疑心暗鬼になっている方から相談を受けると話がループする事が多い。

昨日、3年ほど前にご相談依頼を頂いた方からご連絡をいただきました。今期の決算書が会計事務所から届いたので、スカイプで相談したいとの事でした。

昨日は都内に行かず、事務所で書類作成、電話ミーティングしか予定が無かったので、スカイプ相談を快諾しました。

スカイプをオンラインにすると、田中社長(仮名)の笑顔が画面いっぱいに出てきました。その後、経理の娘さんもカメラに写り、3人で軽く雑談をしました。元気そうな姿を見ると、こっちまで嬉しくなってしまいます。

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はじめて会った時は疑心暗鬼の塊だった

今でこそ、こんなやり取りをしていますが、私がはじめて田中社長(仮名)にお会いした時は、もう、ビックリするぐらい疑心暗鬼の状態でした。

私が応接室で待っている時、壁を隔てた向こう側で娘さんと田中社長(仮名)が言い争っていたのが印象深いです。

田中社長

てめーバカ野郎!
勝手にコンサルタントなんて呼びやがって!
この時期に余計な経費を使いやがって!
テメーが責任持って自腹で払えよ!

社長の娘さん

お父さんが自分で答えを出せないから、専門家の人に来てもらったんでしょ。
いいから早く名刺を用意して、きちんと挨拶してよ!

田中社長

会社では社長と呼べって言ってるだろ!

社長の娘さん

みんな営業に出てて、誰もいないから良いでしょ!
とにかく、応接室に行って挨拶して。

片道6時間近くかけて訪問し、着いた矢先にこんな感じですから、先が思いやられるなという感じでした。

疑心暗鬼になっている方とお話しすると話がループする

疑心暗鬼になっている方から相談を受けると、同じ会話内容が3~5回ほどループするケースが少なくありません。まるでレコードの針飛びみたいです。

私が田中社長(仮名)から相談を受けた時も、やはり、何度か同じ内容がループしていました。

ちなみに、ご相談の内容は下記のとおりです。

リスケ中だが、利払いも難しくなり、他に借りるあても無くなってきた。
支払いをストップしたいが、金融事故になると、担保に入れている自宅が競売にかけられてしまう。そのため支払いストップを躊躇している。

上記の相談内容に対し、筆者は下記のように解決策を提案しました。

筆者

利息の支払いも厳しいような資金繰り状態であれば、無理して利息を支払い続けるよりも支払を全ストップして、守りたいものの優先順位をつけて守った方がこのケースだと良いですよ。

筆者がこのように提案したところ、話がループしました。

この先どうなるのか?という部分を押さえないと話がループする

田中社長

そんな事したら、大変なことになるじゃないですか!

筆者

ご心配されている大変な事とは、どのような事でしょうか。

田中社長

競売に掛けられたり、差押えられたり、訴訟沙汰にもなりますよね。

筆者

競売になるかどうかはまだ確定していませんし、交渉の余地は十分あります。

また、今の時点で決断できれば任意売却の交渉や買受先を探す時間も十分ありますよ。

田中社長

もし、取引先の売掛金を差押えられたらどうするんですか?
そうなったらウチの会社は終わるじゃないですか!

筆者

金融機関が売掛金を差押えるようなことはほとんどありません。

もしどうしても心配ということでしたら、今のうちに差押えされない状態を作れば良いだけです。

田中社長

そんなに簡単に行くんですか?
もし、訴訟沙汰になったらこの先やっていけなくなるじゃないですか。

筆者

そうですかね?私が今までお会いしてきた方は、訴訟を起こされても事業を続けてますよ。気持ちの問題だと思うのですが。

田中社長

とにかく、大変な事になるだろ。

筆者

今のお話以外に、懸念されている事が他に何かありますでしょうか。

田中社長

競売に掛けられたり、差押えられたり…。

・・以下、話はひたすらループします。

先が見えない恐怖は判断力を鈍らせる

ご相談を受ける際、ご相談者様が懸念している事柄に関して全て払拭するように説明しているのですが、何度説明しても同じ事を聞いてくる方もなかにはいらっしゃいます。

これは、経験した事の無い先の見えない恐怖が起因していると思うのですが、何回説明しても同じ事を聞かれるケースがあるのです。

予め知識があれば、こうした恐怖も払拭しやすいと思うのですが、全く知識が無い状態で始めて聞かされる事を決断しようとするのは、なかなかどうして決断し難いものです。

田中社長(仮名)とお会いした時は、最終的に「他に手は無い」という事で、ご提案した方向性に進むことを決断されはしましたが(しぶしぶ承諾したという感じではありましたが…)、100%理解している訳ではないので、帰り際もめちゃくちゃ怪しんでいました。

このようなやりとりが過去にあったものの、今では笑顔で明るく元気に接してくれるのですから、まあ不思議なものです。

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