債権の総額と怒りのレベルは反比例の関係にある。

この仕事をしていると、ちょっとした矛盾を感じる事があります。それは、債権の総額と怒りのレベルは正比例の関係ではなく、大抵の場合で反比例するケースが多いのです。

どういう事かといいますと、例えば、あなたの取引先に、3,000万円の債権者と10万円の債権者がいたとします。ちょっとしたきっかけで、いずれの支払いも不可能になりました。

ここで、単純に考えると、3,000万円の債権者の方がもの凄く怒り、10万円の債権者は「10万ぐらいだから別に良いよ」とでも言ってくれると思うでしょうが、現実は全く逆で、10万円の債権者が「テメーバカ野郎」とばかりに激昂し、3,000万円の債権者が「とりあえず起こった事は仕方ないので、今後のことはご相談に応じます。」と穏やかな話し合いになるケースが多いのです。

私が今まで見てきた実感としては、怒りの段階は概ね3段階ぐらいに分かれてます。

  • 1,000万を超える大口債権者
  • 数百万の中堅クラスの債権者
  • 数万円~数十万円の小口債権者

といった感じです。

 

大口債権者は怒りのレベルが低い事が多い。

この仕事をしていて、あらゆる現場に立ち会いましたが、1,000万を超える大口債権者は、「回収不能」という事実が判明した際、あまり怒らない傾向があります。大抵の場合で非常に冷静で、「話を聞かせて欲しい」となるケースが多いです。

1,000万を超える大口債権ともなると、無闇に追い込んでしまうと、1円も回収できなくなる恐れが出てきます。そうなると、被る被害も甚大ですから、穏やかな話し合いで決着するケースが殆どです。

しかし、金額が低い場合はそうもいきません。数百万単位の中堅クラスの債権者の取扱は、気をつけなければなりません。月商にもよるのですが、例えば、150万とか、200万ぐらいの債権となると、頑張れば払えそうな金額だけに、ちょっとボタンを掛け違うと、怒りのトリガーを誘発する事にもなりかねません。

そのため、このクラスの債権者の取扱は、常に神経を張り巡らす事になります。

最も危険を伴うのが、数万円の小口債権です。

数千万の債権者よりも、数万円の小口債権者のほうが、回収も荒っぽく、怒りのボルテージがもの凄く高い事が多いです。今まで「○○社長」と呼んでいた方も、支払い不能となった際には、「テメー」「ふざけんなこの野郎」という荒っぽい言葉になるのも、たいていが小口債権者です。

言葉が荒っぽくなるだけならまだしも、数万円の小口債権者は、もの凄く執拗に追いかけてきます。これは、義父の倒産劇を目の当たりにした際、身をもって実感しました。

「払えない」という事実が判明してから、毎日のように事務所に来訪されました。小口債権者の回収努力は半端なく、私のパソコンを持っていこうとする方もいました(少しでも換金したいと言ってました)。

仲良くしていた担当者の方は、連帯保証もしていない私に「瀬間さん、今、財布にいくら入ってますか?立て替えてくれないと、会社に帰れないんです」なんて言ってきた事もあります。この担当者の方とは仲が良かっただけに、軽くショックを受けました。

また、一週間近く、家の近くのコンビニの駐車場で張り込んでいた方もいました(さすがにこれは社員の方も気の毒だと思いました)。この会社の債権は25万前後だったと記憶してますが、もう、朝から夕方までビッチリ張り付いてました。私と妻がコンビニに買い物に行くと、行動を監視されたりしてました。

 

基本、我々は無関係なのですが、相手はそう思ってくれないようで、「コンビニでのんきに買い物しやがって!」「倒産したくせに、新車を乗り回しやがって!」ぐらいの勢いで、私達を見ていたと思います。これは何も私と妻の思い込みではなく、やんわりとですが、この方から似たような事を直接言われたりもしました。

たった一週間で、人間の顔つきはあそこまで変わるのかと、当時、妻と関心したものでした。ビックリするぐらい、顔が荒んでました。

若干、話が逸れた感がありますが、以上の例から、債務総額と怒りのレベルは反比例するという事がお分かり頂けたかと思います。

窮境状態にある時は、面倒を少しでも減らすために、小口債権から片付けてしまうのがセオリーです。少数の大口債権者と交渉をした方が、ソフトランディングしやすいのは、経験上、間違い無いと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている