銀行融資を全額返済すると次の融資に影響する?【しないけどデメリットもあります】

銀行融資がもう少しで完済なんだけど、担当者から「借換えませんか?」と提案された。

今のところ余計な資金は必要なさそうだし、借りたら金利を払わないといけないから断ろうと思うけど、断ったら次の審査に影響しないかな?

このまま完済しても良いのか、それとも融資を受けた方が良いのか教えて欲しい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

目次

銀行融資を全額返済しても次の融資に影響しない【結論】

経営が順調で、折返しの融資を必要としない会社の経営者様から、次のようなご質問を良く受けます。

  1. 今のところ借りる必要が無いからこのまま完済しようと思っているが、銀行の担当者が「もうすぐ完済しそうだから借換えましょう」と提案してきた。
  2. 今のところ借りなくてもキャッシュフローで回るし、借りたら金利を払うことになるから、本音を言えば借りたくない。
  3. とはいえ、急に大きな支払い等が発生したら融資を受けないと厳しいかもしれないけど、全額返済することで次の融資に影響したりしないか?

銀行融資を全額返済してしまうと、次の融資に影響が出たりすることはあるのでしょうか?

結論から言うと、銀行融資を全額返済しても次の融資に影響しません。

理由は、融資の審査は申込んだ時点の財務内容次第だからです。

融資の審査は申し込んだ時点の財務内容次第

銀行融資は基本的に申し込んだ時点の財務内容が8割です。

業績が良ければ審査は通りますし、業績が悪くなった時に申込めば審査は通りません。

  • 全額返済したから次回借りやくなる。
  • 担当者の提案を蹴って、全額返済したことがきっかけで今後借りにくくなる。

全額返済したからといって、上記のようなことはありません。

全額返済すると銀行からプラスの評価を得る事ができる

【銀行融資】借入を繰上返済すると銀行の心証は悪くなる?【注意点も含めて解説】」という記事でも解説しているとおり、借入金を全額返済できるということは、経営が順調だからこそ返済できるわけですから、銀行からはプラスの評価を受けます。

返済財源が無ければ全額返済などできませんから、収益力の高い優良企業という評価を受けます。

ただ、借入金を全額返済すると銀行からプラスの評価を受ける一方、全額返済することによるデメリットがあるということを覚えておきましょう。

銀行融資を全額返済する事によるデメリット3つ

銀行融資を全額返済することによるデメリットは下記3つあります。

  • 会社の手元資金が無くなる
  • 銀行からの実績が無くなる
  • 銀行からの信用が無くなる

上記のとおり。

手元資金が薄くなりがち

追加融資・借換えを受けなければ、手元資金が薄くなりがちです。

「経営が順調で、手元資金も十分にあるから融資を受けずに全額返済する」ということであれば問題ありませんが、
手元資金が薄い状態で「経営が順調だから」といって追加融資や借換えを受けずに、資金繰りを回そうとするのは危険です。

全額返済するのは十分な手元資金を確保してからにしましょう。

十分な手元資金はどれぐらいあれば良いの

十分な手元資金とは、どれぐらいの金額の事を言うのでしょうか。

目安としては、平均月商の3か月分は欲しいところです。

平均月商の3か月分は資金を確保しないと資金繰りは厳しくなりがち

月商の3か月分ぐらいは手元資金として確保しておかないと、資金繰りは厳しくなりがちです。

例えば、月商の1か月分程度しか資金を確保していないような場合、入金と出金のタイミングがズレたりするだけで一気に資金繰りが厳しくなります。

入金予定を当てにしていた取引先から「今月の支払いを〇日待って欲しい」等と言われたら、金額によっては資金ショートします。

こうなると、経営者個人の金を会社に貸付けて回すようになってしまうので、資金繰りは一気に火の車となってしまいます。

月商の2か月分ぐらいの手元資金を確保しておいた場合、日々の資金繰りは安定しますが、大口の取引先が焦げ付いたり、急に大きな仕入資金が発生してしまうような場合、対応できなくなる可能性が高くなります。

こうしたことを考慮すると、全額返済するなら、月商の3か月分程度の手元資金を確保した状態で借りないという選択をした方が良いです。

融資を受けて手元資金を確保した方が早い

月商の3か月分程度の手元資金を確保するのは簡単ではありません。

税引き後利益と減価償却の中から返済原資と手元資金を確保する資金を蓄える訳ですから、この状態で月商の3か月分というのはハードルが非常に高いと言えます。

なので、無理して全額返済しようとせず、常に月商の3か月分程度の手元資金を確保しつつ、その上で返済していけば良いのです。

今のペースで約定弁済を続けていると、近い将来全額返済してしまうという状態であれば、完済するまえに融資を受けてしまえば良いのです。

経営継続をしていくためには、十分な手元資金は必要です。

借入が増えれば当然、金利の支払いコストは増えてしまいますが、金利支払い分は「経営継続のための保険」と割り切ってしまい、手元資金を厚くすることが重要と言えます。

銀行からの実績が無くなる

「銀行から融資を受けている」という実績は、言い換えれば銀行に対する信用です。

そのため、銀行から融資を受け続けていれば「信用」を得られます。

銀行は貸したお金を返してくれる相手、返してくれそうな相手にしかお金を貸しません。融資をするか否か、きちんと審査をしたうえで融資をします。

そのため、その審査をクリアして銀行からお金を借りられる会社は信用できる、ということになるわけです。

銀行からの信用が無くなる

銀行から融資を受けているという「実績」も、借入金を全額返済してしまえば無くなってしまいます。

もちろん、「過去の実績」は残りますが、時間が経てば無くなる事もあります。

この辺の事情は銀行毎に異なりますが、完全に無くならないにしても、全額返済してから時間が経ってしまえば、融資先の財務内容や経営環境は変化しますから、過去の実績は当てにならなくなります。

全額返済せず、借り続けていれば「実績」があるので融資を受けやすくなりますが、全額返済した後になると、「実績」が失くなってしまうので、融資が受けにくくなるのです。

まとめ

以上、銀行融資を全額返済すると、次の融資に影響するか?ということについて解説しました。

影響はありませんが、全額返済する事でデメリットが生じますので気をつけましょう。

全額返済を避けるための解決策は、折り返しの融資を受けることです。

金利を払う必要がありますが、急な資金需要があった時に借りれなくなることがあるので、こうした事態を避けるために、あまり資金が必要ないと思っても、とりあえず借りておいた方が良いです。

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