資金繰りにお悩みの方から相談を受けて「破産した方が良い」と勧めた2人のケース

資金繰りにお悩みの事業者様から相談を受けていると、撤退を含めた相談を受ける事があります。多くの中小企業経営者様は法人の借入を保証してますので、事業から撤退すると法人の負債が経営者個人に全てのしかかってきます。

保証債務を整理するには、条件次第では「経営者保証に関するガイドライン」の廃業支援を活用する事により、破産しなくても負債を整理する事が可能ではあるのですが、条件が合わなかったり、弁護士費用が用意できないと、破産、若しくは放置という2つの選択肢を選ぶことになります。

破産を勧めた2人のケース

借入が返済できなくなった時の解決策として「破産」若しくは「放置」という2つの選択肢があるので、最初から破産を勧めることはないのですが、過去2人の方に、「破産した方が良い」と勧めた事があります。

私が破産を勧めた理由は以下の通りです。

  • 1人目の方は、精神衛生上好ましくないと判断したため
  • 2人目の方は、近い将来、多額の資産相続が発生する可能性があったため

 

精神衛生上、好ましくないと判断したため

事業を撤退した後、経営者個人にのしかかる保証債務はどうすればよいのか?と相談を受けると、「破産」若しくは「放置」という2つの選択肢があるのですが、どちらを選ぶかは経営者様次第なので、私から「破産した方が良い」と伝える事は基本的にはありません。

決まって「とりあえず放置しておけば良い。」と伝えます。

というのも、以前も書いた事がありますが、債権には時効がありますから、時効が到来した時に時効を援用すれば負債は無くなります。

このまま返済ができなくなると最後はどうなるの?

2017.11.29

返済ができず、債権者から執拗に催促を受けている。どうすればよいのか?

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そのため、破産するしないについて聞かれたら、

  • 自分の名義で資産を持ちたければ破産した方が良い
  • 自分名義の資産を持たないという事であれば放置しようが破産しようがどっちでも良い(そもそも時効があるから)
  • 人の気持ちは変わるものだから、今決断する必要はない。

とお伝えしています。

債権者の回収行為も慣れてくる

事業を撤退する事を決断し、返済を止めると、債権者からバンバン連絡が来るようになります。連絡は来るのですが、撤退すると決めている訳ですから、相手をしてもしなくてもどちらでもよくなります。

返済を止めて期限の利益喪失となると、内容証明や裁判所から特別送達が届くようになります。

この時点でも特に問題になる事は全く無いのですが、中には不安に感じて連絡してくる方もいます。でも、淡々と「3ヶ月も経てば慣れます」と伝えると、やはり、殆どの方が慣れてきますので、こうなると破産してもしなくても本当にどっちでも良いのですね。という事をご理解いただけるようになります。

慣れたことによって、冷静に考える事が出来るようになり、ここでようやく「破産してもしなくてもどちらでも良い」という事が腑に落ちるのだと思います。

債権者の回収行為に慣れず、精神が病むぐらいなら破産した方が良い

ただ、全員が全員、このような方ばかりではなく、中には債権者の回収行為で精神的に病んでしまう方もいます。

裁判所から特別送達が届くたびに神経をすり減らし、債権者が家に訪問してきて呼び鈴を鳴らされる度に気が滅入ってしまい、精神的に病んでしまう方もいるのです。

訴状が届いたり、債権者が訪問してくる度に連絡してくるので、その度に「別に何も起こりませんし、そのうち慣れる」と伝えるのですが、「どうしても慣れない」、「不安しかない」、「睡眠もロクに取れない」、「精神的に耐えられない」と言うので、

この方には「破産すれば弁護士が対応してくれますから、破産した方が良いかもしれません。すぐにお近くの弁護士事務所か法テラスに相談して下さい」と伝えた事があります。

保証協会サービサーや、カード会社は訪問してきます。といっても、保証協会サービサーは非常に紳士的ですし、カード会社は最初のうちに数回来るだけなので居留守を使えば良いだけなんですけどね…

 

近い将来多額の資産を相続することが発生する可能性があったために勧めた

破産を勧めた2人目の方、この方は結構レアケースでした。

最初にご相談依頼を受けた時は、

  • 年商は直近3年間、5億~6億円あたりで推移している
  • 金融機関の借入は3億前後
  • 1億5千万程度の債務超過状態
  • 小売りと卸売りを営んでいるが、小売りは年々落ち込んできているので、卸売りに専念したい
  • 第二会社方式を使えたら良いと考えている

という事で相談を受けたのですが、詳しい状況をヒアリングしているうちに、近い将来、母親から時価にして2億数千万円近い土地を相続する可能性が高いという話を伺いました。

不謹慎な話なのであまり突っ込んで聞くのもどうかと思いましたが、思い切って「なぜ、近い将来と分かるのですか?」と社長に伺ってみると、

「すでに入院してまして、担当医が言うには半年もつか、1年持つか分からない。経過が良さそうなので1年半ぐらい持つ可能性もあるが、何時までというのは分からない。と言われたんですよ」と言われました。

社長には兄弟はおらず、お母様がお亡くなりになれば社長はその土地を相続することになります。

どんな形であれ、事業継続すると相続を受けても結局は回収される可能性が、、、

ご相談を受けた当初、「第二会社方式で事業継続したい」という相談内容も、せっかく相続を受けたところで回収されてしまう可能性があるなら…という話になりました。

そして、最終的には不謹慎な話ではあるのですが、無理して事業継続するより、早めに破産して相続を受けた方がメリットが大きい(比べ物にならないぐらい)と判断し、破産を勧めました。

社長はその場で決断され、1カ月間の残務処理を終えた後、すぐに破産手続きをしました。破産開始決定後、またすぐに同じ事業を立ち上げ、負債ゼロで再スタートを切りました。

ちなみにこちらの社長、私が定期購読しているサービスに2~3週間に1度ぐらいの割合で社長の顔写真が掲載されるので、お元気な姿をほぼ毎月確認できています。

笑顔で商品をアピールしている写真を見る限り、順調なのではないかと思っています。

 

まとめ

2009年5月から現在まで、資金繰りにお悩みの中小企業経営者様からご相談依頼を受けてきましたが、「破産した方が良い」と勧めたのはこの2名だけです。

その他の方には破産ありきで話をした事はありません。

全く返済ができないという状況に追い込まれても、また、どんなに多額の負債を抱えたとしても、誰でも等しく「破産」、若しくは「放置」という2つの選択肢を自由に選ぶ事ができるので、「返せなくなったら破産するしかない」という考えはナンセンスだと言えます。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている