計画倒産は許されざる行為なのか?

  • あらゆる手を尽くしたが、資金が全く追いつかない
  • 復活の見込みが全く無い。
  • 取引を打ち切られ、売上が無くなった

このような状況に追い込まれると、廃業の方向で話を進める事になります。

 

基本的にいきなり破産を進める事は無いですが、(放置プレイという選択肢もあるので)破産費用がある方や、早くリセットして再起をかけたいという方は、破産させるための準備に入る事になります。

この時、債権者・債務者双方の痛みを極力和らげるよう、ソフトランディングさせる事になります。

 

一般債権者に対して出来る限り支払いを行い、債務者である経営者は、

  • 破産後、同じ商売を始めるのか
  • 別事業を行うのか。
  • 起業せず、就職するのか

という方向性を見定めつつ、必要な資産の移転や、当面の生活費を確保するために、現状、出来る限り資金を蓄えます。

このような一連の行為は、世間一般的に「計画倒産」と呼ばれています。

 

計画倒産

この言葉のイメージは正直言って、良いものではありません。会社を倒産させ、債権者に迷惑を掛ける訳ですから、良いイメージであるはずがありません。人によっては、「ものすごく悪い事をしている」と思っている方も少なくないと思います。

世間的に良いイメージが全く無いという事は、私もきちんと理解しています。

でも、私、個人の意見としては、詐欺的な行為や、個人の利得のために資金を隠すような事をしなければ、そこまで問題視する事は無いと思ってます。

例えば、自分だけが助かろうという事で、多額の資産や現金を隠すような行為は許されないと思いますが、そうではなく、取引先や社員に極力迷惑をかけないようアフターケアしつつ、経営者の当面の生活費の確保や、復活しやすいよう、事業資産を別会社に移すような行為であれば、問題ないと思っています。

 

破産管財人にボロクソ言われる事もあります。

以前、破産した知人から「破産管財人にボロクソ言われましたよ」という話を聞きました。

この知人は、破産の申し立てをする前に、第三者法人に資産の移転を行い、 別の代表者をたて、今でも事業を行っているのですが、その一連の行為が全く気に食わないという事で、破産管財人から次のように責め立てられたのです。

「債権者に迷惑をかけたのだから、責任とるのは当たり前だ。それにも関わらず、高級住宅に住み続け、外車を所有し、不自由ない生活を送っているなど、言語道断である。そのような生活ができないよう、徹底的に追及していく。破産した経営者が路頭に迷おうが、家族がどうなろうが私の知った事ではない。」と。

誤解が無いよう一応言っておきますが、知人が住んでるマンションは、若干、家賃は高いのかもしれませんが、ファミリーで住んでいる事を考慮すれば、許容範囲だと思います。

また、外車と言っても、年式も経っているので、目くじらを立てるような物でもありません。管財人が売却すると騒ぎ出したので、事前にカービューに査定を出したら、その額10万円でした。(お気に入りの車の査定額が想定より低かったことに対し、軽くショックを受けていたのが印象的でした。)

 

「破産した経営者が路頭に迷おうが、家族がどうなろうが知った事では無い」

知人からこのセリフを聞いた時、めちゃくちゃ頭にきましたが、直接言われた知人は、私の何倍もムカついたと思います。今でこそ笑い話で終わりますが、当時はめちゃくちゃ腹が立ちました。

経営者にも生活がありますし、家族もいます。お子さんだっている事でしょう。生活のための僅かな資産を確保するぐらいであれば、許されても良いのではと思います。

債権者平等の原則は百も承知していますが、膨大な資金力を有する金融機関といった債権者より、取引先や社員、経営者やその家族の保全を少しばかり優先させるのは、何でも許されるという事は無きにしろ、少しぐらいは目をつむっても良いのでは?といつも考えさせられます。

 

無策で破産する事の方が、問題だと思います。

無策で破産をしてしまった身内の失敗劇を目の当たりにした立場から、誤解を恐れずに、あえて言いたい事があります。

倒産という事象により、冷静さを欠き、藁にもすがる思いで弁護士事務所に飛び込み、取り立てから解放されたい、内容証明、催告書、訴状などの法的書類が怖いという、自分が助かりたいが故に、無策で破産に飛びついてしまうのは、経営者の責任の取り方としては非常にお粗末だと思ってます。

債務者救済の一環として、破産という法的制度がある訳ですから、返す事ができない負債の処理方法として破産という制度を利用する事に対して、異論を唱えるつもりは全くありません。

でも、自分だけが精神的に解放されたいという一心で、取引先や社員のケアを怠るようでは、経営者としての資質が欠けているのではないかなと思うのです。経営者であれば、最後の幕引きも、最大限、努力して欲しいものだと個人的には思っています。賛否両論あるかと思いますが、無策で破産する人が少しでも減るよう願って止みません。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。
平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている