事業規模が小さいと事業再生は簡単?【結論:個人・零細企業の方が難易度は高い】

  • 会社が大きいと事業再生は難しそうだけど、ウチは事業規模が小さいから、事業再生も簡単ですよね?
  • 事業規模が大きい会社と比較して意思決定も早いから小さい方が再生も簡単ですよね?
  • 事業規模が小さいから色々な面でコストもあまりかからないし、資金調達の金額も少ないからやりやすいですよね?

この記事では、こういった疑問にお答えします。

事業規模が小さいと事業再生は難しい【結論】

結論から言うと、事業規模が小さければ小さい程、事業再生の難易度がめちゃくちゃ上がり、事業規模が大きければ大きい程、事業再生の難易度は下がります。

なぜ、このような事になるのか、具体的に解説していきたいと思います。

 

事業規模の小さい個人・零細企業の事業再生が難しい2つの理由

事業規模の小さい個人事業主や零細企業の事業再生が難しいという主な理由は2つあります。

  • 事業規模が小さいと選択肢が少なくなるため
  • 事業規模が小さければ小さい程、売上減によるダメージが甚大

事業規模が小さいと選択肢が少なくなるため

事業規模が小さいと事業再生が難しい理由の一つに、選択肢の少なさがあげられます。

事業再生を考える際、通常、様々な選択肢の中から最適な組み合わせを採択し、事業再生に向けて実行に移していくというステップを踏むことになるのですが、事業規模が小さいと選択肢が非常に狭まってしまいます。

例えば、以下のような手法(交渉事といった方が正しいかもしれません)であれば、事業規模を問わずに使える手法です。

  • 支払いのジャンプ、若しくは延べ払い(分割払い)
  • リスケジュール
  • 代位弁済

代位弁済の詳しい解説は以下の記事を参考にして下さい。

信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?今後の流れと返済方法について解説

2013.05.31

しかし、以下のような手法は事業規模が小さい個人・零細企業では、選択肢として外されてしまう場合が殆どです。

  • 第二会社方式(会社分割・事業譲渡)
  • 出資、私募債、事業再生ファンド
  • ABL(売掛金担保融資)、シンジケートローン、資本性劣後ローン
  • M&A
  • 法的手法(民事再生)

第二会社方式の概要や、ABLの詳しい解説は以下の記事を参考にして下さい。

第二会社方式による事業再生とは?概要から成功のポイント、失敗例などについて解説

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ABL(売掛金担保融資)による資金調達を徹底解説!業種やメリット・デメリット、条件など【保存版】

2013.05.31

事業規模が小さいと支払方法を調整するぐらいしか方法がない

事業規模の小さい会社が事業再生のために資金調達を検討しても、金額の低さから断られる事が殆どです。また、第二会社方式などの組織再編手法も事業規模が小さいと無駄にコストがかかるだけで第二会社方式を使う意味が殆どありません。

となると、やはり、支払い方法を調整するような手法しか選択肢が無くなってしまうのです。

事業規模が小さければ小さい程、売上減によるダメージが甚大

事業規模が小さいと、事業再生が難しいもう一つの理由として、「規模の小さい会社ほど売上減によるダメージが甚大」という事があげられます。

例えば、月商5,000万円の会社があってこの会社の売上が半分に落ち込み、5,000万円の月商が半分の2,500万円になってしまったとします。

売上が半分に落ち込むという状況は会社としては相当な痛手だと思いますが、この事がきっかけで倒産する様な事は考えられません。

2,500万円に落ち込んだら、2,500万円で維持できるような体制に対応すれば良いだけの話なので、いきなり倒産するというような事は考え難いです。

もちろん、月商5,000万円の頃に比べたら資金繰りは厳しくなるのは間違いありませんが、それでも2500万円の売上があるのですから十分存命が可能であり、生き残るための選択肢は多岐に渡ります。

事業規模の小さい会社が売上減に見舞われると存続が困難

一方、事業規模の小さい個人事業や、社員数数名の零細企業になると、売上が50%減ってしまったら、売上減に合わせて体制を整えるような事が非常に難しくなります。

例えば、月商平均400万円前後で推移していた企業の売上が半減し、200万円に落ち込んでしまった場合、事業規模の小さい会社はいっきに存続不可能な状況まで追い込まれてしまいます。

売上の90%以上が利益だというビジネスであれば話は別ですが、たいていの場合で様々な原価がかかっているでしょうから、会社の運営を最低限維持できる余力がいっきに無くなってしまう事がほとんどです。

こうなってしまうと、会社だけならまだしも、経営者の生活がいっきに脅かされる状況に陥ってしまうので、この時点で倒産寸前の窮境状態に追い込まれてしまうことになるのです。

また、この規模の会社ですと、運転資金の余力がほとんど残されていないケースがほとんどですから、来月の資金の目処が立たないといった状況に追いやられてしまう事が珍しく無いのです。

 

まとめ

以上、事業規模が小さければ事業再生は簡単ではなく、非常に難しいという事について解説しました。

事業規模がある程度大きければ、事業再生の選択肢は多岐に渡ります。資金調達の可能性も十分残されていますし、大掛かりなことをしなくても経営改善だけで復活する可能性もあります。

また、いくら厳しいといっても多少の余力がある訳ですから、外部から専門家を招聘する資金的な余力も残されていると思います。余力があれば、事業再生の専門部署を立ち上げたり、コンサルタントを雇うことも出来ますから、良いアドバイスを多方面から受ける事ができます。

しかし、事業規模の小さい個人事業主・零細企業はそういう訳にはいきません。

資金調達の可能性がほとんど無く、努力して経営改善をしても効果が出てくるまで存続できるかどうかも分かりません。また、専門家からアドバイスを受けるコストも捻出できない場合が多いため、良い方向性を導き出す事が出来ない事が多いです。

以上のことから、本当に再生が難しいのは事業規模の小さい個人・零細企業と言えるのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている