返済猶予を受けてきた中小企業が廃業を促されても、廃業を決断するのは債務者です

前回のお話の続きとなりますが、廃業を促すという部分について、敏感に反応した方もいらっしゃったので、もう少し具体的にお話ししたいと思います。今回はちょっと長いと思います(笑)

前回のお話しは下記をクリックしてください

返済猶予を受けてきた中小企業は廃業を促されてしまうのか?

2014.04.03
日経にあのような記事が出ていましたが、金融庁の監督指針は今に始まった事では無く、実は、平成23年5月頃から、一部改正案の中に含まれており、この改正案も同日適用となっております。

ですから、経営者保証ガイドラインの適用に併せたかのように公表しているのではなく、平成23年度の改定によって、明確に表明されていたのです。

 

廃業を促すとニュースに出てはいますが、廃業を決めるのは債務者です。

「廃業を促す」というのは、読んで字の如く、促されるという事です。
「儲からないなら止めなさい」とか、「約定弁済に戻せないなら会社を整理しろ」という事を言われる事ではありません。

 

促すという事は、

  • 事業を止めてはどうですか(今のうちに)?
  • そろそろ撤退も視野に入れた方が良いのでは?
  • 今のうちに撤退された方が、傷も浅いですよ。

という感じで、あくまで提案の範疇だと思います。
ですから、「金を返せないなら廃業しろ」という事ではないのです。

金融機関は最大債権者とはいえ、株主でも何でも無い訳ですから、そのような決定権等ありません。ですから、あくまで「ご提案」という形しか取れないと思います。この提案に伸るか反るかはあなた次第という事です。

続けたければ続ければ良いですし、「家と現金が残るなら・・・。」と思えば、提案に乗れば良いだけです。

 

金融庁の監督指針に“事業の持続可能性が見込まれない顧客企業”との記載があるにはありますが

監督指針をよく見て頂くと、「顧客企業のライフステージ等の類型」というカテゴリがあり、下記のようにカテゴライズされた類型があります。

事業の持続可能性が見込まれない顧客企業 (事業の存続がいたずらに長引くことで、却って、経営者の生活再建や当該顧客企業の取引先の事業等に悪影響が見込まれる先など)

「いたずらに長引く」って、結構キツイ言い回しだと思いますが、要するに、経営改善が見込めない先は、お金が手元に残っている間に、生活再建のため、廃業を促される(提案)という扱いになると思われます。

 

それを裏付けるかのように、この類型に対する金融機関のソリューションが下記のように記載があるのです。

参考リンク 金融庁サイト
※ページ中ほどに記載があります。

  • 貸付けの条件の変更等の申込みに対しては、機械的にこれに応ずるのではなく、事業継続に向けた経営者の意欲、経営者の生活再建、当該顧客企業の取引先等への影響、金融機関の取引地位や取引状況、財務の健全性確保の観点等を総合的に勘案し、慎重かつ十分な検討を行う。
  • その上で、債務整理等を前提とした顧客企業の再起に向けた適切な助言や顧客企業が自主廃業を選択する場合の取引先対応等を含めた円滑な処理等への協力を含め、顧客企業自身や関係者にとって真に望ましいソリューションを適切に実施。
  • その際、顧客企業の納得性を高めるための十分な説明に努める。

真ん中の項目の中ほどに、「自主廃業を選択する場合」という記載がありますよね。あくまで、「選択」という事ですから、廃業させるために金融機関が何かアクションを起こすという事では無いのです。

 

廃業のソリューションの一つに、経営者保証ガイドラインがある

経営者の方が廃業を選択した時の解決策として、今年の2月に施行された「経営者保証ガイドライン」が活きてくるのです。

今まで、資産超過状態の企業が廃業してしまったら、事業資産が急速に減価してしまい、実質債務超過に陥ってしまった!なんて事はよくある話です。帳簿上、資産超過状態だから、今のうちに廃業しようと思い、いざ、会社を整理してみたら、担保に差し出していた家を売らないと、金融債務を整理できないという事が起こっていたのです。

こうした問題を解決するために、「経営者保証ガイドライン」があるのです。

 

ですから、経営改善が見込まれない企業に対しては、「廃業しなさい」という事では無く、「お金が残るうちに廃業した方が良いですよ。今なら、経営者保証ガイドラインで自宅とある程度の現金が残せますよ!」という対応になると思っています。

 

廃業を促されて事業を辞める方は、どれぐらいいるのか未知数ですが・・・。

ただ、廃業を促されたからといって、事業を諦める経営者の方は、私の感覚ではあまり多くないと思います。特に、私のブログを読んでいる方は、「石にかじりついてでも継続したい」とい考えてる方が圧倒的多数ですから、廃業を提案されても「ハイそうですか」とすんなり受け入れる方は少ないと思います。

年齢的に「事業継続がキツイ」と思っている方であれば、「そろそろ潮時なのかな」と思うかもしれませんけどね。該当するとしたら、こういった方が多いのかなと思います。

M&Aで売却できれば理想だと思いますが、売るにもけっこう時間がかかりますし、(売れるかどうかも分からないです)自宅と多少の現金が残れば、後は年金と保険・共済等が入るから、辞めても良いという方は、提案を受け入れるかもしれませんね。

 

長くなってしまいましたが、私があなたに知っていただきたいのは、こうした記事が出ていますけど、金融機関が強硬な態度で、廃業を促す事は無いという事です。そもそも、そんな事をしても、債務者側で対策を取られてしまったら、意味が無い事ですからね。

廃業を促すという報道に、ちょっと敏感に反応した方もいらっしゃったと思いますが、事業の進退を決断するのは経営者であるあなた以外にいません。ですから、経営改善が思うように進まず、金融機関に「廃業されては」といった提案を受けたとしても、

  • 年齢的に継続するのが厳しい
  • 家や少々の財産が残るのであれば検討しても良い

という事をじっくりと吟味すれば良いだけですからね。

引き続き、金融機関の動向を注視していきたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている