資本参加を許し、会社を乗っ取られた例

M&Aの件でパートナーと打ち合わせをしていた時の事。

買い案件にマッチした案件が出てきたから早速打ち合わせをしようという事で、新宿西口のとあるカフェでM&Aの打ち合わせをしました。

 

「この前、瀬間くんに紹介してもらったY社に提案したい案件があんだよね。社員10名前後で売上規模が○億円、技術力のある人員が揃っているから、Y社の買いニーズピッタリ。」

 

「ホントだ。これは確かにY社のニーズにピッタリですね。」

 

「そうでしょ。これ探すのに苦労したよ。」

 

「そうでしょうね。じゃあ、早速、Y社のM&A担当者に連絡しますね。」

 

「スグにでもアポ取っておいてね。早く決めたいから。」

 

「分かりました。なるべく早くして欲しいと伝えます。」

 

「そうそう、言い忘れた事があるんだけど、実はね、これは本人が会社を売るとか決めてない案件なんだよね。」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「うん。ここの社長から資金調達できないか?と相談を受けた案件なんだけど、この状況で借り入れは無理でしょ。」

と言いながら、決算書を見せられました。財務諸表と、実態修正された貸借対照表を見たら、確かに、これ以上の借入は無理だと思いました。

 

「確かに、これでは資金調達は難しいですね。」

 

「でしょ。だから、社長には借入は難しいけど、資本調達なら○千万ぐらいスグにできると言ってあるんだよね。当の本人は買い戻せるなら構わないってかなり気楽に考えてるし。

だから、話の流れとして、

  1. 経営に興味は無い
  2. 出資して、5年後に買い戻す
  3. 買い戻すことにより、株式を100%取り戻せる

という話を振って、出資してしまう。

出資後は引き継ぎを着々と進め、社長がいなくても事業が動くようになったら、その時点で社長を追い出す。これでM&A完了って感じかな。

その後は、買い手企業の責任者が社長になればいいんじゃないの?そうした方が、社員も喜ぶよ。

このまま続けてもこの会社が倒産するのは目に見えてるから、Y社に買って貰ったほうが社員にとっても良いでしょ。」

 

「理屈は分かりますけど、そういう乗っ取り的な案件を手伝うのはちょっと。私もM&Aを専業でやっているならともかく、別の会社で「事業再生」という看板を出している手前、乗っ取りの手伝いをするのは、それはできないです。」

 

「瀬間くんの気持ちもわかるけどさ~、こうでもしないとあの会社も潰れちゃうし、社員も困るだろうし、社長一人いなくなるだけで会社が存続できるんだから別にいいでしょ。我々も手数料が入るしね」

 

「おっしゃる事は分かりますが、すいません。やっぱりこの案件だけは手伝えません。」

 

「そう?瀬間くんもなかなか頑固だね。」

 

この日はこれで話は終わりました。

この案件は関わりたくなかったので、進捗は分からず終いでしたが、最近、パートナーから、「Y社の出資金の払い込みが完了したよ」との報告を受けました。

 

経営権を奪われるような再生は意味があるのか?

決断するのは経営者ですから、どうこう言うつもりは全くありませんが、当の本人は今でも気軽に買い戻せるぐらいに考えていると思います。

資本の買戻しができないのですから、最終的には経営権を奪われ、なおかつ、社長も首を切られる事になります。

 

会社は復活すると思います。

仕事にも困らないでしょうし、Y社は資金力がありますから、運転資金の調達も困ることはありません。

でも、これで事業が再生したと言えるのでしょうか。

他人に経営を奪われては意味がありません。

 

あくまで自分の会社を復活させ経営権を確保する事が出来て、「再生が成功した」といえるのではないかと思いました。

資本参加を許すのは、慎重にやらなければなりません。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている