銀行融資をリスケすると信用情報に影響する?【結論:影響なし】
銀行融資をリスケしようと思ってますが、リスケすると信用情報に影響しますか?
ローンが組めない・クレジットカードが作れないなどの影響がないか心配です。
リスケは信用情報に影響するかどうか知りたいです。
本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。
- 銀行融資をリスケしても信用情報に影響しない【結論】
- 信用情報に影響するケース3つ
- 信用情報に影響することで起こること
- 異動情報が登録される信用情報機関3つ
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験をもとに、本記事では、リスケ依頼した際の信用情報の影響について解説します。
銀行融資のリスケを検討しているけど、
- 契約内容を変更するのだから信用情報に影響するのでは?
- 延滞と同じ扱いになるのでは?
など、リスケすると信用情報に影響するか心配な方は、ぜひ参考にしてみてください。
銀行融資をリスケしても信用情報に影響しない【結論】
最初に結論から言うと、銀行融資をリスケしても信用情報への影響は一切ありません。
理由は、リスケは貸し手と借り手、双方合意の上で一時的に契約内容を変更しているだけに過ぎないため、返済が遅延・延滞している訳ではないからです。
そのため、信用情報に影響することはないのです。
では、どのようなケースだと信用情報に影響するのでしょうか。次の項目では、信用情報に影響するケースを紹介していきます。
信用情報に影響するケース3つ
信用情報に影響するケースは下記3つです。
- 借入金の返済を延滞した場合
- 期限の利益を喪失した場合
- 代位弁済になった場合
上記のとおり。
借入金の返済を延滞した場合
銀行融資はもちろん、ノンバンクからの借入金の返済を延滞すると、信用情報に影響します。
ちなみに、本記事の最初に「リスケは信用情報に影響しない」とお伝えしていますが、リスケしたことが信用情報に影響することはありませんが、リスケ後に金利の支払いが滞ると延滞扱いとなり、信用情報に影響しますので、返済が遅れないよう注意しましょう。
期限の利益を喪失した場合
銀行融資を90日以上延滞すると、期限の利益を喪失します。
期限の利益を喪失すると、信用情報に影響します。
債務者は期限の利益で守られている為、契約通りに返済していれば債権者から一括請求を受けることはありません。
しかし、契約で決められた返済日に返済できなくなると、「期限の利益」を喪失することになりますので、債権者から一括請求されます。
期限の利益の喪失に該当するケース
期限の利益を喪失するケースは90日以上の延滞のほか、下記いずれかに該当すると期限の利益を喪失しますので、ご注意ください。
- 仮差押・差押 → 預貯金、担保物件の差押を受けた時
- 手形事故 → 不渡りを出した時
- 法的整理 → 破産・民事再生・会社更生法・特別清算開始の申し立てをした時(弁護士に債務整理を委任したとき、あるいは営業の廃止を表明したときも含まれます)
代位弁済になった場合
信用保証協会の保証付融資が代位弁済になると、信用情報に影響します。
代位弁済とは、銀行から保証協会の保証付融資を受けた事業者が、元利金ともに返済不能になると、主債務者である企業に代わって保証協会が銀行に対し、借入金を肩代わり弁済することです。
詳しくは別記事の「信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?【徹底解説】」をどうぞ。
以上の3つが信用情報に影響するケースです。続いて、信用情報に影響することで起こることを詳しく解説してきます。
信用情報に影響することで起こること
信用情報に影響することで起こることは下記1つです。
- しばらくの間、新規融資は絶望的となる
上記のとおり。
しばらくの間、新規融資は絶望的となる
信用情報に影響すると、しばらくの間、銀行からの新規融資は絶望的となります。
また、信用情報を重視する
- ノンバンクからの借入
- 新規クレジットカードの申し込み(既存のカードは止まる可能性あり)
なども絶望的となります。
しばらくの間って具体的な期間はどれぐらい?
銀行借入を延滞した情報は「KCS(全国銀行個人信用情報センター)」という信用情報機関が管理していて、KCSは延滞した情報を5年間保存します。
信用情報機関に異動情報が登録されている限り、銀行からの新規融資は絶望的となります。
なお、異動情報は5年経てば消えますので、その時に新規融資を受けれる可能性が出てきます。
信用情報機関に異動情報が登録されないよう注意しましょう
異動情報が登録されると、登録されている間は新規融資は絶望的となりますので、異動情報が登録されるようなことがないよう、日々の資金繰りに細心の注意を払いましょう。
資金繰りが厳しければ無理に返済しようとせず、リスケして資金繰りを確保したり、銀行融資以外の方法で資金調達を検討する等、資金ショートを起こさないよう、延滞や期限の利益を喪失することが無いよう気を付けましょう。
リスケを検討する際、借りれなくなることを心配して無理して返済しようとされる方が少なくありません。
しかし、下記記事でも解説しているとおり、借りれない心配をしても意味ないので、資金繰りが厳しければ迷わずリスケした方が安全です。
以上が信用情報に影響することで起こることです。続いて最後に、異動情報が登録される信用情報機関を紹介していきます。
異動情報が登録される信用情報機関3つ
異動情報が登録される信用情報機関は下記3つです。
- CIC(シーアイシー)
- JICC(日本信用情報機構)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
上記のとおり。
CIC(シーアイシー)
CIC(シーアイシー)は、主に割賦販売や消費者ローン(クレジットカード利用、ローン利用、消費者金融利用など)の利用・返済情報などを取り扱っている信用情報機関です。
- クレジットカード・ローン
- 携帯電話・スマホの割賦払い
- リース
などの支払いを遅延・延滞すると、CICに異動情報が残ります。
信用情報の保存期間は「5年」
信用情報の保存期間は5年です。
支払遅延、異動(延滞・保証履行・破産)など信用情報に傷がついた場合、5年間は履歴が残ります。
参考リンク CICが保有する信用情報|信用情報について|指定信用情報機関のCIC
JICC(日本信用情報機構)
JICC(日本信用情報機構)は、消費者金融やクレジットカード会社、ノンバンク、銀行、保証会社、リース会社などの利用・返済情報などを取り扱っている信用情報機関です。
3つの信用情報機関の中で最も加盟会員が多く、最も長い歴史がある信用情報機関です。
信用情報の保存期間は「5年」
信用情報の保存期間は5年です。
支払遅延、異動(延滞・保証履行・破産)など信用情報に傷がついた場合、5年間は履歴が残ります。
参考リンク 登録内容と登録期間 |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
KSC(全国銀行個人信用情報センター)
KSC(全国銀行個人信用情報センター)は、全国銀行協会が運営している信用情報機関で、銀行、信金・信組、JA(農協)、信用保証協会などの金融機関が加盟しています。
金融機関の借入が延滞すると、KSCに異動情報として登録されますのでご注意ください。
信用情報の保存期間は最長「10年」
取引情報(延滞、代位弁済、強制回収などの履歴)や手形不渡り情報は5年間履歴が残ります。
ちなみに、官報に公告された情報(破産・民事再生手続き開始決定)は10年間履歴が残ります。
参考リンク センターの概要 | 全国銀行個人信用情報センター | 一般社団法人 全国銀行協会
3つの信用情報機関はCRIN(クリン)で相互に提携している
3つの信用情報機関は相互に提携しているので、お互いが保有している信用情報をチェックできるようになっています。
この、情報共有の仕組みは「CRIN(クリン)」と呼ばれていて、それぞれの信用情報機関が保有する信用情報のなかから、下記情報をやり取りしています。
- 延滞・代位弁済に関する情報
- 各信用情報機関に、申込者が申告した本人確認書類の紛失・盗難に関する情報
銀行の借入情報はもちろん、個人で利用しているクレジットやノンバンクからの借入についても、きちんと返済しないとそれぞれの借入の審査に影響があることを覚えておきましょう。
センターは、次の個人信用情報機関と提携して情報交流CRIN(Credit Information Network:クリン)を実施しており、センターおよび提携個人信用情報機関の会員は、各機関の延滞、代位弁済等の情報および本人申告情報の一部を相互に利用することができます。
出典:情報交流(CRIN) | 全国銀行個人信用情報センター | 一般社団法人 全国銀行協会
まとめ
以上、銀行融資をリスケすると信用情報に影響するかどうかを解説しました。
リスケだけでは信用情報に影響しませんが、返済の遅延や延滞を起こすと信用情報機関に異動情報として登録され、5年間履歴が残り、情報が残っている間は新規融資は絶望的となります。
資金繰りが厳しい時は躊躇せず、リスケ依頼して資金流出をくいとめましょう。