求償権消滅保証とはどんな保証制度?代位弁済の求償権を借換える仕組みについて解説

  • 代位弁済された事業者を対象にした求償権消滅保証という保証制度があるみたいだけ、どんな制度なのかな?
  • また銀行から融資を受ける事が出来るようになるのかな?
  • 制度の内容や、保証を受ける条件等を詳しく知りたいよ。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

この記事は更新日時点(2019年の日付)の見解に基づいて加筆・修正しております。

求償債務を負っている限り銀行融資は不可能

代位弁済後に業績が回復してくると、運転資金の増加や老朽化した設備を修繕するためのまとまった資金が必要になるケースが多々あります。

代位弁済の詳しい解説は以下の記事を参考にして下さい。

信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?今後の流れと返済方法について解説

2013.05.31

ノンバンクであれば資金調達が容易にできると思いますが、なるべくなら低利の銀行融資を受けたいところです。しかし、どんなに業績が回復したとしても、信用保証協会に求償権がある限り、銀行のプロパー融資はもちろん、保証付き融資を受ける事ができません。

どんなに決算書の内容が良くなっても、決算書の借入金残高の一覧表に「信用保証協会」と入っていれば、銀行融資は100%不可能です。

ですので、代位弁済を受けた企業がもう一度銀行融資を受けるには、信用保証協会に対する求償債務を完済しない限り、融資を受ける事は不可能なのです。

求償債務を借換えさせる保証制度がある

どんなに業績が回復しても、決算書の借入金残高の一覧表に「信用保証協会」と入っている限り、銀行融資はもちろん、日本政策金融公庫からの融資も不可能です。

しかし、求償債務を借換えさせる「求償権消滅保証」という保証の枠組みを利用する事により、銀行から融資を受ける事が再びできるようになるのです。

 

求償権消滅保証とは

求償権消滅保証とは、信用保証協会の保証付き融資が代位弁済してしまい、正常な金融取引ができなくなってしまった事業者を対象に、正常な金融取引ができるよう求償債務を借換えさせ、再び銀行から融資を受ける事ができるようになる保証制度です。

求償権消滅保証の仕組み

信用保証協会から「求償権消滅保証」という新たな保証をつけてもらうことで、求償権消滅保証付きの融資を銀行から受ける事ができ、融資を受けたお金で信用保証協会に対して求償債務を返済します。

これにより、決算書の借入金残高の一覧表から「信用保証協会」という記載が消えますので、今後は正常な金融取引ができるようになるのです。

求償権消滅保証の流れ

求償権消滅保証の具体的な流れは以下の通りです。

求償権消滅保証の流れを解説した図
  1. 求償権消滅保証を付ける:3,000万円の求償権消滅保証を付ける。
  2. 保証付き融資の実行:3,000万円の求償権消滅保証を受けた銀行は、企業に3,000万円の融資を実行する。
  3. 保証協会へ返済する:3,000万円の求償権消滅保証付きの融資を受けたら、その資金で求償債務の弁済に充てる。
  4. 毎月返済する:信用保証協会に対する求償債務は完済となり、以降は約定通り銀行へ返済する。

これにより、決算書の借入金残高の一覧表から「信用保証協会」という記載が無くなり、新たに融資を受けた銀行名が記載されるようになります。

つまり、「代位弁済前の状況に戻る」ことができるのです。

求償債務が無くなるので銀行や政策公庫から融資を受ける事ができるようになる

決算書の借入金残高の一覧表から「信用保証協会」という記載が無くなりますので、資金が必要になれば、通常の保証を保証協会から付けて貰い、銀行融資を受けられるようになりますし、日本政策金融公庫から融資を受ける事ができるようになります。

 

求償権消滅保証を受ける条件

求償権消滅保証は、代位弁済を起こした企業に対して新規の保証を付ける事になる訳ですから、当然、ハードルは高いです。

一度は信用を失った企業に対して融資を実行することになるので、

  • 売上が上がった → 求償権消滅保証を付けましょう!

という、簡単な話ではありません。

ある程度の期間、きちんと弁済を続けた企業が対象となります。

信用保証協会だけに対して返済してもNG

求償権消滅保証を受けるには、信用保証協会の求償債務の弁済はもちろん、他債権者に対してもキチンと返済を続けているという事が前提になりますので、「求償権消滅保証を受けられるかもしれないから、信用保証協会だけは返済しよう」という企業は対象外となります。

以下のような対応をするとNG

  • 信用保証協会→求償権消滅保証を受けたいからどこよりも多く返済している。
  • 銀行・政策公庫→借してくれないから適当にしている
  • 取引先→何年も払っていない買掛残がある
  • 租税公課→滞納しがち、滞納を解消する努力が見られない

他債権者に対する毎月の返済状況をモニタリングしている

求償権消滅保証を受けるに値する事業者かどうか、信用保証協会は毎月の返済状況をモニタリングしています。ですので、信用保証協会だけでなく、他債権者に対しても等しく返済をし続けていることが求償権消滅保証を受ける条件となります。

信用保証協会のWebサイトに取り組み事例が公開されていますので、興味のある方は参考にして下さい。

群馬県信用保証協会:再生支援の取り組み事例

実際に保証を受けことがある方とお会いした事があります

2009年から事業再生コンサルティングサービスを提供していますが、2009年から現在に至るまで、求償権消滅保証を受けた事がある方2名と、今現在提案を受けている最中の方1名の計3名の方とお会いしました。

この方々に共通しているのが、

  • 代位弁済の初年度は月1万円の返済をしていたが、業績が上向いてきたので月10万円以上の返済をするよう努力した。
  • 業績が回復基調にあったので、10万円返済していたところ、さらに返済額を増やすよう努力した
  • 他債権者に対してもキチンと返済を続けてきた。
  • 租税公課の滞納はなし(滞納していた方もいましたが、すぐに滞納を解消した)
  • 代位弁済後4~5年ぐらい継続して返済を続けていたら、信用保証協会から連絡が来た

というような感じで、求償権消滅保証を受ける事ができた。とおっしゃってました。

 

まとめ

以上、信用保証協会に代位弁済された後でも融資を受ける事ができる保証制度、求償権消滅保証について解説しました。

代位弁済されても、今後、信用保証協会の保証が一切つかないという事はありません。信用保証協会はもちろん、他債権者に対してもきちんと返済を続けていれば、新しい保証を獲得するチャンスが生まれます。

全ての債権者にきちんと返済を続け、業績も回復してこれば、失った信用も徐々に回復してきます。そうなると、信用保証協会の方から、「求償権消滅保証という保証制度があるのですが…」と話を切り出してくれるようになります。

代位弁済を受けたからといって、「今後、二度と銀行融資を受ける事ができない」と諦める必要はないのです。

求償権消滅保証を狙うのが難しいという事であれば、以下の記事でも解説している通り、他にも選択肢はありますので、その中から今後の方向性を考えれば良いと思います。

信用保証協会に代位弁済された後の3つの選択肢

2013.12.19

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