【銀行融資の指標】実質自己資本とは?求め方や自己資本との違いを解説
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実質自己資本って何ですか?自己資本と何が違うのですか?
言葉の意味や求め方、この数字を銀行がどう判断するのか詳しく知りたいです。
この記事では、こういった疑問・要望にお答えします。
- 自己資本と実質自己資本の違い
- 銀行に実質自己資本を評価してもらうポイント1つ
- 実質自己資本に関するよくある質問
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験をもとに、本記事では、銀行融資の指標である「実質自己資本」についてまとめました。
実質自己資本と自己資本はどう違うのか、銀行はどのように評価するのかなどを詳しく解説していきますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
自己資本と実質自己資本の違い
最初に、自己資本と実質自己資本の違いから解説していきます。
- 自己資本とは
- 実質自己資本とは
上記順に解説します。
自己資本とは
自己資本とは、出資金やこれまで積み上げた利益の合計額を指し、貸借対照表の右下に記載されるものです(返済義務のない資金のこと)。
- 自己資本 = 資産 - 負債
実質自己資本とは
実質自己資本は、自己資本に加えて、長期間返済が不要な資金の合計額のことを指します。
長期間返済が不要な資金は、主に下記2つあります。
- 役員借入金:代表者が会社に貸し出している資金
- 資本制ローン(劣後ローン):一般の融資よりも返済期間が長期の融資
上記はいずれも長期間返済が不要なので、負債ではあるものの、実質的な資本金とみなされます。
そのため「疑似資本」とも呼ばれます。
- 実質自己資本 = 自己資本 + 役員借入金 + 資本制ローン(劣後ローン)
自己資本に役員借入金や資本制ローンを加える理由
自己資本に役員借入金や資本制ローン(劣後ローン)を加える理由は下記2つあります。
- 自己資本に役員借入金を加える理由
- 自己資本に資本制ローン(劣後ローン)を加える理由
自己資本に役員借入金を加える理由
自己資本に役員借入金を加えて資本金のような扱いにする理由は、代表者が会社に貸し出す資金は返済義務が無いからです。
会社が金融機関から融資を受けると返済義務が発生しますので、決められた期日に返済しなければなりません。
しかし、会社が代表者から借入する場合、返済義務がないことが一般的です。
中小企業は代表者や代表者一族が株式を100%保有しているケースが多いため、会社に返済する資金が無ければ代表者に返済しないのが一般的です。
つまり、会社が代表者から借入しているといっても、実質的な懐は同じなので、銀行は自己資本に代表者からの借入を加えて、実質的な資本金が増加したとみなし、実質自己資本として考慮するのです。
自己資本に資本制ローン(劣後ローン)を加える理由
自己資本に資本制ローン(劣後ローン)を加える理由は下記のとおりです。
資本性ローンで調達した資金は会社がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、一般債権として扱われず、回収の優先順位が最も低い債権として扱われます。
そのため、借入ではあるものの、資本金に近い性質があるため、金融機関は資本性ローンを借入ではなく実質的な自己資本とみなして融資審査を行うのです。
以上が実質自己資本の説明となります。続いて、銀行に実質自己資本を評価してもらうポイントを解説していきます。
銀行に実質自己資本を評価してもらうポイント1つ
銀行は役員借入金を資本金が増加したとみなし、実質自己資本として評価します。
しかし、単純に役員借入金を計上しているだけでは銀行に評価してもらえません。役員借入金を実質自己資本として評価して貰うにはポイントがあります。
- 貸借対照表の勘定科目に役員借入金と表示する
上記のとおり。
貸借対照表の勘定科目に役員借入金を表示する
役員借入金を実質自己資本として評価して貰うには、貸借対照表の長期借入金の勘定科目に金融機関借入と分けて「役員借入金」と表示するだけです。
長期借入金の勘定科目に金融機関借入と分けて表示しないと、融資担当者に伝わりません。伝わらなければ、返済義務があるただの「借入」として判断されますので、必ず分けて表示しましょう。
よくある悪例
中小企業の決算書を見ると、銀行融資と役員借入金と分けて表示しないで合算計上しているケースをよく目にします。
- 短期借入金に合算して計上している(←特に最悪)
- 長期借入金に合算して計上している
トータルの数字は正しいとは思いますが、銀行融資対策としてはかなりお粗末です。
勘定科目明細書に借入金の内訳が記載されるとはいえ、勘定科目だけ見て判断されたらそこで終わりなので、長期借入金の勘定科目は銀行融資と役員借入金を分けて表示するようにしましょう。
以上、銀行に実質自己資本を評価してもらうポイントを解説しました。続いて最後に、実質自己資本に関するよくある質問とその答えを紹介していきます。
実質自己資本に関するよくある質問
実質自己資本に関するよくある質問は下記1つです。
- 銀行は融資審査で必ず考慮してくれるの?
上記のとおり。
銀行は融資審査で必ず考慮してくれるの?
全ての銀行が融資審査で実質自己資本を考慮する訳ではありません。
融資審査にスコアリングを導入している場合、実質自己資本は考慮されず、決算書上の数字、つまり自己資本の数字で審査される場合もあります。
まとめ
以上、実質自己資本の意味や求め方、自己資本との違いを解説しました。
おわり。
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