中小の再起業しやすく 私的整理時、私財一部残す 政府が新指針、経営者の没収懸念を払拭【日経新聞】

12月1日の日経新聞に、下記のような記事が出ていました。


中小の再起業しやすく 私的整理時、私財一部残す 政府が新指針、経営者の没収懸念を払拭

政府は、業績が悪化した中小企業の経営者が転業したり再び起業したりしやすくするため、早期に会社清算や再建に取り組める仕組みを作る。

新たな私的整理の指針を設け、最大460万円程度の生活費や自宅などの財産を経営者の手元に残すことを認める。

経営者が個人財産を全額没収される懸念を取り払い、中小企業の新陳代謝を促す。

参考リンク2013/12/01 日本経済新聞[電子版]
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この記事をパッと見た感じ、政府が中小企業支援策に力を入れているというメッセージを受け取る事ができますが、実際の現場で運用となると、話は大きく変わってきます。

 

記事内容のポイントは下記の通りです。

  • 会社の残債を経営者に保証させる「経営者保証制度」の抜本的な見直し。
  • 経営者の手元に一定の生活費として99万~460万円程度の範囲で現金を残すことを認める。
  • 生活拠点となる自宅も「華美でない」場合は残す。
  • 経営者責任については、私的整理になったという理由だけで一律に経営者の交代を求めないよう配慮する。
  • 経営者が個人財産を売って弁済後の残債は、金融機関が債権放棄に柔軟に応じる。

 

会社の残債を経営者に保証させる「経営者保証制度」の抜本的な見直し。

これはもの凄く難しいことだと思いますし、モラルハザードを引き起こしかねない問題を孕んでいると思います。
※借りた者勝ちのような感じですね

私のような仕事をしている立場の側からしたら、経営者保証制度の見直しというのは、ウェルカムだと思いますが、融資を実行する金融機関からしたら、どうでしょうか。

回収の保全がきかなくなる訳ですから、融資に対してもの凄く慎重になりますよね。

そもそも、中小企業の決算書自体、信憑性がほとんど無いわけですから、そこでさらに、経営者の保証を見直すとなると、資金調達がもの凄く難しくなると思います。

 

経営者の手元に一定の生活費として99万~460万円程度の範囲で現金を残すことを認める。

金額のレンジが広すぎて、どのようにこれを認めていくのかが非常に疑問です。破産のように「現金は99万円まで!」といった感じで決まっていた方が運用しやすいのではないでしょうか。

 

生活拠点となる自宅も「華美でない」場合は残す。

これについても、曖昧過ぎて「誰が華美かどうかを判断するのか?」というところが甚だ疑問です。
何をもって「華美」と判断するのか、明確な基準が無い限り、判断できませんよね。

 

経営者責任については、私的整理になったという理由だけで一律に経営者の交代を求めないよう配慮する。

これについては、評価したいところではあります。

ただ、交代した方が良い方も極稀に見かけます。

  • マネジメント能力の欠如
  • 借入金の私的流用

など

こういったケースの場合はやはり、交代した方がよいのかな~とも思います。

 

経営者が個人財産を売って弁済後の残債は、金融機関が債権放棄に柔軟に応じる。

個人資産がどこまでの範囲かによるかと思いますが、担保物件であれば任意売却による債務弁済後、残債についてはサービサーへ債権譲渡。

というのが通常の流れだと思いますが、これがどのように変化があるのか、注視していきたいところではあります。

 

この指針がきちんと運用される等と、思わないほうが良いでしょう。

なんだか文句ばかり言っているように思われてしまうかもしれませんが、この指針にケチつけている訳ではありません。「再起業を目指す意欲ある経営者を支援する」という本指針の趣旨には、非常に賛同できますし、評価したいところです。

ですが、実際にこれを運用するとなると、超えなければならないハードルがいくつも待ち受けているため、手放しで喜べるものでは無いという事は間違いないと思います。

そもそも、この指針自体に法的な拘束力無いですから、「どうやって現場で運用していくの?」と思っちゃいます。法的な拘束力が無いという事は、現場の裁量に任されるという事になります。現場の裁量に任せてしまうと、金融機関は前例主義ですから、この指針が出たからといって、右へ倣えで従うとは到底思えません、

金融庁の金融検査マニュアルのように、ルールブックなどがあれば、話は変わってくるでしょうが、現時点においては、過度な期待は禁物だと思います。

 

この指針は年度内に発効する予定みたいですが、実際に運用されるのかどうか、未知数です。事例があれば、今後、お伝えしていきたいと思いますが、そう簡単に事例が出てくるとは思えない指針です。

せめて、きちんとしたルールが制定されれば話は変わってくるんですけどね。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている