会社再生の局面で従業員を解雇する時のポイントや継続雇用する従業員のモチベーションついて解説

  • 資金繰りが厳しくて今の体制で従業員の給料を払うのは難しいから、何名かは解雇する必要があるのだけど、全員辞められたら困る。従業員にうまく言う方法はないかな?
  • 資金繰りが厳しい間は人が減るので、仕事が回らなくなっても困る。今のまま解雇に着手して大丈夫かな?
  • 残ってくれる従業員には会社の立て直しに協力してもらいたいけど、言い方のコツとかがあれば知りたいよ。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

従業員の解雇は会社を立て直すうえで避けて通れない

事業再生を決断する際、必ずと言っていいほど向き合う事になる問題が従業員の解雇です。

資金繰りが厳しくなってくると、様々なコストカットに着手する事になりますが、従業員の給料や処遇に関しては、稼動率が落ちてしまうことはもちろん、長年苦楽を共にしてきたという情もあり、着手に踏み切れない方方が少なくありません。

経営者の方からヒアリングをすると「限界までコスト削減したので、これ以上経費削減するのは難しいです。これ以上となると、後は人員削減しか方法が…」というお話を聞く事が多いです。

従業員の解雇は最後の砦

長年苦楽を共にしてきた従業員の肩を叩くのは心苦しい事だと思います。

とはいえ、整理解雇に着手しなければ倒産する可能性が極めて高いという状況であれば、従業員を解雇するのもやむなしだと思います。

従業員に対して「解雇」と宣告するのは言い難いでしょうし、なるべくなら解雇はしたくないかもしれません。しかし、この状況を放置しておくと会社全体の資金繰りに波及してしまうので、解雇に着手しなければならないと思います。

決断が遅いとお互いにとってマイナス

解雇の決断が遅いと、お互いにとってマイナスしかありません。

  • 会社:決断を先延ばしにすればするほど資金流出する
  • 従業員:早めに伝えれば再就職の活動もしやすいが、突然言われるとその時点で仕事を探すことになるので、早めに伝えた方が親切

ですので、「これ以上、雇用を継続するのは難しい」と判断したら、早期に決断した方が良いです。

整理解雇の4要件

経営悪化や事業規模縮小を原因とした従業員の解雇を「整理解雇」と言います。

整理解雇を行う際、「整理解雇の4要件」を充たしている必要があります。

(1) 人員整理の必要性
どうしても人員を整理しなければならない経営上の理由があること(「経営不振を打開するため」は○、「生産性を向上させるため」は×)。
(2) 解雇回避努力義務の履行
希望退職者の募集、役員報酬のカット、出向、配置転換、一時帰休の実施など、解雇を回避するためにあらゆる努力を尽くしていること。
(3) 被解雇者選定の合理性
解雇するための人選基準が評価者の主観に左右されず、合理的かつ公平であること。
(4) 解雇手続の妥当性
解雇の対象者および労働組合または労働者の過半数を代表する者と十分に協議し、整理解雇について納得を得るための努力を尽くしていること。

引用元:日本の人事部 – 整理解雇の四要件とは?

整理解雇の4要件を充たしてない状況で従業員を解雇すると、従業員側から「不当解雇」と申し立てられる可能性もありますので、この点、十分注意が必要です。

 

業績悪化で従業員を解雇する時の押さえておくべきポイント

整理解雇の4要件を充たしている事を確認したら、従業員の解雇に着手するのですが、その際は以下のポイントがあります。

一人ひとり面談する

単純に従業員を解雇しても、その後、上手く行かない事が多いです。従業員を解雇する際は、一人ひとり面談を実施する事がポイントです。

面談の際に話す内容は以下の事を伝えた方が良いです。

  • 給料が今までよりも下がる可能性がある
  • 人員が多いため、勤務日数を減る可能性がある
  • 今辞めるのであれば、退職金を払えると伝える(あくまで払える場合)

これらを慎重に確認しつつ、「これ以上この会社で働けません」となれば、その際に解雇するのが妥当な方法です。

従業員に「退職をしたほうが良さそうだ」と思わせるのがポイントです。

会社再生に協力的な人は残ってもらう

面談で従業員と話をする際、業績が悪化し、会社の資金繰りが悪化してきている中、頑張っくれる気概があるかどうか、従業員の考えを確認しておきましょう。

その時、

  • 給与が安くても、社長についていきたい
  • 会社再建に協力したい
  • 会社を良くするために、頑張りたい

という気概を持ってくれている従業員がいたら、解雇を保留し、検討しなおせば良いと思います。

 

残ってくれる従業員にはどのように対処すれば良いか

「給料が下がるのは致し方無い。業績を上げるために会社再建に協力したい」と申し出てくれた従業員を継続雇用する際、気をつけなければならない事があります。

それは、モチベーションの管理です。

面談の際に「頑張ります!」と言ってくれたとしても、モチベーションを維持できなければ足手まといになる可能性が出てきます。

また、残ってくれる他従業員に「やっぱり辞めた方が良いかも」とか、「やはり業績回復は難しいから今のウチに辞めよう」等と吹聴されても困ります。ですので、仕事へのモチベーションを今まで以上に高く保ってもらわなければなりません。

そのためには、具体的にどのようにすれば良いのか?

それは、社長が従業員を鼓舞するような事を直接伝えなければなりません。

  • 今の面子は少数精鋭だ。会社再建に力を貸して欲しい
  • 会社再建を諦めずに取り組もう
  • 会社を良くする為の意見を私(社長)や上司に遠慮せずどんどん発言して欲しい!

等といった感じで、残った人員は少数精鋭であるという認識を従業員に持たせ、自主的に会社再建に関わってもらうことが重要です。

 

従業員を解雇すると仕事が回らないと二の足を踏んでいる場合

「従業員を解雇すると仕事が回らなくなるので、解雇したくてもできない」という経営者の方がいますが、このような場合、考え方を変える必要があります。

従業員がいないと仕事が回らないという事でしたら、「人が減った際に、仕事を回すにはどうすればよいのか?」という事を考えなければなりません。

例えば、「5名いないとこの仕事は絶対に回らない」というような場合、3名で回すにはどうしたらよいか?という事を徹底的に考える必要があります。

考えていくうちに、「3名ではどう考えても無理だが、4名ならなんとかやれそうだ。」

「徹底的に効率化を図れるようにシミュレーションしたら、3.5名の仕事量という事が分かった。足りない0.5人分の仕事量については、他の部門から手伝ってもらうか、若しくはさらなる業務効率化を図れるように徹底的に改善していく。」という事を考え抜くと、なんとかなるケースが殆どです。

自動化できないか、効率化できないか徹底的に考える

解雇したら人員が減るので、その時は稼働率・業務効率は落ちると思います。しかし、今の仕事のやり方を続けていて本当に良いのか、その作業は本当に必要なのか?という事を考える必要があると言えます。

「業務効率化をしたい!」と思い立ったら、効率化に取り組む前に考える4つのこと

2018.06.20

また、最近ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるパソコンでの作業をロボットが行うツールがあります。

RPA(Robotic Process Automation)を導入し、面倒な雑務はロボットに任せてしまい業務の自動化を図ろう

2018.06.21

こうしたツールを活用して、足りない人員の分を補う事ができないか?という事を徹底的に考える必要があります。

 

まとめ

以上、業績が悪化し、資金繰りが厳しくなった時の従業員解雇のポイントや、継続して雇用する従業員のモチベーションなどについて解説しました。

従業員の解雇は心苦しいと思いますが、決断が遅くなればなるほどお互いにとってマイナスにしかならないので、早めに決断した方が良いです。

従業員が減ってしまえば一時は業務効率も落ちますが、残ったメンバーで合理化できないか、仕事を無くすことはできないか?という事を徹底的に考え抜けば人が減っても回る場合が殆どですので、これ以上、資金繰りを悪化させないために、早めに決断して整理解雇に踏み切ると良いかと思います。

以下の記事のように変わった事例もありますが、基本的にこうしたケースはレアです。

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2013.07.19

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