一口に「資金繰りが厳しい」といっても、感じ方は人それぞれ

一口に「資金繰りが厳しい」と言っても、ご相談者様によって状況は様々です。

本当にヤバイところもあれば、「言う程ヤバく無いでしょ?」と思うところもあり、まあ、感じ方は人それぞれですよね。

その中でも、強烈な印象が残っているご相談者様がいるので、今回はその方のお話をしたいと思います。

 

今から3年前の夏の日の事。

「銀行融資の返済が行き詰まり、今月、倒産するかもしれない。スグに会いたいので、明日来て欲しい。役員全員でお待ちしています。」

というご相談依頼がありました。

 

電話でおおまかな現況をお伺いしたのですが、ご相談者様がいうような状況であれば、確かにマズイと思ったので、翌日、ご相談者様のもとへ向かう事にしました。

 

会社に行くと、受付で社長の息子さんが私を待っていてくれました。

「社長室で役員全員お待ちしてますので、どうぞお入りください。」
と言われ、社長室へ直行する事に。

社長室には家族全員が揃って、お出迎え。役員は全員家族との事でした。

役員全員との名刺交換も終えたころ、早速、ヒアリングを実施し、財務諸表に目を通しました。

 

財務書評を見て、気になる点がいくつか出てきたので、回答可能な範囲内で答えてもらう事にしました。

まず最初に、自己資本比率が50%を超えている事が非常に気になったので、早速、質問してみました。

 

「ちょっと伺いたいのですが、この数字は実態に近いですか?」

 

「はい、先々月が決算で、その間の収支はトントンですので、恐らく実態だと思います」

 

「あ。なるほど。そうですか。」

決算書上は大幅な資産超過状態。具体的な金額は言えませんが〇億円の資産超過状態です。

この状態でナゼ、資金繰りが厳しいのか?イマイチ合点がいかないので、気になるところをドンドン突っ込んでみました。

 

「この不動産は自社ビルとおっしゃってましたが、この数字は取得時の簿価ですか?」

 

「いえ、違います。建物は毎年キチンと償却してます。土地については取得時より値上がりしてますから、簿価より若干価格が高いと思います。」

 

「なるほど、そうですか。」

この辺りも問題なさそうだ。
この次に、お決まりの売掛金について、聞いてみる事にしました。

「過去に、取引先の掛け売りがひっかかった事はありますか?」

 

「昨年、200万ほど引っ掛ってしまいました。その数字はまだ残ってます(決算書上)。」

 

「200万ですか、そうですか。」

月商2億の企業が、掛け売りの200万円が引っ掛かったところで、倒産のトリガーを引くわけが無い。

何が問題なのかと考えながら負債の項目を見たら、かなり不自然な状況が目に留まりました。

負債が全て、短期の借り入れなのです。

 

「長期借入金は無いのですか?」

 

「無いです。長期ではあまり借りた事が無いです。」

驚くべき事にこの会社、長期で借りた事は不動産購入時しかなく、商売上で長期の借り入れをした事がほとんど無いと言うのです。

しかも、借入は全てプロパーであり、それ以外の借り入れが全く無いとの事。 これは簡単に解決すると思いました。

 

保証付き融資が全く無く、決算内容も悪くありません。保証付き融資を申し込んで、後は営業拠点の統廃合で問題解決と思い、

「借り入れが全てプロパーでしたら、保証付き融資を借りたらいいじゃないですか。この内容でしたら、全く問題ないですよ。」

これで問題解決と思い、このように提案したら、耳を疑うような事を聞かれました。

 

「瀬間さん、すいません。保証協会って何ですか?

 

「えっ?もちろん、信用保証協会ですけど、それが何か?」

 

「銀行ではなく、保証協会というところが事業資金を貸してくれるのですか?」

 

「はい?えっと。。」

 

「すいません、初めて聞いたもので、勉強不足ですいません。」

 

「えっ?保証付き融資を借りた事は無いのですか?」

 

「初めて聞いたので、借りた事はありません。」

最初、冗談かと思っていたのですが、役員全員、超真剣です。

中小企業でこんな企業もあるのかと、驚いていたら、役員の方が、

「実は、銀行以外の金融機関からお金を借りた事が無いので、そういう制度というか、機関がよく分からないのです。」

 

今までいろんな会社に呼ばれましたが、こういった質問をされたのは初めてです。

これから起業するという方ならともかく、業歴60年以上あるような会社から「信用保証協会ってなんですか?」と聞かれるなんて、誰が予想できたでしょうか。

贅沢な悩みというか、なんというか、「資金繰りが厳しい」という方々の実情は、財務諸表を見たり、深堀したヒアリングを実施してみないと本当のところは分からないという事を改めて思い知らされるようなケースでした。

 

「資金繰りが厳しい」

どこからも借りる事ができず、「資金繰りが厳しい」と言う方もいれば、

借りる当てに全く困らない方でも、「資金繰りが厳しい」と悩んでいたりするのですから、感じ方は人それぞれなのだなと思います。

 

相談が終わり、駅までタクシーで帰ろうしたら、社長が「是非、駅まで車で送らせて欲しい」とおっしゃってくれたので、遠慮なく送ってもらう事にしました。

社長と雑談しながら、車が停めてあるガレージに行くと、そこには家族全員の車が停まってました。

 

家族人数分のBMW。

 

これで資金繰りが厳しいと言われてもな。。
感じ方はほんとうに人それぞれだと思いました。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている