ファクタリングを利用すれば資金繰りは改善する?ファクタリングの仕組み・注意点や利用者の相談事例を解説

  • 銀行融資を断られたからファクタリングを申し込んでみようと考えているけど、利用しても大丈夫かな?
  • ファクタリングを使えば入金サイトを気にする必要がないから、資金繰りは楽になりますよね?
  • 苦しいのは今月だけだから、一度だけの利用なら大丈夫ですよね?ファクタリングについて詳しく教えて欲しいよ。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

この記事を書いている私は、資金繰りや事業再生に関するご相談を10年近く受けており、ほぼ毎月のように、「ファクタリングを止めたいけどやめられない」という方からご相談を頂いております。そのため、相談対応の経験から学んだことを記事で詳しく解説していきます。

銀行融資を断られた方、リスケジュール中の方から「ファクタリング」を利用して資金調達しようと考えているというご相談をよく受けますが、「今をしのげばなんとかなる」的な発想でファクタリングを利用するのは止めた方が良いです。

倒産の時期を加速させるだけです。

なぜそのように言い切るのか、順を追って説明していきます。

ファクタリングのシステム

最初に、ファクタリングのシステムを解説します。

ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に売却する事によって現金化する方法ですから、融資とは異なります。

売掛金があれば資金調達できるので、銀行融資を断られたり、リスケジュール中の企業が利用を検討する事が多いです。

ファクタリングは売掛の買取りなので、利用者の与信は重要視されない

ファクタリングは売掛を買い取ってもらう取引なので、ファクタリングを利用する会社の与信は重要視されません。

取引の実態が確認でき、取引先の与信が高いという事が確認できれば良いため、融資と比較したら審査は早く、初めて利用される方でも2日前後で売掛金を買い取ってくれます。

債権譲渡禁止特約が付いていると利用できない

取引先との契約で債権譲渡禁止特約が付いていると、売掛の買取りはできません。ただし、法改正により今後は利用できる可能性があります。

詳しい解説は以下の記事を参考にして下さい。

民法改正で債権譲渡禁止特約が付いた債権譲渡が可能に!売掛債権を活用した資金調達の影響は?

2013.09.05

売掛先の与信が良ければ売掛の8掛けぐらいで買い取ってくれる

ファクタリングは売掛先、つまり取引先の与信が重要となるので、取引先の与信が悪いと買い取って貰えませんが、取引先の与信が良ければ売掛金を買い取って貰う事ができます。

売掛金の掛け目

売掛金の掛け目はファクタリングの取引形態にもよるのですが、概ね8~9掛けぐらいで買い取ってくれます。

1,000万円の売掛金があれば800~900万円で買い取ってくれる。というイメージです。

売掛が発生したら買い取って貰えるので入金が早まる

ファクタリングは売掛の買取りなので、売掛が発生した時点で買い取ってもらえば、早期に資金回収ができます。

商取引の多くは、売掛が発生してから30日~60日ぐらい後に入金されるのが一般的ですが、ファクタリングを利用すれば、入金されるのを待たずに資金回収できます。

 

ファクタリングの注意点

売掛金を買い取ってくれるファクタリングを利用すれば、売掛さえあれば8~9掛けぐらいの現金をすぐに手にする事が出来るので、資金繰りが厳しい時には心強く思えますが、買い取り手数料が高いので注意が必要です。

使い方を間違えると倒産可能性が確実に引き上げ、倒産時期を早めてしまう事になります。

利用して資金繰りが楽になるのはその時だけ

ファクタリングは取引先の与信が良ければ売掛を買い取ってくれるので、支払いよりも先に売上の回収を図る事が出来ます。

そのため、利用直後は「資金繰りが改善した」と錯覚してしまいがちですが、冷静に考えると粗利の殆どを手数料で食われてしまう事になるので、販管費を賄えなくなる可能性が高いです。

手数料が高いから利益の大部分を食われることに

ファクタリングの買取り手数料は非常に高いため、業種によっては粗利をほぼ食われることになります。

粗利率が40%~50%近くあるような業種であれば良いですが、粗利率が20%前後の企業がファクタリングを利用すると粗利を完全に失う事になり、販管費が賄えなくなります。

例えば、粗利率20%のビジネスを運営しているような場合、以下のような状況になります。

  • 売上:100
  • 原価:80
  • 粗利:20

粗利20の中から販管費を賄う事になる訳ですが、粗利率20%の企業が買取手数料20%のファクタリングを利用すると、以下のような状況となります。

  • 売上:100
  • 原価:100(買取手数料20を含む)
  • 粗利:0

粗利が無くなる訳ですから、販管費は賄えなくなるという状況に陥ります。

安易に利用を検討するのは止めるべき

販管費が賄えなくなる状況になると、販管費の支払を補うため、必ず何かしらのしわ寄せが行くことになります。

  • 経営者の個人資産を切り崩す
  • 親戚・知人から借りる
  • 給料の支払い遅延
  • 事務所家賃の支払い遅延
  • 借入金の返済遅延
  • 税金・社会保険料の納付遅延

などなど、色々なところにしわ寄せがいくことは容易に想定できますので、「すぐに現金化できるから」といって、安易に利用を検討するのは止めた方が良いです。

 

実際にあったファクタリング利用者からのご相談事例

ファクタリングを利用した事によって、負のスパイラルに陥ってしまった方からのご相談事例をご紹介します。

ご相談者様の概況
  • 業種:建築・建設業
  • 年商2億(月商平均1,700~1,800万円)
  • 粗利率:17%~23%で推移
  • 営業利益:ゼロ
  • 経常利益:▲300万円(既借入金の利息)
  • 補足説明:銀行融資はリスケジュール中で新規の資金調達はできない。売上の50%は大手企業からの下請けで、残りの50%は地元企業からや、個人客からの請負

ファクタリング利用のきっかけ「資材を卸して貰っている取引先が大手なので、支払のジャンプを申し出ようものなら、すぐに仕入れを止められてしまい、現場が止まってしまうので、ファクタリングを利用して取引先への支払に充てた」という事でした。

この説明だけ見ると、「ファクタリングを利用した事で危機を回避した」というように見えるかもしれませんが、ファクタリング利用を契機に、さらなる苦境を招くことになってしまいました。

毎月200万円の赤字が発生

ファクタリングを利用すると高額な手数料負担が発生するため、手数料分をどこかで賄う必要が出てきます。ご相談者様はファクタリングを利用した事によって、200万円の手数料が発生してしまいました。

買取手数料の内訳:買い取ってくれた売掛は、大手企業との商取引で発生した1,000万円の売掛に対する手数料20%。残りの売掛金は「与信上の問題と、個人客なのでNG」との回答だったそうです。

ご相談者様は毎月350万前後の販管費が発生するのですが、200万円の粗利を見込んでいたので当然払えなくなります。そうなるとどうなるか?資金が足りなくなるので、また利用することになります。2回利用したら損失は400万円に膨れ上がります。

ご相談者様の概況を見れば分かる通り、経常は300万円の赤字です。

既借入金の利払いはすでに個人資産から少しずつ切り崩して払っていた状況だったのですが、2回目にファクタリングを利用した時には、すでに社会保険料や事務所家賃の支払いが遅れるようになってしまったと言っていました。

半年間で喪失したキャッシュは1,200万円

3~4回程ファクタリングを利用する頃には、仲の良い取引先に支払いを待ってもらったり、地元の先輩から〇百万円借りたりして資金を回していたそうですが、私のところに相談に来られた時には「地元の先輩からお金を借りたり、仲の良い取引先に支払いを待ってもらったけど、もう限界です。これ以上はお金を工面できません」と吐露していました。

半年間で負担した手数料負担は1,200万円です。ファクタリングを利用せず、違う形でしのいでいればここまで苦しむ事は無かったのは間違いありません。

 

どうしても利用したいなら、自社の利益率のシミュレーションが必要

勘違いして欲しくないのですが、ファクタリングの利用を否定している訳ではありません。

ファクタリングを利用するなら、利用を検討する前に自社の利益率をきちんと把握したり、ファクタリングを利用した場合の資金繰りのシミュレーションを入念に行って欲しいとお伝えしたいので、ファクタリングの利用を否定している訳では在りません。

先程ご紹介したご相談者様から話を伺うなかで「当社の粗利率は25%~30%ぐらいだという肌感覚があったから、一回だけなら大丈夫と思っていたのですが、よくよく計算してみたら17%~23%程度だった。」という事を言ってましたので、このようなどんぶり勘定で利用を検討するのはよくありません

資金繰りに焦るとこの手の計算が面倒になりがちですが、さらなる苦境に追い込まれないためにも、粗利率の詳細を把握し、資金繰りのシミュレーションを綿密に行う必要があります。

早めに予測していれば、利払い負担の低い調達方法を検討できる。

資金管理を日ごろから徹底していれば、直前になって「支払いができないかも」というような状況に陥る可能性は低く、1カ月前、2カ月前ぐらいには「〇月〇日に資金ショートが確実だから、金策する必要がある」という行動を起こす事ができます。

今回のご相談者様は「ファクタリングではなくビジネスローンで借りれば良かったけど、ビジネスローンに問い合わせたら初めての利用は審査に1週間近くかかると言われて、資金化が早いファクタリングにしたんですよ。」と言ってました。

この方も事前に色々とシミュレーションしておけば、1カ月ぐらい前からファクタリングよりも条件の良い資金調達方法を検討できた訳ですが、粗利率の綿密な計算や、資金シミュレーションを怠ったばかりに、このような状況に陥ってしまった訳です。

ファクタリングよりもビジネスローンの方がまだ条件が良い

売掛の20%近いファクタリングを利用するよりも、年利8%前後のビジネスローンを検討した方が、よっぽど条件が良いと思います。

ビジネスローンの詳しい解説は以下の記事を参考にして下さい。

ビジネスローンを利用する前に押さえておくべき3つのポイント。銀行融資の影響等について解説

2018.10.27

ファクタリングと比較したら審査は厳しめで、初めて利用する方は審査の期間に1週間前後かかりますが、高額な手数料負担は回避できますし、分割での返済も可能ですので、一時的にしのぐという事であれば最初にファクタリングを選択するのではなく、まずはビジネスローンの利用を検討した方が良いです。

  1. まずはビジネスローンの利用を検討する
  2. 3社ほどあたってダメであればファクタリングを検討する
  3. 取引先からジャンプ等の協力を得られるかどうかの可能性を考慮し、取引停止の可能性が高ければファクタリングを利用

というような流れで検討するのがベターだと思います。いきなりファクタリングに飛びつくのは危険です。

おすすめのビジネスローン

 

まとめ

以上、ファクタリングの仕組みや、利用を検討する際の注意点、ファクタリングを実際に利用した方からのご相談事例などについて解説しました。

ファクタリングは融資とは異なり、ファクタリング会社が売掛を買い取る仕組みなので、利用者の与信の重要度は殆ど考慮されないため、リスケジュール中でも利用できる資金調達方法として有効ではありますが、買い取り手数料が高いので、いきなりファクタリングに飛びつくような事は避けるべきです。

十分に自社の利益率を考慮し、利用した場合の資金繰りシミュレーションを行ったうえで利用を検討すれば良いかと思います。また、利用を検討する前にビジネスローンで調達できないか?という事も併せて検討しておくべきだと言えます。

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