リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選

リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選

リスケ(リスケジュール)中に銀行/公的機関から融資を受ける方法があれば教えてください。

本記事では、こういった要望にお答えします。

本記事の内容
  • リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける時の条件3つ
  • リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選
  • リスケ中の融資に関するよくある質問

なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。

こういった経験をもとに、本記事では、リスケ(リスケジュール)中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選を紹介していきます。

銀行/公的機関からの融資をリスケすると、今後の新規融資は非常に難しくなります。

しかし、全く融資を受けることができないという訳ではなく、業績次第ではありますが、リスケ中でも銀行/公的機関から融資を受ける方法がいくつかあります。

本記事では、リスケ中に銀行/公的機関から新規融資を受ける方法に加えて、注意点なども解説していきますので、これからリスケしようとしている方はもちろん、リスケ中の方もぜひ参考にしてみてください。

最初に、リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける時の条件から解説していきます。

目次

リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける時の条件3つ

リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける時の条件は下記3つです。

  • 税金・社会保険料の滞納がないこと
  • ノンバンクからの借入がないこと
  • リスケを依頼した時と比べて業績が悪化していないこと

上記のとおり。

税金・社会保険料の滞納がないこと

銀行/公的機関から融資を受ける時の基本ではありますが、税金や社会保険料を滞納していると融資はNGとなります。

滞納度合いが軽微であれば検討してもらえることもありますが(滞納解消後に融資を実行してもらえます)、そうでなければまず不可能です。

ノンバンクからの借入がないこと

こちらも、基本ではありますがノンバンクからの借入があるとNGです。

ちなみに、決算書にノンバンクからの借入残高が計上されているけど、期中に完済している場合、試算表を提出して完済したことをアピールすれば検討してもらえます。

リスケを依頼した時と比べて業績が悪化していないこと

リスケを依頼した時と比べて業績が悪化していると、リスケ中の新規融資は不可能です。

業績が横ばい・上向き傾向であれば検討してもらえますが、リスケを依頼した時と比べて業績が下がっていると全く相手にされません。

リスケを依頼した時と比べて
  • 業績悪化 → 謝絶
  • 業績が横ばい → 検討の余地あり
  • 業績が上向き傾向 → 検討してもらいやすい

業績が横ばいでも、月末の現金残が右肩下がりに減少していると検討してもらえないので、ご注意ください。

以上の3つがリスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける時の条件となります。続いて、リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選を紹介していきます。

リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選

リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選は下記のとおりです。

  • 短期継続融資(短期転がし融資)
  • 手形割引(電債割引)
  • ABL(流動資産担保融資)
  • 条件変更改善型借換保証
  • 経営改善サポート保証
  • 企業再建資金
  • 事業再生円滑化債務保証制度

上記のとおり。

短期継続融資(短期転がし融資)

受注に至る可能性が高い、もしくは仕事を受注したものの、売掛が入金されるまでのつなぎ融資として、取引を見合いに売上が入金されるまでの間、つなぎ融資を実行してくれる可能性があります。

短期継続融資(短期転がし融資)、通称「短コロ」と呼ばれています。

詳しくは下記記事を参考にしてください。

手形割引(電債割引)

取引先から手形を受け取っている企業限定ですが、手形振出人の信用力が高ければリスケ中でも手形割引による資金調達が可能です。

ただ、いくら手形振出人の信用力が高くても、割引依頼人(利用者企業)の信用力が低いとリスケをきっかけに手形割引を断られる場合もあります。

もし断られた場合、手形割引専門のノンバンクなどで割引してもらうことになります。

ノンバンクの手形割引料は銀行と比べて若干高めですが、銀行よりも審査は早いですし、銘柄が良ければたいてい割引して貰えますので、お急ぎの場合、ノンバンクに割引を依頼した方がいいですよ。

銘柄とは、手形振出人のことを指す用語です。

ABL(流動資産担保融資)

ABL(流動資産担保融資)とは、流動資産(売掛金、在庫・車両・設備など)を担保に融資を受ける方法で、下記2種類あります。

  • 売掛金担保融資
  • 在庫担保融資

上記の順に解説していきます。

売掛金担保融資

売掛金担保融資は、商取引で発生した売掛金を担保に融資を受ける方法です。

詳しい仕組みは別記事の「ABL(売掛金担保融資)とは?仕組みや特徴を徹底解説」をどうぞ。

継続取引があることが前提となりますが(スポット/単発の取引はNG)、売掛金を担保に信用保証協会の売掛債権担保保証で融資を受けれる可能性があります。

保証枠は一般保証と別枠なので、一般保証枠を使い切っている事業者でも利用可能です。

参考リンク さまざまな保証制度 | 一般社団法人 全国信用保証協会連合会

在庫担保融資

在庫担保融資は、在庫や動産(車両・設備など)を担保に融資を受ける方法です。

詳しい仕組みは別記事の「ABL(在庫担保融資)とは?仕組みや特徴を徹底解説」をどうぞ。

時価評価が難しい動産を担保にするため、売掛金担保融資と比較すると担保の掛け目は低いです。

返済期間は、信用保証協会のABL保証だと返済期間は1年以内ですが、きらぼし銀行が提供している動産担保融資は返済期間が5年(最長7年)となっています。

参考リンク 東京都制度融資「東京都動産・債権担保融資(ABL)制度」 |資金調達|きらぼし銀行

条件変更改善型借換保証

条件変更改善型借換保証は、既往借入を一本化することで月々の約定返済額を抑え、新規融資(真水)を実行しても月々の返済額が大きくならないように配慮された保証制度となります。

ただ、融資といっても借換えなので、実行されると返済がスタートすることになります。

長期資金を調達できるというメリットがありますが、保証を受けるにあたり、認定支援機関から指導を受けながら作成した事業計画の策定が必要となります。

詳しくは別記事の「リスケジュール中の新規融資を可能にした「条件変更改善型借換保証」」をどうぞ。

経営改善サポート保証

経営改善サポート保証は、リスケを卒業するためのツールとして創設された保証制度です。

保証を受けるにあたり、下記いずれかの支援を受けて作成した経営改善・再生計画が必要となるので、かなりハードルが高いです。

  • 中小企業活性化協議会(旧称 中小企業再生支援協議会)
  • 経営サポート会議(金融機関等の関係者により個々の事業者を支援する信用保証協会等を事務局とした支援の枠組み)
  • 認定支援機関

審査も厳しく、時間がかかるので急な資金ニーズに対応できません。

とはいえ、一般保証と別枠で最大2億8千万円の保証を受けれる可能性があるので、業績が回復傾向にある企業にとって、チャレンジしてみる価値はあると言えます。

詳しくは別記事の「リスケジュール中の融資を可能にした保証制度「経営改善サポート保証」」をどうぞ。

企業再建資金

企業再建資金(企業再生貸付)は、日本政策金融公庫が扱っている銀行との協調融資も想定している融資制度です。

運転資金の限度額は4,800万円で、返済期間は15年~20年(うち据え置き期間2年以内)と長く、非常に魅力的な融資制度です。

参考リンク 企業再建資金|日本政策金融公庫

リスケ中の企業が利用するため、ハードルは高いですが、返済期間が長く、低金利で融資を受けれるので、業績が回復傾向にあるならこちらもチャレンジする価値はあると言えます。

ちなみに、企業再建資金を利用するにあたり、企業再建計画書の作成が必要となりますので、興味のある方は作成例を確認しておくと良いかと思います。

参考リンク 企業再建計画書記入ポイント | 日本政策金融公庫(PDFファイル:110KB)

事業再生円滑化債務保証制度

事業再生円滑化債務保証制度は2019年に創設された保証制度で、中小機構が保証します。

債務保証制度の特徴

  • 事業者にとって、金融機関からの借入れを行う可能性が広がります。
  • 最大50億円の資金調達に対応できます。(保証割合は50%又は30%)
  • 信用保証協会等の保証を受けることが困難なもの(信用保証制度の対象外である場合や、同制度の保証枠を使い切っている場合など)が対象となります。
出典:債務保証 中小機構

中小機構の債務保証制度は10こあり、そのうちリスケ中の資金調達に対応しているのは「事業再生円滑化債務保証制度」にあたります。

債務保証を受けるには、特定の法律(注1)に基づく計画を策定し、主務省庁又は都道府県の認定を受ける必要があるため、ハードルはかなり高いです。

とはいえ、信用保証協会の保証枠を使い切っている事業者でも保証を受けれる可能性があるため、業績が回復傾向にある企業はチャレンジしてみる価値はあります。

  • 注1 産業競争力強化法、地域再生法、中小企業等経営強化法、農業競争力強化支援法及び生産性向上特別措置法

以上、リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選でした。続いて最後に、リスケ中の融資に関するよくある質問とその答えを紹介していきます。

リスケ中の融資に関するよくある質問

リスケ中の融資に関するよくある質問とその答えは下記のとおりです。

  • 経営革新計画の承認を受ければ融資を受けれますか?
  • 長期で運転資金の融資を受けることはできますか?

上記のとおり。

経営革新計画の承認を受ければ融資を受けれますか?

経営革新計画の承認を受けても、業績・財務内容が悪ければ融資は受けれません。

経営革新計画の承認と融資の審査は完全に別モノです。

銀行はもちろん、公的機関(日本政策金融公庫、信用保証協会、商工中金など)は業績・財務内容をベースに審査しますので、業績・財務内容が改善されなければ融資を受けることはできません。

長期で運転資金の融資を受けることはできますか?

短期であれば、

などで融資を受けれる可能性がありますが、リスケ中に長期の融資を受けるのは現実的とは言えません。

長期運転資金が必要であれば、信用保証協会のABL(売掛金担保融資)を狙うか、もしくはノンバンクで下記のような方法で資金調達するのが現実的な選択肢となります。

  • ビジネスローン
  • ABL(売掛金担保融資・動産担保融資)
  • トランザクションレンディング
  • 不動産担保ローン
  • ファクタリング

詳しくは別記事の「銀行融資のリスケ中でも可能な資金調達方法5選」をどうぞ。

まとめ

以上、リスケ中に銀行/公的機関から融資を受ける方法7選でした。

リスケすると銀行/公的機関からの融資は難しくなりますが、業績次第では資金調達できる可能性があります。

特に、「短期継続融資(短期転がし融資)」は比較的取り組んでもらいやすいので、仕事を受注したはいいけど、売掛が入金されるまでの運転資金が足りない時は、銀行に相談してみてください。

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