顧問税理士や会計事務所と上手く付き合う3つの解決策

資金繰りにお悩みの企業からご相談を受けると、顧問契約を締結している税理士や会計事務所に対する不満をよく聞きます。

不満の内容は主に下記3つです。

  • 税金のアドバイス以外に資金繰りや借入に関するアドバイスをして欲しいけど、殆どしてくれない。
  • 試算表が出てくるのが遅い。
  • 定期的に面談してくれない。

というのが主なものです。

内情を知らずにこれだけ聞いてしまうと、税理士や会計事務所が悪いような印象を受けますが、本当に彼らが一方的に悪いのでしょうか。

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責任転嫁しているようなケースが少なくない

このような不満をこぼす方から以下の点について詳しい事情を伺うと、税理士や会計事務所が一方的に悪いと感じたことは殆どありません。

  • 月額の顧問料はいくらぐらいなのか?
  • 社内の経理体制はどのようなものなのか?

むしろ、「そんなに多くを求めても難しい」と感じるケースが殆どです。

顧問料が安ければサービスはそれなり

毎月の顧問料が安いとサービスはそれなりのサービスしか受ける事はできません。税理士や会計事務所はサービス業です。

サービス提供の時間が直接的に売上に比例している業種ですから、価格が安いという事は、サービスを提供する時間を削るしかありません。

そうでもしないと、事務所を維持する事ができませんから、これは致し方ありません。

料金の安い会社にかかりっきりになってしまったら、税理士や会計事務所も倒産してしまいます。

相応の料金を払わないと、良いサービスを受ける事ができないのは致し方ないところです。

経理体制がキチンとしていないと経理のフォローだけに終始する

社内の経理体制がきちんとしていないと、良いサービスを受ける事はできません。

例えば、経理担当がいる会社の場合、経理とは名ばかりで伝票入力に終始していて、資金管理ができていなかったりすると、税理士や会計事務所のスタッフが経理担当のフォロー(経理業務のアドバイスなど)をしたりすると、その単純作業に時間を割かれてしまう事になります。

そうなると、それ以上の事に踏み込むのは非常に難しくなります。

なぜなら、踏み込もうと思ったら絶対的に時間が必要となる訳ですから、ここで時間を費やしてしまうと、追加料金でも貰わない限り、踏み込めば踏み込むほど収益が落ちますので、それであれば「踏み込まない方が良い」という判断が働きます。

これは、逆の立場で考えれば分かる事だと思います。

税理士や会計事務所と上手く付き合っていく3つの方法

それでは、どうすれば税理士や会計事務所と上手く付き合っていく事ができるのでしょうか。解決策は以下の3つです。

  • 自計化の推進
  • 顧問料を今よりも多く払い、もっと踏み込んでもらう
  • 経営者自身が日々勉強する

それでは、順を追って解説していきます。

自計化の推進

税理士や会計事務所に対して、以下のサービスを望んでいるのであれば、自計化を推進し、社内の経理体制を強化する他ありません。

  • 試算表を早く出して欲しい
  • 月次損益をすぐに把握できるようにしたい
  • リアルタイムでの数字を管理したい

自計化ができていれば、こうしたデータは税理士や会計事務所にお願いしなくてもすぐに確認できます。

これらを全て税理士や会計事務所に委託したり、丸投げしようとするからこそすぐに確認できないのであって、自計化ができる体制が整っていればデータはスグに見れます。体制を整えれば「試算表がスグに出てこない」、「毎月の損益がスグに分らない」といった不満は一切無くなります。

顧問料を今よりも多く払い、もっと踏み込んでもらう

もっと踏み込んだアドバイスを貰う為には、顧問料を今よりも多く払う他ありません。

毎月2~3万円の顧問報酬で

  • 試算表をすぐに出して欲しい
  • 毎月、数字に対するアドバイスが欲しい

等と言う方が、無理難題を押し付けているとしか思えません。

税理士の先生や会計事務所の職員は一人で何十社と案件を抱えていますから、個別の会社の財務内容を正確に把握している訳ではありません。要するに「何十社もあるうちの1社に過ぎない」訳です。

そのため「ウチの会社だけもっとアドバイスが欲しい」、「ウチだけ早く対応して欲しい」というのは無理難題という他ありません。

早く対応して貰ったり、もっと多くのアドバイスが必要であれば、相応の顧問料は必要になると言えます。

経営者自身が日々勉強する

経営者自身が税務・会計の知識を身に付けてしまえば、アドバイスは最小で済みますし、社内の自計化も推進しやすくなります。

経営者自身が税務・会計に詳しければ経理担当に細部までレクチャーできますから、試算表なんてスグ作れますし、月次損益の把握もほぼリアルタイムで確認する事ができます。

実際、税務・会計にめちゃくちゃ詳しい経営者の方にお会いする事がありますが、そのような方は経理作業をマニュアル化し、リアルタイムで数字が分るように管理してます。

私が訪問した時に 「直近の試算表はありますか?」と聞くと、 「私のパソコンにデータが入っているのですぐ印刷しますね」 と言って、すぐに印刷してきてくれました。その方は決算も社内でやっているようで、決算書のハンコだけ、税理士に押してもらっていると言ってました(最終的なチェックです)。

なぜ、ご自身で勉強されたのか聞いたところ、「数字をいち早く管理したいので、このような体制を作りたかった。飲みに行くのやゴルフを我慢して、ひたすら勉強した」と言ってました。

こうした努力をしないで「税理士・会計事務所がアドバイスしてくれない」とか「試算表が遅い」などと言うのは、それってちょっと違うのでは?と感じてしまいます。

手厚いサービスを望めば相応のコストがかかる

私を含め、税理士・会計事務所が提供するサービスは人員の労働量が直接的に売上に比例している、労働集約産業です。人が動く時間がそのまま売上に反映される訳です。

そのことを踏まえた上で付き合っていかないと、お互いの関係がギクシャクしかねません。サービスを厚くして貰うには、時間当たりの必要なコストを負担する。これしか方法は無いのです。

実際にあった好例

以前、「最終的な意思決定をする前に相談したい」という事で、ご相談に来られた方がいます。

いつものように、財務資料や、不動産の権利関係が判る資料を用意して頂いたのですが、それらの資料とは別に、珍しい資料をお持ちになってきてくれました。貸借対象表の実態修正と、清算価値が記載されたものです。これには驚きました。

ずいぶん珍しい資料をお持ちだなと思ったので、「ご自身で作成されたのですか?」と質問したら、「顧問税理士に別料金を払ってすぐに作ってもらった。」との事でした。

なんでも、私に会う前に「実態修正した貸借対照表を持っていって相談したいので、○日に間に合うよう作って欲しい。契約外の仕事だから報酬は別途払うのでとにかく早くやって欲しい」とお願いして作ってもらったと言うのです。

一見すると当たり前の事だと思うのですが、資金繰りが厳しくなると、こういう当たり前の事が言えなくなったりするんですよね。実際、「○年も顧問契約しているのだからこれぐらいならタダでやってくれる」等と自分本位で考えてしまう方は少なくありません。

確かに、頼めばやってくれる先生方もいるかも知れませんが、顧問の先生方も多くの案件を抱えている訳ですから、長年契約している社長にお願いされたからと言って、無報酬で急ぎの調査をやるという事など土台無理な話です。

まとめ

顧問税理士や、会計事務所に対する不満を言うまえに、こちらが無理難題を押し付けてないか?と考える必要はあると思います。

安かろう、悪かろうと判った上で契約したのですから、責任転嫁はしちゃいけないとやっぱり思うのです。

毎月の顧問料やサービス面でどうしても不満があり、税理士の見直しを考えているという事であれば、以下の記事を参考にして下さい。

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