事業再生の第一歩は決断する事です。

半年に一度、定期的にお会いするご相談者様がいます。

先月、7回目のご相談依頼を受けたので、この方と知り合って、3年半経ったという事でしょうか。

 

ご相談の内容は毎回ほとんど同じで、現状報告と、今後の方向性について。ご相談の後は、毎回雑談になるのですが、雑談の内容は「あの時こうしておけば」というお話です。

 

この方と初めてお会いした時は、「会社分割を検討しているので、アドバイスが欲しい」という事でお会いしました。

大幅な債務超過状態にあるため、今の現状ではとうてい返しきれない。過剰債務を解消し、事業再生に向けて動きたい。すぐに取り組みたいので、是非、手伝って下さい。

という事で、顧問契約を締結しました。

 

実態調査を経て、会社分割に向けて、顧問税理士の方や顧問弁護士の方と何度もミーティングを重ね、再生計画を作り上げました。この次ぎの段階として、債権者への根回しをするだけです。

大口の取引先にはある程度事情を話してあったので、後は、最大債権者であるR銀行への説明だけです。

R銀行へはすでに「相談したい事がある」とアポイントを取ってあるとの事なので、後は、銀行の反応を待つだけです。このままトラブルが起こらなければ、すんなり事が進むと思っていましたが、そううまい事いきませんでした。

 

社長の突然の心変わり

R銀行とのアポイントの前日に、社長から私のもとへ電話がかかってきました。

 

「瀬間さん、すいません。やはり、会社分割などはせずに、今の体制で継続したいと思ってます。」

 

「え~っ、そうなんですか?社長が決めたのでしたら、私は構わないですが、本当にそれで良いんですか?」

 

「はい。大丈夫です。大丈夫というのもおかしな台詞かもしれませんが、ひとまず、大掛かりなことをせず、今の体制で続けます。」

 

「他の先生方には伝えましたか?」

 

「顧問弁護士には先ほど伝えたので、明日の朝一に顧問税理士にも伝えておきます。土壇場になって、ほんとうに申し訳ないです。」

 

「大丈夫です。よくある事ですから。明日のR銀行はどうしますか?」

 

「適当に「返済の事で相談したい」とでも言っておきます。」

 

「そうですか、分かりました。」

ある程度の費用をかけて、再生計画を策定しましたが、結局、土壇場になって計画を実行に移しませんでした。

最大債権者であるR銀行を敵に回すのではないか?
R銀行から融資を受けている、親の会社にまで迷惑がかかるのではないか?
という恐怖心から、実行に移す事が出来なかったのです。

 

まあ、このように考えてしまう気持ちも理解できなくも無いのですが、やはり、ここ一番で決断できないと、現況を変える事などできません。

経営者の仕事は「決断する事」です。社員や外部の人間に決断はできません。

「やる」のか「やらない」のかといった最終的な判断は経営者がします。

経営者の方が判断を保留すればするほど、状況は現状維持か、若しくはそれ以下になってしまいます。

会社が傾き出している時こそ、迅速な決定が必要だと思います。

 

意思決定は難しいです。
意思決定に絶対の正解はありません。

どんなに頭を捻ったって、正解がでてくる事はありません。正解が無いのですから、迅速に決めてリカバリーできる時に手を打たなければならないのです。

 

あれから6回ほどお会いしてますが、雑談する度に、毎回、こんなやり取りがあります。

「やはりあの時、会社分割した方が良かったですかね?」

 

「そうですね。終わった話ですから、蒸し返しても仕方ないと思いますが、やっておいて悪い方向には行かなかったと思いますよ。」

 

「そうなんですよね。やはりあの時・・・。」

 

このように考える気持ちも理解できるのですが、それでも、やはり、トップが決断を下さなければならないのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている