倒産寸前まで追い込まれる人と、うまく回避する人の違い。

ご相談を受けていると、様々なケースを目にします。様々と言っても、話を掘り下げてしまえば、「資金繰りが厳しい」 という事に要約されてしまうのですが、ごくまれに、(25人~30人に一人ぐらいの割合で)「えっ?まだまだ全然大丈夫ですよ」というような方からもご連絡をいただきます。

この段階で連絡してくれると、正直すごく助かるのですが、あまり健全すぎても素直に喜べない自分がいます。というのも、「何で私に連絡してきたんだろう?」という疑問で頭がいっぱいになってしまうからです(苦笑)。

決算書を見ても、財務内容は健全だし、かと言って、簿外債務も無いとおっしゃっているし…

簿外債務とは:
貸借対照表上に記載されていない債務の総称を言います。代表例として、保証債務等の偶発債務があげられます。
その他にも、退職給付債務や未払い賞与、貸倒引当金等が貸借対照表に計上されていないか、もしくは、法人税法上の繰入限度額までしか計上されていない ケースがかなり多く、これらも簿外債務に該当します。

弊社に連絡してきた理由がよく分からないので、お話をお伺いしてみる事にしました。

事前になって慌てるのが嫌なので、リスク管理を徹底していた

決算書を拝見する限りでは、特に問題が見当たりません。業績推移を見ても、3期横ばいではありますが、営業利益は十分確保しています。

減価償却もきっちりと内部留保されているみたいですし、問題が見当たりません。なぜ、私を呼んでくれたのでしょうか?

するとこのようにお答えしてくれました。

社長
いえ、実はですね・・・こちらをご覧下さい。過去の業績推移から算出した、資金繰り予定です。このままの営業成績をだせれば、問題は無いのですが、取引先のS社が資金繰りに苦しんでいるという話を耳にしまして・・・

今すぐどうこうという話ではないですが、仮に、取引先の売掛金が回収できなくなったとしても、うちが直ちにどうこうなる訳ではありませんが、もし、そこが倒れてしまうと、○○部門が20%の売上減に見舞われます。

しかし、それでもうちはなんとか大丈夫なのですが、S社が倒れると、S社と取引している知人の会社が今度はやばくなります。

知人の会社とうちの会社が取引しているので、知人の会社が倒れると、利益確保が難しくなってしまいます。そうなってしまうと、○○部門は良くてトントン、悪くてギリギリ赤字に転落してしまいます。

仮に、知人の会社が持ちこたえる事ができずに倒れてしまったら、S社と同様に、売掛金が未回収になってしまいます。そうなると、いっきに資金繰りが悪化するので、今のうちに対処法を知っておくために来てもらったというわけです。

全ての話を聞き終えた私は、思わず「ポカーン」としてしまいました。

あまりにもリスク管理が徹底されているので、驚きすぎて、つい、間抜けなツラを晒してしまいました。このような会社は、まず、苦しい思いをする事が無いでしょう。

あまりにもリスク管理が徹底されているので、

創業してからずっとこのように管理してきたのですか?
と質問してみると、社長はこのように答えてくれました。

 

過去の苦い経験をもとに資金管理を徹底するようになった

社長
実はですね、8年程前に倒産寸前まで追いやられた事があるのです。手元資金が0になり、手形不渡り寸前まで追いやられた事が過去にありました。

不渡りを出してしまったら債権者の方に申し訳ないので、保険金をかけて自殺して、保険金で債権者の方にお支払いしようと考えた事もあります。実際、保険に入って遺書を書くところまで行きました。

その時は、放漫経営といいますか、とにかく全てがずさんで、資金管理など全くしておりませんでした。周りの人に助けられ、自殺は思い止まりましたが、不渡りを出しそうな恐怖に駆られてからというもの、2度とあんな思いをしたくないので、それ以来、資金管理は徹底しております

と、説明してくれました。

手形不渡りの恐怖という教訓から得た資金繰り表の大切さ

手形不渡りの恐怖という教訓から、資金繰り表の大切さを身に染みて理解されたようで、それ以来、社長が資金繰り表を作成・管理されているようです。資金繰り表を作成して、資金管理を徹底してからというもの、あんな思いをする事は2度と無くなったようです。

それはそうですよね、半年前、1年前に危機を予測できるのですから、嫌な思いをする事は無いと思います。資金繰り表の大切さを理解している人は、倒産寸前まで追い込まれる確率は、極端に低下します。

一方、「今月にも…」という方は、たいていの場合資金繰り表がありません。

 

直前になって相談してくる方は資金繰り表を作っていない場合が殆ど

作っていたとしても、1ヶ月後の資金繰り予定か2ヵ月後の資金繰り予定か、その先はほとんど無い事が多いです。

面談の際に、決算書を拝見させていただいているのですが、決算書を見終えた後に「資金繰り表はありますか?」と聞いてみると、ほとんどの方が「えっ。いや、忙しくてなかなか…」と答えます。

仮に、資金繰り表があったとしても、大抵の場合私と会う前に急遽作った資金繰り表が出てきます。

「社長、この資金繰り表は、何時作ったのですか?」と聞くと、 「実は、お会いする事が決まってから資金繰り表を作りました」と答える方が少なくありません。

資金繰り表があれば、もっと早い段階で連絡してくるのがほとんどですから、「来月」とか、「今月」、とか、「3日後」というような方は、資金繰り表を作っていない場合が多いのです。

早めに経営危機を察知する事ができれば経営危機は回避しやすい

数ヶ月後の経営危機が察知できれば対応策はそれこそたくさんあります。資金繰りにゆとりも出ますし、組み合わせ次第で何でもできます。でも、「来月の支払いが払えない」「今月末の支払いが払えない」となると、打つ手が限定されてしまいます。

以前、早ければ早いほど、打つ手は増えるとお話しましたが、早ければ「こういう方法もありますし、こんな方法もあります!」と、説明している私が悩んでしまうぐらい、数多くの対処法がでてきます。

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2013.05.31

しかし、「来月」とか、「今月」、とか、「3日後」等と言われてしまうと、「これしか方法が残っていません…」としかお答えできなくなってしまいます。

以前、資金繰り表は大事ですよ!と熱弁したので、きっとあなたは大丈夫だと思いますが、もし、資金繰り表を作っていなければ、すぐに作って下さいね。半年後の資金ショート、1年後の資金ショートが察知できるようになれば、資金ショート回避に向けて動く事ができます。

直前になって「金が無い!! どうしよう・・・」と慌てるより、優良部門は今のうちに切り離しておこう。新規の融資を受ける事ができるかどうか、感触を掴みに行こう。もし、駄目なら、今のうちに違う調達方法を準備しておこう。と動く事が出来るようになります。

 

まとめ

眠れなくなるのはあなたです。

真綿で首を締め付けられるような息苦しさの中で、悩み続けるのはあなたです。

売上を上げる事を考える余裕が無くなり、お金の心配ばかりするのはあなた自身です。

私はあなたにそんな目にあってほしくありません。そうならないためにも、資金繰り表を作成しておきましょうね

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている