銀行にリスケ依頼したら役員報酬を下げろと言われた!減額すべき?【明確な答えはない】

銀行にリスケ依頼したら役員報酬を下げろと言われた!減額すべき?【明確な答えはない】

銀行にリスケ依頼したら「役員報酬が高いから下げろ」と言われました。

下げないとリスケに応諾してもらえないのでしょうか。

もし下げるとなったら、実際どの程度下げれば納得してもらえるのか詳しく知りたいです。

本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。

本記事の内容
  • 銀行に役員報酬を下げろと言われた時の明確な答えはない【結論】
  • 銀行に役員報酬を下げろと言われた時の金額設定の考え方3つ

なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。

こういった経験をもとに、本記事では、銀行にリスケ依頼した時に役員報酬の減額要求があった時の考え方をまとめました。

初めてリスケ依頼する時や、リスケ更新時に銀行から「役員報酬を下げろ」と言われることがあります。

ちなみに、このように言われる時は具体的な金額を言わず、ただ漠然と「下げろ」と言ってくるので、言われた側としても「どれぐらい下げれば銀行が納得してくれるのか分からない」というケースが散見されます。

銀行から役員報酬を下げろと言われたら、どれくらい下げればいいのか、お悩みの方はぜひ参考にしてみて下さい。

目次

銀行に役員報酬を下げろと言われた時の明確な答えはない【結論】

最初に結論から言うと、役員報酬を下げろと言われた時の明確な答えはありません。

役員報酬の多い少ないは感覚的なもの

役員報酬の多い少ないは感覚的なものに過ぎないので、

  • 現在の役員報酬から〇〇万円下げれば納得してもらえる
  • 月額〇〇万円に設定すれば納得してもらえる

というものはありません。

役員報酬の多い少ないは人によって尺度が異なる

役員報酬の多い少ないは人によって尺度が異なります。

例えば、役員報酬を3,000万円〜5,000万円に設定していれば、世間一般的な感覚からしたら「高い」という判断が働くと思います。

では、役員報酬が1,000万円だったらどうでしょうか。

日本人の給与階級別の年収データを見ると、年収1,000万円~1,500万円の人口割合は4.0%ですので、世間的に見たらこの金額はまだまだ「高い」と判断されるかもしれません。

給与階級別の年収データは、国税庁が公表している「標本調査結果(令和4年分)」を参考にしています。

それでは、役員報酬が800万だったらどうでしょうか。

雇用者であれば「高い」部類に入るのかもしれませんが、経営者は失業保険も無いですし、借入の連帯保証にも入っていますので、雇用者と比べてリスクを背負っています。

この辺の事情を考慮すると「普通」と捉える方も出てくるでしょうし、「リスクを考えるとそんなに高くない」と感じる人も出てくると思います。

このように、見る人の尺度によって多い少ないの判断は変わりますので、「役員報酬の多い少ないは感覚的なもの」ということが分かると思います。

とはいえ、融資を受けている銀行から「役員報酬を下げろ」と言われている以上、無視する訳にもいかないと思いますので、役員報酬額を見直してみる必要はあると言えます。そこで、金額設定の考え方をお伝えしてきます。

銀行に役員報酬を下げろと言われた時の金額設定の考え方3つ

銀行に役員報酬を下げろと言われた時の金額設定の考え方は下記3つです。

  • 業績から考える
  • 生活状況から考える
  • 会社への貸付などから考える

上記のとおり。

業績から考える

1つ目は業績から考える方法です。

例えば、業績が下記のようなケース。

  • 役員報酬 → 1500万に設定している
  • 税引き後損益 → ▲500万円

このような場合、役員報酬を800万〜1,000万円に下げれば、収支トントン(±0)~200万円の利益で着地することが容易に想像つきます。

このような場合は「1,500万円の役員報酬は高い」と判断されがちです。

もし、このような状況であれば、役員報酬を1,000万円以下に下げることが望ましいと言えます。

生活状況から考える

2つ目は生活状況から考える方法です。

仮に、現在の役員報酬が1,000万円だった場合を考えてみましょう。

1,000万円という報酬も、生活状況によって捉え方が全く異なります。

例えば、独身の経営者と家庭をお持ちの経営者であれば、同じ1,000万円でも状況は異なります。

  • 独身の経営者が1,000万円に設定している場合
  • 家庭をお持ちの経営者が1,000万円に設定している場合

上記2つのケースを順に検証してみましょう。

独身の経営者が1,000万円に設定している場合

独身であれば、生活を維持するコストはそこまでかかりません。

普通に生活していれば、大きな支出は住居費ぐらいで、後は食費や光熱費、通信費、被服費や趣味といったところでしょうか。

仕事メインで生活している分にはお金は殆ど使わないと思います。

こうした生活状況にある方が役員報酬1,000万円に設定していると、「役員報酬が高いので下げろ」と言われる可能性が非常に高いです。

家庭をお持ちの経営者が1,000万円に設定している場合

家庭をお持ちの場合、独身の経営者と比べてほとんどの支出が増えます。

住居費はもちろん、光熱費、通信費、被服費、趣味などの支出が倍近く増えます。人数が増えますから、当然そうなります。

お子さんがいらっしゃれば学費はもちろん、校外学習の費用がかかります。

未就学児、あるいは小中高であればそこまで大きな負担にはならないと思いますが(私立は別として)、大学に通っていれば学費の負担が重くのしかかってきます。

このような生活状況にある経営者が役員報酬1,000万円に設定していると、妥当な金額とも判断できます。

会社への貸付などから考える

3つ目は会社への貸付などから考える方法です。

会社への貸付とは、下記のようなケースです。

  • 会社の資金繰りのために経営者個人でお金を借りる(カードローンやキャッシングなど)
  • 個人で借りたお金を会社に貸付ける

経営者個人で借りたお金の返済原資は「役員報酬」です。

このような場合、「毎月の返済額+生活費」を下回るほど役員報酬を下げる必要はないと言えます。

役員報酬の資金使途を説明できれば必要以上に下げる必要は無い

銀行に「役員報酬を下げろ」と言われた時に役員報酬の内訳をきちんと説明できれば、必要以上に下げる必要はありませんし、金額によっては下げる必要はありません。

例えば、独身の経営者が会社が赤字なのに役員報酬を2,000万円に設定している場合、半額以下まで下げた方がいいと思います。

また、800万~1,000万ぐらいに設定している場合に、「独身なのに、なぜその金額が必要なのですか?」と聞かれた時に、役員報酬の内訳をきちんと説明できないのであれば、下げるべきです。

説明できないと、「どうせ遊興費で使っているのだろう」と思われて終わりです。

このように思われてしまうと、今後の銀行との付き合いに支障をきたします。

しかし、家庭をお持ちの経営者で、会社が赤字で役員報酬を1,000万円に設定している場合、世間的に見たら「ちょっと高い」と思われるような金額であったとしても、
「税引き後の手取りは年間約760万円です。1か月当たり63万円です。このうち、毎月の住居費が〇〇万円、生活費が〇〇万円、子供の学費が〇〇万円、会社の資金繰りのために借入した分の返済が…」といったように、
役員報酬を1,000万円に設定している理由をきちんと説明できるなら、銀行から「役員報酬を下げろ」と言われても下げる必要は無いと言えます。

筆者のお客様で実際にこういった状況の方がいましたが、最終的には下げることなく現状維持で納得いただけました。

まとめ

以上、銀行にリスケ依頼したら役員報酬を下げろと言われた時に、減額すべきかどうかについて解説しました。

基本的に明確な答えはありませんが、下記3つの考え方を元に現在の役員報酬を考えてみてください。

  • 業績から考える
  • 生活状況から考える
  • 会社への貸付などから考える

その上で、「今の報酬は高いかも」と思うなら下げた方がいいですし、「これ以上下げると生活が…」となるなら、下げる必要はないといえます。

人気記事 法人向けビジネスローンおすすめ6選【即日・低金利で資金調達】

人気記事 【最短即日】法人向けファクタリング6選【オンライン完結で資金調達】

面白かったらシェアをお願いします!
  • URLをコピーしました!
目次