負債の多寡によって、再生が簡単とか難しくなるというのはあまり関係ない

最近は少なくなりましたが、たまに、「うちの会社は借金が多いから、もうダメでしょ」とおっしゃる方がいます。事業再生に関する書籍などをたくさん読んでいる方にはあまりそのような事を言われませんが、そうでない経営者の方から、よく、このような事を言われます。

結論から言いますと、基本的に、負債の多寡によって、再生が簡単とか難しくなるというのはあまり関係ありません。

逆説的に感じると思いますが、負債が多ければ多いほど、再生はやりやすいのです。

先日、負債をカットする件について、お話しさせて頂きましたが、

負債の金額が少ないと、債権カットの交渉が難しいという「債権放棄のパラドックス」

2013.07.17
事業再生を考える上で、負債の多寡を問題と捉えるよりも、損益の中身が非常に重要となるのです。

 

例えば、”営業利益が出ているが、負債が多く、年間の利払い負担が大きいため、結局、毎年の経常利益が赤字になってしまう。”というケースであれば、負債をなんとかすれば、経常利益が黒字になる訳ですから、黒字幅にあわせて負債をカットすれば、その会社は再生に向かって進む事ができます。

かなりざっくりとした説明だと感じたと思うでしょうが、これが事業再生の本質です。負債の金額がいくらあっても、事業自体が黒字であれば、その会社が倒産する事はあり得ません。

難しいようで、簡単に答えが出るケース

ここ数年で一番多いご相談が、「リーマンショック以降、売上が半減した」というご相談です。

  • 年商20億近くあったがいっきに10億前後に半減した。
  • 最盛期には5億の売上があったがリーマンショック後、売上が下降の一途を辿り、今では1億前後まで下がってしまった。

このような大幅な売上減に見舞われたケースを非常によく聞きます。
年商と負債総額がほぼ同額というケースです。

こういった状況の方からご相談を受けると、「借金が多くて、とにかく大変だ」というお話をよく聞きます。でも、よくよくヒアリングしてみると、たいていの場合、このような回答が返ってきます。

「営業利益はなんとかギリギリ出せていますが、金利負担が多すぎて、個人の金で補填してます。」
「売上は半減しましたが、会社の規模に合わせてリストラしたので、営業利益はなんとか黒字です。」

こういうケースでしたら、負債を適正な額までカットする事ができれば、事業再生に向けて進む事が可能。という結論を出しやすいです。

でも、そうでないケース、例えば、営業利益がマイナスだと、再生がけっこう難しくなります。コストカットや、原価の見直し、営業の見直し等に着手する事により、営業利益が黒字転換すればよいのですが、そうでない場合は非常に難しいものとなります。

本当に再生が難しいケース。

限界ギリギリまでコストカットに着手し、従業員全員が普段よりもめちゃくちゃ営業を頑張ってくれても、営業利益を出す事ができない。といったケースは再生が難しいです。

こういったケースは、事業自体が赤字なのですから、負債の多寡はほとんど影響を及ぼしません。いくら負債をカットしたところで、赤字補填のための借入を起こさないと事業自体が回らないですから、また借りる事になります。

そうなると、赤字補填の借入が膨れ上がりますので、このようなケースは再生が難しいです(また、こういったケースはスポンサーの協力を得難いです)。

以上のことから、「うちの会社は借金が多いから、もうダメでしょ」という考えは、あまり意味が無く、考えるべきポイントは、事業自体の利益獲得能力の有無となるのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている