事業規模が小さいと事業再生は簡単?【結論:難易度は高くなります】

事業規模が大きいと事業再生は難しそうだけど、ウチは事業規模が小さいから事業再生も簡単だと思う。

事業規模が大きい会社と比較すると小さい方が意思決定も早く、小回りが利きやすいから再生しやすいと思う。

事業規模が小さいから何をするにしてもコストはあまりかからないし、資金調達の金額も少ないから再生しやすいと思うけど、実際はどうなのか知りたい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

目次

事業規模が小さいと事業再生は難しい【結論】

事業規模が比較的小さいお客様から、次のようなことを言われる事が少なくありません。

  • ウチみたいな規模だと再生も簡単ですよね。
  • 規模が小さいから難しい事をしなくても再生できますよね。

事業規模が小さいと動きやすかったり、調達する資金も少なくて済むため、そのように思うのでしょうが、

結論から言うと、事業規模が小さければ小さい程、事業再生の難易度は上がり、事業規模が大きければ大きい程、事業再生の難易度は下がります。

なぜ、このような事がおこるのでしょうか。その理由を次のパートで解説します。

事業規模が小さいと事業再生が難しい理由2つ

事業規模の小さい個人事業主・零細企業の事業再生が難しい理由は下記2つです。

  • 事業規模が小さいと選択肢は少ないから
  • 事業規模が小さければ小さい程、売上減によるダメージが甚大

上記のとおりです。

事業規模が小さいと選択肢は少ないから

事業再生を考える際、通常、様々な選択肢の中から最適な組み合わせを採択し、事業再生に向けて実行に移すいうステップを踏むことになるのですが、事業規模が小さいと選択肢が非常に狭まってしまいます。

例えば、「通常の資金繰りから緊急時の資金繰りに」でも解説しているとおり、支払いジャンプ・銀行借入のリスケジュールは緊急時の資金繰りとして、資金繰りが厳しい時はどのような規模においても使われる基本的な資金繰り策です。

  • 支払いジャンプ、若しくは延べ払い(分割払い)
  • リスケジュール(返済条件変更)

しかし、次のような手法は事業規模が小さい個人・零細企業では、選択肢として外されてしまう場合が殆どです。

  • 第二会社方式(会社分割・事業譲渡)
  • 出資、少人数私募債、事業再生ファンド
  • ABL(売掛金担保融資)、シンジケートローン(協調融資)、資本性劣後ローン、
  • DES、DDS
  • M&A
  • 法的手法(民事再生)

ちなみに、上記方法の一部を下記記事で詳しく解説していますので、興味がありましたら是非どうぞ。

事業規模が小さいと支払方法を調整するぐらいしか方法がない

事業規模の小さい会社が事業再生のために資金調達を検討する際、調達金額の低さゆえに、銀行や政府系金融から断られる場合が殆どです。

そのため、資金調達を検討する際は、ビジネスローンを利用するか、あるいは売掛金を売却して資金調達するファクタリングを利用するかの2択が現実的な策となります。

詳しくは下記記事をどうぞ。

また、第二会社方式などの組織再編手法も事業規模が小さいと無駄にコストがかかるだけで、第二会社方式を使う意味が殆どありません。

となると、最後に残された方法としては、支払い方法を調整するか、あるいは金融機関の返済を元利金ともに全て止めてしまうような手法しか選択肢が無くなってしまうことになります。

ちなみに、保証協会の保証付融資の返済を止めるとどうなるのか詳しく知りたい方は「信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?【徹底解説】」をどうぞ。

事業規模が小さければ小さい程、売上減によるダメージが甚大

事業規模が小さいと事業再生が難しいもう一つの理由として、「規模の小さい会社ほど売上減によるダメージが甚大」という事があげられます。

例えば、平均月商5,000万円で推移していた会社が、売上が半分に落ち込んでしまった場合。

  • 平均月商5,000万円 → 平均月商2,500万円にダウン

売上半減は会社としては相当な痛手だと思いますが、この事がきっかけで即座に倒産する様な事はあまり考えられません。

なぜなら、2,500万円に落ち込んだら、2,500万円で維持できるような体制に対応すれば良いだけの話なので、いきなり倒産するというような事は考え難いです。

もちろん、平均月商5,000万円の頃に比べたら資金繰りは厳しくなるのは間違いありませんが、それでも2,500万円の売上があるのですから十分存命が可能であり、生き残るための選択肢は多岐に渡ります。

事業規模の小さい会社が売上減に見舞われると存続が困難

一方、事業規模の小さい個人事業や、社員数数名の零細企業になると、売上が半減したら売上減に合わせて体制を整えるような事が非常に難しくなります。

例えば、平均月商400万円で推移していた会社の売上が半減した場合。

  • 平均月商400万円→月商200万円にダウン

事業規模の小さい会社はいっきに存続不可能な状況に追い込まれます。

売上の90%以上が利益というビジネスであれば話は別ですが、たいていの場合で原材料の仕入れなどが発生すると思いますから、会社の運営を最低限維持できる余力がいっきに無くなってしまう事がほとんどです。

こうなると会社だけでなく、経営者の生活が脅かされる状況に陥ってしまい、この時点で倒産寸前の窮境状態に追い込まれてしまうことになるのです。

また、この規模の会社は運転資金の余力がほとんど残されていないケース多く、売上半減に見舞われると来月の資金の目処が立たないといった状況に追い込まれる場合が殆どです。

事業規模が小さいと事業再生のアドバイスを受ける事すら難しい

事業規模がある程度大きければ、売上減に見舞われても資金的な余力が残されている場合が殆どなので、事業再生の専門部署を立ち上げたり、外部の専門家にみてもらうことができます。

また、専門家からアドバイスを受けるにあたり、数万円程度の相談料も気にしないケースが殆どなので、思い立ったらすぐに事業再生に関するアドバイスを受ける事ができるので、さらなる窮境に立たされる前に方向性を見出す事ができ、これ以上資金繰りが悪化しないように様々な対策を打つ事ができます。

しかし、事業規模の小さい個人事業主・零細企業はそういう訳にはいきません。

専門家からアドバイスを受ける費用も捻出できない場合が多いため、良い方向性を導き出す事ができない事が多いです。

以上のことから、本当に再生が難しいのは事業規模の小さい個人・零細企業と言えるのです。

まとめ

以上、事業規模が小さいと事業再生は簡単なのか?という事について解説しました。

事業規模が大きければ大きい程、事業再生の難易度は下がり、事業規模が小さければ小さい程、事業再生の難易度は高くなるのです。

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