資金ショートで倒産寸前!周りに「破産」しか無いと言われたけど他に解決策は無い?【選択肢は他にもある】

事業再生
  • 資金ショートが避けられないから、倒産が現実味を帯びてきたよ…経理や顧問に相談しても「破産するしかない」と言われたよ…。
  • 資金調達のあてもないし、破産費用が手元に残っている間に破産した方が良いのかな?他に選択肢は無いのかな?
  • 本音を言えば破産したくないけど、周りはみんな破産するしか無いと言ってるし、どうしたら良いか分からないよ。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

「資金ショートしたら破産」と言う人の意見を聞いても無駄です

資金ショートが迫り、それを回避する方法が分からない時は、一人で悩んでも解決しませんから、色々な人にアドバイスを求めた方が良いです。

 

ただ、この手のアドバイスを受ける時は注意することが1点あります。

それは、「資金ショートを回避する方法のアドバイスを求めているのに、破産以外のソリューションが出てこない人の話を聞いても時間の無駄」という事です。

もし、相談しても破産以外のソリューションが出てこないようであれば「聞く人を間違えた」と割り切り、すぐに話を打ち切りましょう。

いくら話を聞いても時間の無駄です。

破産の事しか考えない人にアドバイスを求めても、破産以外の解決策は出てこない

何を聞いても「破産」という言葉しか出てこない人に、「どうすれば資金ショートを回避して、事業継続できるのか?」などと相談しても、破産以外の解決策の提案はありません。

相談する相手にもよりますが、「破産した方が良い」としか言わない人の殆どは、以下のいずれかに該当するケースが殆どです。

  • 破産以外の解決策が分からない → 何となくイメージできても、詳細はわからない。
  • 破産が手っ取り早い → 裁判所が関与するため、トラブルは無く、アドバイスする側も楽だから。

何時間、膝を突き合わせても他の選択肢は出てこないですから、他の人にアドバイスを求めた方が早いです。

資金ショートを回避する策を実行してから破産を検討しても遅くはない

そもそも、「破産」は、手続き費用さえあれば何時でも気が向いた時にできますので、金融機関や取引先の協力を全く得られなかった時に、そこで初めて「破産するかどうするか」を検討しても遅くはありません。

交渉も何もしていないのに、周りから言われたというだけで破産をしても、無駄な破産をするだけなので意味ないです。

  • 色々動いた結果、取引先や金融機関の協力を得られなかったから破産
  • 何もしていないのに、周りの人に「破産」を勧められたから破産する

焦って破産を決断しても後悔して終わるだけなので、まずは動いてみて、全くダメだったらその時に検討するようにしましょう。

 

資金ショート時における破産に関するよくある勘違い4つ

  • 資金ショートしたら破産しなければならない
  • 破産するタイミングは今しかない
  • 返しきれない負債を抱えたら破産しなければならい
  • 負債を処理するには破産以外の解決策は存在しない

上記のとおりです。

資金ショートしたら破産しなければならない

このような事は基本的にはあり得ません。

資金ショートしたらどうなる?【何もしなければ倒産するけど、倒産は回避できる】」でも解説しているとおり、

実務上、資金ショートを起こす「倒産」という扱いにはなりますが、倒産したからといって、破産しなければならないという決まりごとはありません。

また、資金ショートを起こしても事業継続している企業は少なくありません。

こういった企業は口に出して言わないだけで、「資金ショートしたけど、取引先が取引を続けてくれているから、そのまま事業継続している」というケースは意外と多いのです。

破産するタイミングは今しかない

タイミングを主張する方は、弁護士しかいません。

タイミングとはつまり、「今なら手元に手続き費用が残ってるから、破産手続きができる。中途半端に取引先等に支払うと手元資金が無くなり、破産手続き費用が無くなり、破産できなくなる。」ということです。

これは実際にそのとおりのことなので、破産するタイミングと言うのは、少なからず存在するといえます。

 

そのため、「何時ぐらいに破産した方が良いですか?」と質問すると「今でしょ!」という返答しか得られません。

中途半端にどこかに支払いをされては、破産手続き費用が無くなる訳ですから、嘘ではありません。

これは、逆の立場になって考えれば分かる事だと思います。

返しきれない負債を抱えたら破産しなければならい

このような決まりごとは世の中には一切存在しません。

破産するもしないも、その人の自由です。

督促を受けたり訴訟を起こされたりするのが嫌な方は破産すれば良いですし、気にならない方はそのまま放置しておいても問題ありません。

普通に生きていく上で、今後、大きなトラブルに発展するような事はありません。

また、以下の記事でも解説しているとおり、「放置」という選択肢もありますので、返しきれない負債を抱えても、破産しなければならないという事はあり得ません。

借入金の返済ができなくなると最後はどうなるの?【結論:破産・放置という選択肢がある】

2017.11.29

負債を処理するには破産以外の解決策は存在しない

個人のサラリーマンとかであればそうかもしれませんが(個人版民事再生という選択肢もありますが)、会社経営となると話は別です。

破産以外にも以下のようなソリューションがあります。

  • 第二会社方式 → 事業譲渡、会社分割など
  • 債権放棄 → サービサーに債権譲渡してもらい、和解する
  • 経営者保証に関するガイドライン → 特定調停スキームの廃業支援
  • 債権者を無視スキーム → 「放置プレイ型経営継続」(←適当に名づけました)
  • ※民事再生(とてもつもなくハードルが高いので除外したいところですが一応入れておきます)

このように、負債を処理する方法は一つではありません。

破産以外にも選択肢はあるのです。

全ての負債から解放されたい(「リセット」したい)という事であれば、「破産」意外に方法はありません。

 

周りの人に「破産するしかない」と洗脳されて破産しようとした経営者【実例紹介】

筆者が関与した、周りの人に「破産するしかない」と洗脳されて、破産しようとした過去の実例をご紹介します。

 

対象企業と登場人物の概要
  • 業種:建築業(ハウスメーカー)
  • 平均月商:1億5千万
  • 打ち合わせ同席者:社長、経理、顧問税理士、顧問弁護士、筆者

800万円の手形が決済できず倒産の危機

某県のハウスメーカーさんからのご相談なのですが、800万の手形が決済日に決済できそうにないという事で、1ヶ月以上悩み続け、意を決して筆者のところに連絡してきました。

遠方のお客様だったので事前に直近の試算表や、支払予定表等の資料を送付してもらい、ざっと確認したところ、大掛かりなことをしなくても「手形ジャンプだけで乗り切れる」と感じました。

事業継続のために専門家と一緒に打ち合わせを行う事に

駅まで社長が車で迎えに来てくださり、社長の車で会社に向かう途中、次のような話をされました。

「支払い期日が迫っている事もあり、今日の打ち合わせは当社の経理の他に、顧問税理士と顧問弁護士の先生方に来ていただきました。打ち合わせは5人になりますが、宜しくお願いします。」

筆者の面談相談はあくまでタイムチャージなので、「全然構いませんよ。」と伝え、取引先との関係性や、直近の受注状況など、会社に着くまでの間に細かくヒアリングしました。

15分ぐらい車で走った頃でしょうか。

会社に到着したので、すぐに会議室に案内されました。

会議室にはすでに経理の方と顧問税理士、顧問弁護士が着席されていました。

顧問の専門家が経営者を取り囲んで「破産するしか方法は無い」の一点張り

如何にこの難局を乗り切るかという主題のもと、打ち合わせは始まりました。

筆者は事前に資料に目を通しており、社長の車内で直近の状況を伺っていたので、「手形ジャンプによる倒産回避策」を提案しました。

時間にして5分ぐらいだと思いますが、概況と詳細な交渉方法について、筋道を立てて説明したのですが、同席した方々から以下のような反論を受けました。

  • 手形ジャンプなんてできる訳がない(取引先が応諾するハズがない)。
  • 取引先は1社だけじゃないから、受任通知を出さないと話はまとまらない。
  • ジャンプしたら信用不安が起こり、売上が激減する。遅かれ早かれ倒産する。

など、かなりの反論を受けました(他にもあったと思いますが、かなり前の事なので覚えてません)。

こうした反論が来ることは予想はしていたので、「こういう事があったらこのように対応すれば大丈夫です」と、全ての反論に一つずつ丁寧に説明しました。

しかし、説明には一応納得はして下さったものの、顧問の専門家の方々は、破産以外の選択肢はあり得ないと言わんばかりに、社長に熱心に破産を勧めていました。

  • ジャンプを依頼しても多分だから破産した方が良いですよ。
  • どうせダメだから潔く破産しましょう。
  • 今破産すれば、お互い傷は浅く済みますよ。
  • 破産すれば、「どうしよう」なんて悩む必要が無くなりますよ。

今でも覚えているのが、この4つのフレーズです。

筆者は一応、顧問の専門家の方々に遠慮しつつも、やんわりと「破産なんて何時でもできる事ですから、今破産したらもったいないですよ」と何度かお伝えしたのですが、その度に「どうせダメだから破産した方がサッパリする」と、被せられてしまいました。

何の行動も起こしていないのに、気が付けば「何時破産する?」という話合いに

筆者に相談する前に経営者の方が取引先にジャンプを依頼して、取引先から「ジャンプなんて絶対にダメだ!勘弁して欲しい!」と言われているような状況なら、破産を検討するのも理解できます。

でも、取引先にジャンプを依頼した訳でもなく、机上で「交渉なんて無駄」、「ジャンプは不可能」と結論付けてしまうのは、おかしな話だと思います。

 

事業継続するために設けられた打ち合わせの席ですが、打ち合わせ開始から30分ぐらい経った頃には、如何に資金ショートを回避すれば良いのか?という議論から、「何時ぐらいに破産すれば良いのか?」という議論にすり替わっていました。

破産する必要の無い会社が破産する方向で調整

筆者に相談してきた時、社長は「取引先はもちろん、施主さんに対する裏切りと同じですから、破産だけは絶対にしたくないんです!」と言っていましたが、

打ち合わせが終わるころには「やはり破産するしか無いのかな…」と、社長は肩を落としてうなだれていました。

打ち合わせが終わったので、新幹線の駅まで帰ろうとした時、社長が「帰りも駅まで送ります」と言って下さったので、お言葉に甘えて送ってもらいました。

 

帰りの車で社長は「さっきは破産するという事を言いましたが、本音を言えば破産なんてしたくない。もうどうしたらよいか分らない。せっかく来てもらったのに、こんな話になって本当に申し訳ない。終わる時って呆気ないですね。ハハハ。」と、哀しそうに笑っていたのが印象的でした。

駅について車を降りる時、筆者は「とにかく、破産はいつでもできる事ですから、すぐに今日明日の時点で決断しない方が良いですよ。」と伝え、社長と別れました。

こっそり手形ジャンプの依頼してみたら二つ返事でOKを貰えた

この会社がどうなったのかというと、結局、破産しないでジャンプで乗り切ったという連絡を社長からいただきました。

破産するか、取引先にジャンプの依頼をするか、支払い日ギリギリまで悩んだようですが、「何の行動もしていないのに諦めるなんてできない」という結論に至り、顧問の専門家に内緒で、取引先にジャンプのお願いをしに行ったようです。

「ジャンプをお願いして断られたら諦めて破産しよう」と意を決して取引先に訪問し、いざ、取引先にジャンプの話を切り出してみたら、二つ返事でOKを貰ったすごく喜んでました。

交渉の様子を聞いたら、「社長、なんでもっと早く来ないの!ギリギリに来られるとウチも困っちゃうよ、今度はもっと早く言ってよ(笑)さすがに2回されるとウチもキツイけど(笑)」等と、冗談交じりで言われたとのことでした。

結局、あの騒動があってからも社長は事業を続けており、取引先との関係も特に悪化した様子はないとのことです。

今でも一緒にゴルフをしたり、飲みに行く仲だと言います。

 

あのまま「破産しかない」という雰囲気に呑まれ、破産手続きをしてしまったら、こうして事業を続ける事はできなくなります。

仕事を失い、家も競売にかかり、何もかも失っていたことでしょう。そう考えると恐ろしいですね。

 

まとめ

以上、資金ショートしそうで倒産の危機に直面した際に、周りに相談してみたら「破産」しか無いと言われた場合、他に選択肢は無いのか?という事について解説しました。

どのような状況においても、破産しか方法が無いというのはあり得ません。

破産以外の解決策が必ず存在します。

「このまま事業を続けても赤字続きで整理するほか無い」という状態でしたら、破産も選択肢の一つになるとは思いますが、「破産しか解決策が無い」ということではありません。

 

ちなみに筆者は、色々な企業から資金繰りや事業再生に関するご相談を受けておりますが、破産を勧めたケースは以下の記事で解説している2つしかありません。

資金繰りでお悩みの方から相談を受けて「破産した方が良い」と勧めた2人のケース
資金繰りが厳し過ぎる、あるいは負債が多過ぎて「破産」という2文字が頭を過る方向け。 この記事を書いている筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰りや事業再生コンサルタントとして活動しています。 コンサルタントとして活動する中で...

いろいろな専門家の意見を聞く事は大事だと思いますが、まずは経営者の方が十分な情報と知識をもって、焦らずに冷静に判断を下すことが経営危機場面では非常に重要なのです。

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