ご相談者様の状況は十人十色で、解決策というのはケースバイケースなのですが、これにはある一定のパターンがあり、簡単に答えがでるケースもあります。
どのような例が簡単に答えが出るのかと言いますと、単一の事業を行っており、資金ショート間もないといったケースです。
一見すると難しそうに思えるでしょうが、こういったケースはパターン化されているため、私の中では数分以内に答えは出ます。
ただ、会っていきなり詳しい話を聞く前に「これしか方法は無いですよ。」というのも、おかしな話ですし、何か解決となるヒントが他にあるかもしれないと常に考えているので、掘下げて質問したりするのですが、最初の段階で感じた答えをお伝えする事になるケースがほとんどです。
でも、会社が複数あったり(両方とも代表者になっている)、自社ビルがあったり、新規事業を計画しており、出資の話が出ている、となると状況が一変し、回答が多岐に渡ります。こうなると、2時間以内に解決策のご提案というのは非常に難しく、「この方法がベストです!」という提案が難しいです。
しかし、状況を整理しつつ、解決の方向性に導くのはそう難しい事ではありません。
というのも、ご相談者様の知りたい事って、大抵の場合で、
「最悪のケース」
「最悪のシナリオ」だったりするので、
ここを最初の段階で「最悪、何も対策を打たないとこうなりますが、現段階ではこれこれこういった選択肢があります。でも、考えている時間は少ないので、早めに意思決定した方が良いですよ。」というアドバイスをしておけば、考えがまとまりやすく、ご自身で最適解を導き出しやすくなります。
最悪のケースを予め抑えておくだけでも、選択肢は広がります
「あれもこれも保全を図りたい。」というよりは、「最悪、これだけ保全を図れれば、後は致し方ない。」という考えの方が、柔軟に対応できますし、トラブルが発生した時も、受け流しやすいです。
でも、
- 地位も大事
- 自社ビルも大事だ
- この会社も大事だ
- クレジットカードが使えないと嫌だ
- ブラック(信用情報の事故情報)になるのも嫌だ
というような考えを持っていると、常に綱渡りの状態になってしまい、一度、トラブルが発生したら、連鎖的に瓦解してしまうケースがほとんどです。
しかし、
- 複数ある会社のウチ、一社を無くしても構わない
- 最悪、自社ビルは自己所有に拘らずリースバックでも構わない
- クレジットカードが使えなくなるぐらい、致し方ない
- いったん、事業譲渡してしまい、表向き、経営から退いても構わない
- キャッシュフローで回るから、金融事故扱いになっても構わない
というような感じで、痛みは伴うが、最悪、これだけは保全を図れれば良い。という優先順位を決めておけば、行動を起こしやすいですし、保全率も高いです。
優先順位というのは現状を建て直すうえで、非常に重要なのです。簡単に決められない事だと思いますが、それでも決めなければならないのです。
今回、このようなお話をさせて頂いたのは、ちょっときっかけがあり、この2週間ぐらいの間に、対照的な出来事を目の当たりにしたからなんです。
「クレジットカードに拘るのを止めたら、キャッシュフローが改善し、以前から種を撒いていたものが花開き、業績が急激に回復しました。」というお礼メールを頂いたり、
「自社ビルの自己所有には拘らないので、事業の保全が図れれば構いません。」
「今までやっていた事業は収益性が低いので、新規事業に力を入れます。従って、今までの会社は、名前だけが残れば、後は構いません。」という感じで、優先順位を立ててすぐに行動を起こし、短期間で復活した方を見た後、
夏前から何も決断できず、毎月数百万円の赤字を垂れ流しつつも、
「ビジネスローンはどうやって申し込めば?」
「M&Aしようと思ってます」
とか、ひたすら迷走している経営者様から毎回同じ内容の電話がかかってきたりすると、私も色々と考えてしまうのです。(提案しても意思決定しないので、こちらから一切連絡しないのですが、毎回同じ内容の電話がかかってきます。)


この例から分かっていただけると思うのですが、優先順位を決めれない人は選択肢が広がらず、防戦一方に留まってしまい、結果として、資金繰りに窮してしまう事になってしまうのです。
色々と守りたいものがあるでしょうが、それでも優先順位は決めなければならないのです。
優先順位が決まれば、意思決定は早いですし、意思決定が早ければ、自ずと行動も早まります。行動が早ければ、快方も早いです。