ファクタリングが違法ではない理由【法的根拠と違法業者の見分け方を解説】

ファクタリングが違法ではない理由【法的根拠と違法業者の見分け方を解説】

ファクタリングって利用しても大丈夫ですか?

逮捕された業者もあるようだし、違法ではないか心配です。

ファクタリングは違法なのか、詳しく知りたいです。

本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。

本記事の内容
  • ファクタリングが違法ではない理由2つ
  • ファクタリングが違法と誤解される原因2つ
  • 違法なファクタリングの種類2つ
  • 違法なファクタリング会社の見分け方6つ

なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。

こういった経験をもとに、本記事では、ファクタリングが違法ではない理由とその根拠をまとめました。

ファクタリングに関する情報をネットで調べると、金融庁や消費者庁の注意喚起が表示されますので、不安に感じる方も少なくないと思います。

また、ネットのニュースサイトには「ファクタリング業者逮捕」といった見出しの記事もありますので、そのように感じてしまうのも無理はありません。

本記事では、ファクタリングが違法ではない理由や、違法と誤解される原因、違法なファクリング会社の見分け方を解説していきます。トラブルを未然に防ぐためにも、知識を身につけておくといいですよ。

それでは最初に、ファクタリング会社が違法ではない理由を法的根拠をもとに解説していきます。

目次

ファクタリングが違法ではない理由2つ

ファクタリングが違法ではない理由は下記2つです。

  • 債権譲渡・売買は法律で認められている
  • 融資ではないので貸金業法と利息制限法の範囲外

上記のとおり。

債権譲渡・売買は法律で認められている

ファクタリングは売掛債権を譲渡・売買する取引なので、下記2つの法律に規定された取引にあたります。

  • 売掛債権は譲渡できる(民法第466条「債権の譲渡性」)
  • 売掛債権は売買できる(民法第555条「売買契約」)

売掛債権は譲渡できる(民法第466条「債権の譲渡性」)

民法第466条では、「債権は、譲り渡すことができる」とされています。

第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

出典:民法 第466条 | e-Gov法令検索

したがって、売掛債権を譲り渡すことは違法ではありません。

ちなみに、取引先と交わした契約書に「債権譲渡禁止特約(譲渡制限条項)」が付いていても、売掛債権の売買は可能です。

2020年4月施行の民法改正に伴い、債権譲渡禁止特約は撤廃されました(第466条2)。

売掛債権は売買できる(民法第555条「売買契約」)

民法第555条では、売買契約には「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」とされています。

第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

出典:民法 第555条 | e-Gov法令検索

ファクタリングは、利用者の売掛債権をファクタリング会社に売却することで金銭を受け取る取引なので、「売買契約」の枠組みに当てはまります。

したがって、売掛債権を売買することは違法ではありません。

融資ではないので貸金業法と利息制限法の範囲外

ファクタリングは売掛債権の売買取引なので、融資ではありません。

したがって、貸金業法や利息制限法とは無関係です。

融資であれば、上限金利を超える貸付けは違法ですが、ファクタリングは売掛債権の売買なので、貸金業法や利息制限法などの法的な縛りがありません。

そのため、手数料率は自由に設定できます。

ファクタリング会社で上限手数料にバラつきがあるのはそのためです。

以上がファクタリングが違法ではない理由です。ファクタリングは違法ではありませんが、違法と誤解される方が後を絶ちません。次の項目では、ファクタリングが違法と誤解される原因を解説していきます。

ファクタリングが違法と誤解される原因3つ

ファクタリングが違法と誤解される原因は下記3つです。

  • 貸金業者と混同している
  • 手数料が高いのでヤミ金と混同している
  • 悪質なファクタリング業者の摘発事例

上記のとおり。

貸金業者と混同している

ファクタリングのホームページを見ると、貸金業者にありがちな「資金調達」、「審査」、「担保・保証人」という文言が記載されています。

長年、融資を利用している方がこうした文言を見て、融資と勘違いされるケースは少なくありません。

実際、筆者のお客様から資金繰りのご相談を受けていると、「ファクタリングで〇百万円借りた。手数料で〇%取られた」と発言される方もいます。

特に手形割引を利用されていた方は「金利は日割り計算」という感覚が強いのか、「高額な手数料を取られた。利息制限法を超えているのでは?」とおっしゃる方もいます。

こういったこともあり、貸金業者とファクタリング会社を混同している方が「ファクタリングは違法なのでは?」と思い込んでいるケースが少なからずあります。

手数料が高いのでヤミ金と混同している

手数料が高いのでヤミ金と混同しているケースも少なくありません。

こちらも融資を利用していた方のよくある誤解です。

銀行や政府系金融機関の金利相場は2%〜3%程度なのに対し、ファクタリングの手数料相場は下記のようになっています。

  • 2社間ファクタリング 6%~18%
  • 3社間ファクタリング 2%~9%

ファクタリングは利用の度に手数料がかかるため、同じ数字でも、毎月利用すれば手数料負担が重くのしかかります。

手数料の高さに、ヤミ金と混同してしまう方も少なくありません。

手数料10%のファクタリングを利用しているお客様から、「売掛金を毎月ファクタリングしているので、月イチ(1か月1割)のヤミ金から金を引っ張ってる感覚がする」と言われたことがあります。

このように、手数料の高さゆえにヤミ金と混同されている方もいます。

悪質なファクタリング業者の摘発事例

多くのファクタリング会社はまともに営業していますが、ごく一部、違法・悪徳業者が存在しています。

ファクタリングを装って無登録で貸し付けを行ったり、正規の債権売買を行わず、ヤミ金行為を行っているファクタリング会社があるのです。

下記のように逮捕されたケースもあります。

こうしたことから、ファクタリングは違法だと誤解している方もいます。

こうしたケースはあくまでごく一部のことなので、大多数のファクタリング会社はまとに営業しているので、違法ではありません。

以上の3つが、ファクタリングが違法と誤解される原因です。続いて、違法なファクタリングを紹介します。

違法なファクタリングの種類2つ

違法なファクタリングの種類は下記2つです。

  • 給与ファクタリング
  • 偽装ファクタリング

上記のとおり。

給与ファクタリング

給与ファクタリングとは、個人(労働者)が雇用先から得る給料を、給料日の前に手数料を引いて現金化するサービスです。

ファクタリングと仕組みがほとんど変わりませんが、売掛債権と違い、賃金債権を買い取って資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。

無登録で給与ファクタリングを行っているファクタリング会社は違法です。

参考リンク ファクタリングの利用に関する注意喚起

偽装ファクタリング

偽装ファクタリングとは、ファクタリングであることを装い、違法な金利で金銭を貸し付ける行為です。

「偽装」という名の通り、表面上は分かりにくいのですが、債務不履行になった時に違法行為は顕在化します。

基本的に、ファクタリングは償還請求権なしの取引(ノンリコース)なので、取引先が倒産して売掛金を回収できなければ、利用者は責任を負いません。

偽装ファクタリングは、取引先が倒産すると、利用者に責任追及します。

つまり、売掛金を担保に扱っている売掛金担保融資と実質的に変わらない状態になるため、貸金業登録をしていないければ貸金業法違反です。

参考リンク 【お知らせ】[注意喚起]悪質な金融業者にご注意! | 日本貸金業協会

以上が違法なファクタリングとなります。続いて最後に、違法なファクタリング会社の見分け方を解説していきます。

違法なファクタリング会社の見分け方6つ

違法なファクタリング会社の見分け方は下記6つです。

  • 償還請求権がある
  • 保証人や担保の設定を求められる
  • 利息や金利などを求める
  • 手数料が異常に高い
  • 会社の所在や契約書が曖昧である
  • 分割払いを提案される

上記のとおり。

償還請求権がある

偽装ファクタリング」という項目でも解説したとおり、ファクタリングは原則、償還請求権なし(ノンリコース)です。

償還請求権(リコース)がある契約は貸付行為なので、ファクタリング会社が貸金業登録をしていなければ違法です。

ホームページ上で「償還請求権なし」と謳っているのに、いざ契約となったら、あれこれ理由をつけて「償還請求権あり」の契約を求めてきたら、違法なファクタリング会社の可能性が高いです。

貸金業登録をしていなければ違法業者なので気をつけましょう。

保証人や担保の設定を求められる

原則、ファクタリングで保証人や担保を設定することはありません。

理由は前項と同じで貸付行為に該当するからです。

貸金業登録していないファクタリング会社が担保や保証人を求めてきたら、貸金業法および利息制限法に違反する行為となります。

利息/金利を求める

利息/金利を求めるファクタリング会社は、貸金業登録を行っていなければ違法なファクタリング会社です。

貸金業法および利息制限法に違反します。

手数料が異常に高い

手数料が異常に高いファクタリング会社は違法な可能性があります。

ちなみに、一般的な手数料相場は下記のとおり、20%以内に収まる場合がほとんどです。

  • 2社間ファクタリング → 6%~18%
  • 3社間ファクタリング → 2%~9%

30%〜40%の手数料を提示してくるファクタリング会社は違法な可能性が高いので、気を付けましょう。

分割払いを提案される

ファクタリングの分割払いは貸付行為となりますので、貸金業登録を行っていなければ、貸金業法および利息制限法に違法します。

会社の所在地/契約書が曖昧である

会社の所在地や契約書が曖昧なファクタリング会社は違法なことをしている可能性が高いです。

会社の所在地が曖昧

所在地が曖昧な会社は、摘発のリスクを回避し、事務所をすぐに移転できるようにする手段であり、悪質業者に共通する特徴の一つです。

ホームページに詳細な所在地が記載されてなかったり、事実と異なる場合、違法なファクタリング会社の可能性が高いです。

契約書が曖昧

契約書の内容が曖昧なのも注意が必要です。

違法なファクタリング会社の契約書は、後々法的トラブルに発展した時に不利な立場に追い込まれないよう、契約内容が曖昧になっています。

利用者に訴訟を起こされることを予め想定しているので、契約内容を曖昧にしているのです。

とはいえ、具体的にどの辺りが曖昧になっているのかは、専門知識が無いと判別できないようになっていたり、契約書が複数存在していて分かりにくくなっているケースが多いです。

契約書の内容がわからない方は「会社の実態が不透明」だと感じたら、利用しないことです。

まとめ

以上、ファクタリングが違法ではない理由を法的根拠を元に解説しました。

ファクタリングの取引自体は合法ですが、ファクタリングを隠れ蓑にした悪徳業者は存在しますので、直観的に「おかしい」と感じたら、そのファクタリング会社を利用するのはやめて、別の会社を検討するといいですよ。

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