事業再生を検討するタイミングはいつ?【判断するポイントは6つ】

今のところ銀行が融資してくれるから資金繰りに困って無いけど、この先どうなるか分からない。

資金繰りが悪化する前にいろいろ対処できるようになるのが理想だけど、事業再生を検討するタイミングが何時なのか分からないから判断のしようが無い。

資金繰りに困ってから「今後どうすれば良いのか」等と考えても遅いと思うから、事業再生を検討する具体的なタイミングがあれば教えて欲しい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

目次

事業再生を検討するタイミングは早ければ早いほど良い

資金繰りにお悩みの経営者様からよく、「事業再生を検討するタイミングは何時なのか?」というご相談を受ける事が多いですが、結論から言うと、検討するタイミングは早ければ早いに越したことはありません。

理由は、資金繰りが悪化する前に事業再生の検討をする事ができれば、取引先や社員、税金・社会保険等といった支払いをジャンプしたり、延払いを依頼しなくて済むからです。

このような状況に陥ってしまうと、企業価値は急速に毀損します。

資金繰りが厳しいという情報は同業他社に漏れるケースが殆どなので、風評被害も起こります。

ひとたび企業価値が毀損してしまうと、そこから挽回するのはものすごく時間がかかりますので、資金繰りが悪化する前のタイミングで事業再生を検討される事をおすすめします。

資金繰りに詰まってから事業再生を検討するようでは遅い

資金繰りに詰まってから事業再生を検討する場合、打てる手立ては限られます。

事業再生は基本的に費用がかかりますので、資金繰りに詰まってから事業再生を検討しても、選択肢が残されていないケースが殆どです。

例えば、第二会社方式や土地・建物の保全図るために任意売却を検討するような場合があるとします。

こうした手法は基本的にコストがかかりますので、資金繰りに詰まってから検討しても、実行できない場合が殆どです。

ちなみに、以下の記事で第二会社方式について詳しく解説していますので、是非どうぞ。

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特に、任意売却で土地・建物の保全を図るような場合、資金繰りが悪化する前であればスムーズに進める事ができると思いますが、資金繰りが悪化してから検討するようでは、保全が非常に難しくなります。

理由は、「任意売却のファイナンスをする際に頭金が必要になるから」です。

一例を挙げると、時価相場5,000万円の物件を任意売却するような場合、買受先となる法人は相場価格の20%である1,000万円の頭金が必要になります。

任意売却のファイナンスは基本的に時価相場の80%が上限ですので、残りの20%は自己資金で賄う必要があるからです。

ちなみに、以下の記事で任意売却について詳しく解説していますので、是非どうぞ。

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資金的な余裕があるうちに決断することができれば頭金を用意する事もできると思いますが、余裕が無くなってから事業再生を検討するようでは、選択肢も少なくなります。

そうなると様々な保全策も絵に書いた餅で終わりますから、資金繰りが悪化する前に事業再生を検討した方が良いのです。

事業再生を検討するタイミング6つ

事業再生コンサルタントとして10年以上活動している筆者の経験から、事業再生を検討するタイミングを6つ紹介します。

  • 2期連続で赤字になることが確定した時
  • 新規融資を依頼したら長期の借換えを提案された時
  • 新規融資を断られた時
  • 長期の運転資金の融資を依頼したら短期でしか貸せないと言われた時
  • 借入金月商倍率が6倍を超えたとき
  • 債務償還年数が10年を超える場合

上記のとおりです。

2期連続で赤字になることが確定した時

前期の決算が赤字で、今期決算も赤字の見通しが高い、あるいはほぼ間違いなく赤字が確定しているような場合、事業再生を検討するタイミングだといえます。

理由は単純で、銀行は2期連続で赤字を計上した企業に対する融資は消極的になるからです。

赤字が1期だけであれば、「【銀行融資】赤字決算でも融資を受けることはできる?【可能だけど簡単ではないです】」という記事でも解説しているとおり、事業計画書や資金繰り表などの資料を提出し、今後の見通しを説明することで融資を受けれる可能性はありますが、2期連続で赤字決算を出したとたん、銀行は融資先に対する見方がガラッと変わります。

2期連続で赤字になる事が確定した時は、事業再生を検討するタイミングと言えます。

新規融資を依頼したら長期の借換えを提案された時

銀行に折返しの融資(いわゆる「ハネ資金」)を依頼したら長期の借換えを提案された場合、事業再生を検討するタイミングだといえます。

理由は、長期の借換えを実行してしまうと、今後の新規融資は数年間、非常に難しくなるからです。

借換えを実行してもらった後に融資の相談を行うと、その後の選択肢は下記2つしかありません。

こうしたことからも、長期の借換えを提案された時は、事業再生を検討するタイミングだと言えます。

新規融資を断られた時

タイミングとしては遅いですが、新規融資を断られたら事業再生を検討するタイミングなのは間違いありません。

新規融資を断られるということは、「銀行融資を断られた!謝絶理由を教えてくれない理由と融資を断る原因を解説」という記事でも解説しているとおり、借入過多、収益性の低下という諸問題を抱えているからこそ融資を断られる訳ですから、事業再生を検討するタイミングであることは疑いようがありません。

長期の運転資金の融資を依頼したら短期でしか貸せないと言われた時

新規融資の依頼をした際に、「短期なら良いけど長期では難しい」と言われた場合、事業再生を検討するタイミングだと言えます。

長期で借りれないということは、銀行からすると「長期で貸すのはリスクが高い」と判断しているからこそ短期を勧めてくる訳ですから、今後、さらに融資を絞られる事になるのは想像に難くありません。

短期を返済できている間は良いですが、一度でも期日に返済できなくなると今後の新規融資はほぼ絶望的になりますので、新規の融資を依頼した時に「短期なら融資する」と言われたら、事業再生を検討するタイミングだと言えます。

借入金月商倍率が6倍を超えたとき

借入金月商倍率は、有利子負債(金融機関借入)を平均月商で割ることで算出できる非常にシンプルな指標です。

借入金月商倍率の計算方法
  • 有利子負債 ÷ 平均月商(年商 ÷ 12)

一般的に、金融機関からの借入が月商の1~2倍程度の借入が健全と言われており、6倍を超えるようだと借入過多と判断されことが多いです。

シンプルで分かりやすい指標ではあるのですが、運転資金と設備投資の借入を全てまとめて計算する指標であるため、業種によって当てにならないケースが少なくありません。

例えば、製造業等で工場を新設したり設備投資を行った場合、長期の借入は膨れ上がりますが、この時、単純に「有利子負債 ÷ 平均月商」で考えても、資金繰りの実態とはマッチしません。

なぜなら、設備資金の借入は設備投資後に増加する利益で返済する事を前提としている借入となりますので、返済期間が長いです。

こういった性質の借入と通常の運転資金の借入を混同して考えたところで資金繰りの実態にマッチしませんので、この指標で借入金の状況を考える際は注意が必要です。

債務償還年数が10年を超える場合

「債務償還年数」とは、既借入金をキャッシュフロー(税引き後利益 + 減価償却)で全額返済するのに必要な年数を図る指標の事を言います。

詳しくは「銀行融資の指標「債務償還年数」を分かりやすく解説【基礎知識】」をどうぞ。

債務償還年数の基本的な計算方法は下記のとおりです。

債務償還年数の計算方法
  • 債務償還年数 = 有利子負債(借入) ÷ 返済財源(当期利益+減価償却)

債務償還年数が10年を超えると、新規融資は難しくなります。

というのも、金融機関は債務償還年数が10年未満が望ましいと考えていますから、債務償還年数が10年を超えると「貸し過ぎ」と判断します。

ちなみに、金融機関が求める経営改善計画や、公的な支援機関が策定する事業再生計画でも、既借入金を10年以内に全額返済する計画(最長でも15年以内)を策定することが求められます。

つまり、債務償還年数が10年を超えそうな水準にある時は、事業再生を検討するタイミングだと言えます。

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まとめ

以上、事業再生を検討するタイミングを6つ紹介しました。

おわり。

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