事業譲渡で商号を継続しようとする場合、「名板貸責任」がつきまとう

「できれば、商号をこのまま継続したいんですけど。」

事業譲渡に関する相談や、打ち合わせをしている際によく言われる言葉です。業暦が長ければ長いほど、言われる可能性が高くなります。

20年、30年も会社が続けば、商号を変えたくないという気持ちも痛いほど理解できるのですが、事業譲渡を行う際は、正直、止めた方が良いです。

余計なトラブルを招くだけです。

事業継続が前提で事業譲渡を行う際、新会社を設立し、旧会社から事業に必要な経営資産を新会社に移転する事になります。(経営権を第三者に渡さない事業譲渡の場合)

この、旧会社から事業を譲受ける新会社を設立する際、基本的には旧会社の商号と異なる商号をつけるのがセオリーですが、長年事業を営んできた経営者の方は「できれば、同じ商号を使いたい」と考えている方が少なくありません。

 

商号の継続は名板貸責任という問題が付きまとう

旧会社の商号を続用しようとする場合、「名板貸責任」という問題が出てきます。

この「名板貸し」というのは、商号を第三者が使用して営業する事を許諾することを言います。

 

事業譲渡を行う際、その事業の譲渡人(旧会社)の商号を継続して使用する場合、譲渡人(旧会社)の営業により生じた債務について譲受人(新会社)が責任を負う事を定めています。

商号が旧会社と同じだと、旧会社の債権者から「商号が同じなんだから、オタクの会社も連帯して債務を負担せよ」と言われてしまい、連帯して債務を負担するハメになるのです。

これは判例にもありますし、実際に名板貸責任を問われたケースを見た事があります。長年続けてきた事業の商号に愛着があるかもしれませんが、ここは気をつけて下さい。

「商号が変わっても、事業継続が実現できるのであれば良しとしよう」と割り切って下さい。

 

余談ではありますが、商号を第三者に勝手に使用されているのを放置した場合でも、名板貸人の責任を認めています。
腹立たしいですよね。これは。。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている