銀行融資がおりない決算書の内容12選【理由と注意点を含めて解説】

決算書の内容が悪いと融資がおりないってよく聞くけど、どのような内容だと融資がおりないのかな?

赤字や債務超過だと融資がおりないのはわかるけど、それ以外の原因で融資がおりない事ってあるのかな?

銀行融資がおりない決算書の内容を詳しく知りたい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

目次

銀行融資がおりない決算書の内容をきちんと把握しましょう

銀行の融資審査は「決算書の内容が8割」と言われるほど、決算書の内容を重視しています。

金融庁から、決算書の内容や保証・担保で判断して融資を行うのではなく、企業の事業内容や成長可能性などを評価して融資を行うよう、金融庁からお達し出てはいますが、現在においても決算書の内容が重視されています。

2014年、金融庁の金融モニタリング基本方針の重点施策に「事業性評価」に基づく融資という項目が掲げられました。

具体的な内容は、従来のように決算書の内容や保証・担保だけで判断して融資するのではなく、企業の事業内容や成長可能性などを評価して融資を行うというものです。

参考:事業性評価融資が学べるおすすめな本3冊【銀行融資を受けたい方向け】

そのため、決算書の内容に問題があると、銀行融資はおりませんが、融資がおりない決算書にはいくつか共通点があります。

融資がおりない決算書の内容をきちんと把握しておけば対策がとれるようになりますので、今後のためにもきちんと押さえておきましょう。

銀行融資がおりない決算書の内容12選

銀行融資がおりない決算書の内容を12パターン紹介します。

  • 2期連続で赤字
  • 赤字+債務超過
  • 実質債務超過状態
  • 残高が合っていない
  • 多額の現金が計上されている
  • 役員貸付金が多い
  • 他行の借入残高が少ない
  • 減額償却をしていない
  • 引当をしていない
  • 粉飾決算をしている
  • 預金残高が少な過ぎる
  • 担保物件の修繕をしていない

上記のとおりです。

2期連続で赤字

【銀行融資】赤字決算でも融資を受けることはできる?【可能だけど簡単ではないです】」でも解説しているとおり、赤字が1期だけであれば、融資がおりるケースもありますが、2期連続で赤字が出ると融資はおりません。

なぜなら、銀行は赤字に対して次のように考えるからです。

  • 1期だけ赤字 → 今期はたまたま赤字だったのかもしれない。
  • 2期連続で赤字 → 2期連続で赤字ということは、恐らく来期も赤字になる可能性が高い(回収不能に陥るリスクが高い)。

2期連続で赤字を出してしまうと、黒字化するまでは銀行融資はおりませんので、2期連続で赤字になりそうな時は、目一杯借りておくか、可能な限り数字を調整して(粉飾と思われない範囲内)黒字にするなどの対策をとるようにしましょう。

赤字+債務超過

【銀行融資】債務超過でも新規融資を受けることはできる?【状況次第】」という記事でも解説しているとおり、債務超過だけなら可能性はありますが、赤字と債務超過のダブルパンチだと融資はおりません。

貸し手である銀行の立場からすると、回収不能に陥るリスクが高過ぎるため、事業の黒字化・債務超過解消の目途が立たない限り、融資はおりないです。

実質債務超過状態

実質債務超過状態とは、決算書上は自己資本がプラス(資産超過状態)の状態ではあるものの、実態修正すると債務超過になる状態のことを言います。

例えば、決算書の内容が次のようなケース。

決算書上の数字
  • 資産:6,000万円
    • 現預金:1,000万円
    • 売掛金:1,000万円
    • 在庫:1,000万円
    • 土地:2,000万円
    • 建物:1,000万円
  • 負債:5,000万円
    • 買掛金:500万円
    • 借入金:4,500万円
  • 自己資本:1,000万円
    • 資本金:1,000万円

決算書の数字上、自己資本が1,000万円ありますので、健全な財務内容といえます。

しかし、実際の資産内容は次の3つの問題を抱えています。

  • 何年も前に引っかかった回収不能な売掛金が500万円計上されている
  • 実際に在庫価値がある商品は500万円分(残りの500万円は商品価値がない)
  • 土地・建物を取得時の簿価で計上しているが、現在の相場価格は1,500万円

上記内容を決算書に反映させると、決算書の実態は次のとおりとなります。

実態修正後の決算書
  • 資産:3,500万円
    • 現預金:1,000万円
    • 売掛金:500万円
    • 在庫:500万円
    • 土地:1,000万円
    • 建物:500万円
  • 負債:5,000万円
    • 買掛金:500万円
    • 借入金:4,500万円
  • 自己資本:▲1,500万円
    • 資本金:1,000万円
    • 利益剰余金:▲2,500万円

簿価6,000万円の資産は実態修正すると、2,500万円価値が減少し、実質的な資産は3,500万円です。

つまり、1,500万円の実質債務超過状態に陥っていることになります。

決算書の数字が資産超過でも、実態修正後の決算書が実質債務超過状態に陥っている場合、融資はおりません。

詳しくは「銀行融資の指標「実質債務超過」を分かりやすく解説【基礎知識】」をどうぞ。

残高が合っていない

以下いずれかの残高が間違って記載されており、残高が合っていない場合。

  • 預金残高
  • 借入金残高

銀行から決算書の信憑性を疑われますので、融資はおりにくくなります。

具体的には次のようなケース。

A銀行が発行した預金残高証明書の数字と、決算書に記載してある預金残高が違っていた場合。

  • A銀行が発行した預金残高証明書に記載してある残高→ 5,671,332円
  • 決算書に記載してある預金残高→ 5,677,332

分かり難いかもしれませんが、4桁目が1千円と7千円という違いです。

「たったこれぐらいのことで…」と思うかもしれませんが、資金の貸し手である銀行からすると、決算書の信頼性を揺るがしかねない重要な差と捉えますので、間違えることが無いよう気をつけましょう。

多額の現金が計上されている

現金が多いのは良いことではあるのですが、多額の現金が計上されているのは問題です。

理由は2つあります。

  • 多額の現金を手元に置いているのが不自然
  • 決算書に計上されている現金が手元に無い場合が多い

そもそも、多額の現金を手元に置くこと自体、かなり不自然な行為ですし、決算書に計上している現金が実際に存在しているのか確認すると、手元にない場合が多いからです。

例えば、決算書に「現金:300万円」と計上してあるのに、「実際、この現金は手元にあるのですか?」と質問した際に、「実際はありません」となってしまえば、そもそも事実と異なる訳ですから、決算書の信憑性は地に落ちます。

こうなると「平気でそういうこと(嘘をつく)をする会社」というレッテルを貼られてしまい、当然、融資はおりなくなります。

役員貸付金が多い

【銀行融資】役員貸付金が原因で融資を断られた!発生原因や解消方法を解説」という記事でも解説しているとおり、銀行は役員貸付金がある企業を警戒します。

金額が少なかったり、役員貸付金の内訳や資金使途、返済方法(毎月の役員報酬から○万円ずつ返済するなど)などをきちんと説明できれば良いのですが、
合理的な説明がつかない場合、資金使途違反や粉飾を疑われてしまい、融資がおりなくなります。

役員貸付金があるなら、早めに解消するか、役員貸付金が発生した理由をきちんと説明するようにしましょう。

減額償却の未計上

減価償却の未計上とは、本来計上すべき経費を計上しないで決算しますので、損益計算書上の利益は増え、決算の見栄えは良くなります。

しかし、減価償却の未計上は利益の水増し、つまり利益操作をしていることになるので、銀行から「粉飾決算」とみられます。

ちなみに、減価償却の未計上は決算書の固定資産一覧表を見ればすぐにバレます。

やっても意味無いですし、銀行から「粉飾する会社」というレッテルを貼られますので、減価償却はきちんと計上するようにしましょう。

引当金を計上していない

引当金とは、将来発生するであろう特定の費用・損失に備えて、予め準備しておく金額の事をいいます。

具体的には次のとおりです。

  • 貸倒引当金
  • 賞与引当金
  • 修繕引当金

本来計上すべきものがあれば、きちんと計上するようにしましょう。

粉飾決算をしている

これについては説明不要だと思いますが、粉飾決算をしていれば銀行融資はおりません。

粉飾していたことがバレたら、既存の銀行との付き合いがバレるばかりか、信用保証協会に情報が共有され、今後の融資は絶望的になります。

粉飾は一度手を染めてしまうと、粉飾に粉飾を重ねる事になり、後戻りできなくなります。

余計に税金を払う事になるばかりか、銀行から詐欺で訴えられる可能性もありますので、粉飾決算だけはやめましょう。

預金残高が少な過ぎる

預金残高が少な過ぎるとは、具体的には次のケースです。

  • 預金残高が平均月商の1ヶ月を下回っている

預金残高が平均月商の1ヶ月分を下回っていると、入出金のズレがあったり、急激な売上減少にみまわれた場合に、資金ショートする可能性が高くなります。

そのような企業に融資を実行するのは、銀行はリスクが高いと判断しますので、平均月商の1ヶ月以上の預金残高があるうちに、新規融資を依頼するようにしましょう。

担保物件の修繕をしていない

自社ビルや収益物件を担保に融資を受けている場合、建物の修繕をきちんと行なっていないと建物の価値が下落し、同時に担保余力も下落します。

担保余力が下落すると、融資がおりなくなることがあります。

定期的にきちんと修繕していれば問題ありませんが、修繕を怠ってしまうと、銀行から「今期、物件の修繕を行わないと、修繕の実施を確認するまでは追加融資を打ち切ります。」と通告されることもあります。

自社ビルや収益物件を担保に融資を受けている方は、担保価値を下落させないよう、きちんと修繕するようにしましょう。

まとめ

以上、銀行融資がおりない決算書の内容を12パターン紹介しました。

銀行融資を受けている企業は、融資がおりない決算書の内容を把握しておきましょう。

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