非を絶対に認めないので、話してて疲れました。

結局、実務上何もされずに私の言うとおりになり、全てが丸く収まりました。

 

後日、クライアントの方が法律家の方に経緯を報告したら、「へ~、そうですか。」と、それ以上、その話に触れようとしなかったみたいです。

この仕事をしていると、たまに、こういう方とバッティングします。

もちろん、考えが柔軟な方もたくさんいて、いい先生もたくさんいるのですが、こういう方とバッティングすると、非常に疲れてしまいます。

こういう方とバッティングすると、消耗するだけで、学べる事が何一つ無いので、ホントに苦痛なのです。まあ、この仕事はいろんな方に会えるから面白いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている