「末期症状」とよく言うけれど、どのような状態が本当の末期なのか?

仕事柄、「ウチは末期なんです。」というご相談を受ける事が少なくありません。特に、有利子負債が多く、銀行借入が不可能という方は、かなりの確率で「ウチは末期です。」という事を口にします。

気持ちは分かりますが、財務資料を拝見し、資金繰り状況をヒアリングしてみると、たいていの場合で、「この程度で末期なんて言ってたら、殆どの企業が末期という事になりますよ」と感じる事が殆どです。「借入が多いんです。」とか、「返済が苦しいんです。」というぐらいでは、末期症状という事はほとんどありません。

それでは、どのような状態が末期なのか、私が思う「これは末期症状だ」と感じるポイントを上げていきたいと思います。

本当の末期症状とはどのような状態なのか?

私が思う、末期症状とは下記の3点です。

  1. 役員報酬を貰っていない。
  2. 売上の目途が全く立たない。
  3. 経営者の方が重度の鬱になっている。

以下、簡単に解説していきたいと思います。

1. 役員報酬を貰っていない。

「末期なんです」と口にする方から決算書を拝見させて頂く際、私は必ず「役員報酬はきちんと手に乗ってますか?」という質問をします。

この時、「報酬を取らないと生活ができないので、そこはきちんと貰ってます」と言われたら、そこで一安心できるのですが、末期になると、①役員報酬を決算書上計上し、②報酬を受け取った事にするが結局は会社へ貸し付ける。という事に手をつけているケースを見かけます。

要は、数字上帳尻は合うけど、手元資金が全く無い状態。ですね(現金が手に乗っかっていない状態)。

これが、直近1年以内の出来事なら、「末期」とは思いませんが、この状態が何年も続いていると、「これは末期かもしれない」と感じてしまいます。

2. 売上の目途が全く立たない。

売上が下降しているというぐらいでは、売上規模に合わせて事業を縮小していけば資金繰りは回りますから、すぐにどうこうという事は考えにくいです。

しかし、

  1. 例年、この時期になるとあるはずの受注がぱったりと無くなった。
  2. 商品・サービスが全く売れなくなった。(売上ゼロのレベル)

という事であれば、「末期症状」に該当するかと思います。

経営者の方が重度の鬱になっている。

鬱の程度にもよるのですが、経営者の方が会社に出社せず、役員が好き勝手している会社は末期症状だと思います。

社長が出社せずとも、会社を支えてくれる役員が居てくれれば良いのですが、金が絡むとそうはいかないケースがあります。社長が鬱で出社しない事を良い事に、会社の金を好き勝手使うという事はよく聞く話です。

  • 社用車が増えた、若しくはドイツ車になっていた。
  • 旅費交通費、接待費が増大した。

というケースですね。

役員が勝手に、借入やリース契約を締結してしまい、連帯保証人の欄は社長の個人名を記入され、知らぬ間に負債が増えているなんてケースもよくある話です(要は食い物にされているという事ですね)。

鬱を克服し、現場に出て、陣頭指揮を執ることができるレベルまで復活できれば良いですが、“鬱から抜け出せず、好き勝手やられ、どうする事も出来ない。”という話を経営者様や、ご家族の方から話を聞くと、「こりゃ末期だな」と感じてしまいます。

以上が私が感じる「末期症状」です。

 

まとめ

ご覧いただいてお気づきかと思いますが、ここまでの説明で「借入が多いから末期だ。」という事はまず出てきません。

ですから、「借入が多いので苦しいんです。だからウチは末期なんです。」というケースは、返済の方法を調整すれば良いだけなので、負債が多い・銀行から借りれない=(イコール)末期というのは、正しい認識ではないのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている