経営者保証に関するガイドラインの活用実績 平成26年度~平成28年度の推移

経営者保証に関するガイドラインの活用実績が中小企業庁や金融庁のサイトで公表されていますが、公表データは全て数字だけのデータでグラフ等で可視化されておらず、若干見難くかったので、傾向を把握するためにグラフにしてみました。

経営者保証に関するガイドラインは平成26年2月から施行されておりますので、民間金融機関、政府系金融機関のいずれも平成26年度のデータだけは「13カ月分」で計上されています。

 

民間金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績

データ出所:金融庁 http://www.fsa.go.jp/policy/hoshou_jirei/

代替的な融資手法とは、ガイドラインでは次の4つが例示されています。

  1. 停止条件付保証契約
    ・特約条項に抵触しない限り、効力が発生しない保証契約
  2. 解除条件付保証契約
    ・特約条項を充足する場合は、効力を失う保証契約
  3. ABL
    ・在庫や売掛金などを担保とする融資手法
  4. 金利の上乗
    ・信用リスクに見合った適切な金利を設定する融資手法

新規に無保証で融資した件数は増加傾向にあるのが確認できますが、保証契約解除の件数は、若干件数が少ない印象を受けます。

保証解除は、経営者保証に関するガイドライン6項で引用されている4項(2)にもあるとおり、下記の要件を満たす必要があります(必ず満たさなければならないという訳では無く、個別の事案によって柔軟に対応はされているようです)。

イ) 法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている。
ロ) 法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えない。
ハ) 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る。
ニ) 法人から適時適切に財務情報等が提供されている。
ホ) 経営者等から十分な物的担保の提供がある。

イ~ホの要件を見ると保証契約解除のハードルは高く思われるかもしれませんが、保証契約の解除が実現できれば事業承継や廃業の決断もしやすくなりますので、今後、件数が増加する事を期待します。

 

メイン行としてガイドラインに基づく保証債務整理を成立させた件数

平成28年度の民間金融機関の実績が1年間で231件しかないというのは、非常に少ない印象を受けます。というのも、同時期の企業倒産調査の件数をみると、およそ8,799件の企業倒産が発生しています。

※「一般財団法人企業共済協会」が調査している「企業倒産調査2016年」参照。
http://ri.bmaa.jp/home/kigyou-tousan-chousa-geppou/kigyoutousanncyousanennpou/nenpo-excel

「企業共済協会」が調査しているデータを見ると、2016年度の企業倒産は年間8,799件程度あったことが分かります。

年間の企業倒産件数が8,799で、保証債務整理は231件。
企業倒産件数の2.6%程度が保証債務整理が実行されたという事になります。

保証債務整理は企業倒産件数全体の割合からすると、どうしても少ない印象を受けてしまいます。今後、件数が増加する事を期待しています。

保証債務整理と破産の違い

経営者保証に関するガイドラインによる保証債務整理の場合、信用情報登録機関に対し、金融機関(銀行)からいわゆる事故情報は報告されないこととされていますので、信用情報が毀損されません。また、ガイドラインに基づく経営者保証の整理は外部に一切公開されません。

一方、破産の場合、信用情報登録機関に事故情報が報告されますし、破産の事実が官報に公告されます。破産と保証債務整理では大きな差があります。

 

政府系金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績

データ出所:中小企業庁 http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/

代替的な融資手法が平成26年度に31,735件の取り組み実績がありますが、翌年度からはデータがありませんでした。公表されていないのか、そもそも代替的な融資手法は行わないのか分かりませんが…。

 

ガイドラインに基づく保証債務整理を成立させた件数

 

まとめ

経営者保証に関するガイドラインの活用実績は年々増加しています。保証無しの融資はもちろん、保証債務整理も経営者に大きなメリットがありますので、積極的に活用していきたいですね。

データが更新されましたら、このページに記載しているグラフデータは更新します。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。
平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている