銀行融資の打ち切りを恐れ、家を3軒売って返済したけど結局融資を受けれなかった話【実話】

2012年にお会いしたご相談者様のお話なのですが、金融機関の言われるがままに家を3軒売って、売却代金を返済に充当していた方がいます。

「担保提供しているなら当たり前」と思うかもしれませんが、売却した物件は担保提供していた家ではありません。

なんと、無担保の家を売って資金化していたのです。

目次

なぜ、銀行の借入金を返済するために家を売ったのか

そもそも、なぜ、銀行の借入金を返済するために家を3軒も売ったのでしょうか。

順を追って説明していきます。

メインバンクに個人資産を売却して返済して欲しいと言われたのが事の始まり

家を売却する最初のきっかけは、メインバンクに「今の財務内容では新規融資はできません。個人資産を売却して、返済に充当して欲しい。」と言われたことがきっかけです。

通常、銀行にこのようなことを言われたら、リスケジュールを依頼して元本返済を止めて、資金繰りを確保するのですが、

銀行にこのように言われたご相談者様は、次のように悩んでしまったのです。

  • 借入ができないと仕入れ資金が無くなるため、事業継続できない。
  • このままだと倒産確実。
  • 社員の生活もあるし、自分たちも雇われに戻るという未来が想像できない。

その結果、「何が何でも事業を継続しなければならない!」という結論に行きつき、止むを得ず家を売って返済に充当することを決めたのです。

本来、メインバンクにこのような事を言われたら、やんわりと断わりつつ、違う方法で資金調達ができないか?と考えれば良かったと思うのですが、
ご相談者様は「銀行から借りれないと確実に倒産する」という思い込みが非常に強かったので、家を売却することを決断したのです。

ここまではよくある話だと思いますが、問題はここからです。

事業と無関係な祖父の家を売却した

銀行から「家を売却して欲しい」という要請を受けた場合、通常は担保物件の売却を検討することになると思うのですが、この方は担保提供していない祖父の家を売却して返済に充当したのです。

なぜ、そのようなことをしたのか聞いてみたところ、次のように答えてくれました。

「祖父母は高齢で体の自由もあまりきかないので生活の面倒をみてあげないといけないが、私の両親の家に祖父母が引っ越せば、生活を手助けできます。

両親が祖父母の家に通って面倒をみるのも大変だから、これを機会に売却してしまい、4人で住んでもらった方が面倒を見るのも楽だし、通う手間も省ける。

どうせ部屋も余ってますし、一件落着です。バラバラに住んでも仕方ないから、これを機会に売却する。」とのことでした。

自宅の売却については家族会議で話し合い、家族全員が納得したので、穏便にことが済んだようです。

家を売却して終わったと思ったら、まさかの2軒目の売却要請

借入の担保に入っていない祖父母の家を売却して、売却代金を返済に充てたのですが、メインバンクは納得しませんでした。

祖父母の家を売却したばかりなのに、まさかの2軒目の売却を要求してきたのです。

「あの家を売っても大した金額にならなかったので、返済に充当したところで焼け石に水だ。担保に入れている家を売却して返済に充当して欲しい」と要請してきたのです。

つい先日、祖父母の家を売ったばかりなのに、担保提供している家を売るのか…。

担保提供している家は、ご相談者様のお父様が所有している物件です。

つまり、「祖父母と経営者様のご両親が4人で住んでいる家を売却せよ」と、メインバンクは要請してきたのです。

これには祖父母とご相談者様のお母様が強く反対しましたが、「正常な金融取引ができれば、生活を立て直せる!」と、経営者様とお父様は強く信じ込み、4人で住んでいた家を売却してしまったのです。

これで終わったと思ったら、まさかの3軒目の売却要請

家を2軒売却し、売却代金の全額を借入金の返済に充当したので、経営者様は「これで終わった」と思いました。

しかし、メインバンクはまさかの3軒目の売却を要請してきたのです。

「社長の資産(実際は違いますが)を売却して返済に充当させて頂きましたが、債務超過が解消されておりませんので、このままだと融資できません。

経営責任を果たす意味合いを含めて、経営者であるあなたの家を売却して欲しい。」と言われてしまったのです。

さすがにこんなことをしていたら、親族一同路頭に迷ってしまいかねませんが、なんと、経営者様はOKしてしまったのです。

筆者が経営者様からご相談を受けた時には、まだ実際には売却されていなかったので、「自宅を売却して返済に充当することは考え直した方が良い」と何度も説得しました。

しかし経営者様は、「私の家は先日、不動産業者と専任媒介契約を締結したので、もう売却の手筈が済んでいます。引き合いもあるみたいなので、比較的早く売れると不動産業者が言ってました。」と、あまり意に介さない様子でした。

それでも、筆者は「契約は話し合いで何とかなるから、成約する前に今すぐキャンセルした方が良い」と、粘り強く説得したのですが、聞き入れて貰えませんでした。

結局、経営者様とお会いした2か月後ぐらいに売却が成約してしまい、家を手放すことになってしまったのです。

銀行融資を受けるために家を3軒売ったけど、結局融資を受けれなかった

  • 経営者様の祖父母の家
  • 経営者様のご両親の家
  • 経営者様一家が住んでいる家

3つの家を売却して、売却代金の全額を借入金の返済に充当しましたが、結局、銀行から融資を受けることはできませんでした。

金融機関の口車に乗せられてしまい、ただ回収されてしまっただけで終わってしまったのです。

唯一残ったものと言えば、家族からの恨みだけでしょうか。

それ以外のものは何も残りませんでした。

一応、事業は続いているようですが、運転資金がほとんど無いので、仕入れを必要としない粗利の少ない仕事しかできません。

数年前に廃業したことを官報で確認しました。

こうなると、事業がさらに縮小してしまい、競争力も無くなってしまいます。

実際のところ、「粗利の低い手間仕事しかできなくなった」とおっしゃってました。

筆者も様々な事例に触れてきましたが、この話を聞いた時ほど「知らないというのは恐ろしい」と感じた事はありません。

祖父母はこの件でショックを受けて、体調がかなり悪化してしまったようです。

こういった間違った行動を取る方が一人でも少なくなることを願ってやみません。

あとがき《実は4軒目の売却を検討していた》

後日談なのですが、実は、4軒目の売却を検討していたみたいです。

奥様の親族の家を売却するという話が持ち上がったみたいなのですが、さすがに奥様も「そんなことするぐらいなら離婚する」と、堪忍袋の緒が切れてしまい、この一言で目が覚めたようです。

奥様も最初から「家を売るぐらいなら離婚する」とでも言えばよかったんですけどね…。

まあ、終わってしまえば後の祭りですね。

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