親が経営者で、家が借入の担保に入っているけど保全策はある?【4つ紹介】

事業再生
  • 親が会社を経営していて、家を銀行借入の担保に入れているようだけど、家は大丈夫なのかな?
  • もし万が一、銀行に返済できなくなったら担保に入れている自宅は競売にかけられ、親の住む家が無くなってしまうよ…。
  • さすがに可愛そうだし、自分の実家が無くなるのも哀しいから、担保に入っている自宅を守る方法があれば知りたいよ。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

ちなみに、この記事を書いている筆者は、2009年から現在まで中小企業向けの資金繰り・事業再生コンサルタントとして活動しており、経営者のご子息・ご息女から「実家が銀行借入の担保に入っているけど、実家を守る方法はありますか?」というご相談をよく受けます。

このような経験から、銀行借入の担保に入っている親の家を守る方法をご紹介します。

それではさっそく本題にはいりましょう。

親が経営者で、家を借入の担保に入れている場合の保全策は4つ

家を銀行借入の担保に入れている場合の保全策は4つありますので、保全にかかるコストが低い順に紹介していきます。

  • 担保権者である銀行に抵当権を解除して欲しいと依頼する
  • 経営者保証に関するガイドラインを活用して担保を外してもらう
  • 任意売却で親の自宅を相場で買取る
  • 親の自宅を競売で入札する(自己競落)

上記のとおりです。

抵当権者である銀行に抵当権を解除し欲しいと依頼する

最も簡単で、しかもコストが殆どかからない方法です。

基本的にこちらから依頼しない限り、銀行は経営者の自宅の抵当を解除する事など考えませんから(例外あり)、まずはこちらから依頼するようにしましょう。

 

最初は断られるかもしれませんが、経営計画書を提出する等して今後のビジョンを示す事で、銀行から「ご自宅の抵当権は解除します」と応諾してもらえる可能性があります。

抵当権を外してもらうことができれば、後は生前贈与で配偶者の方へ名義変更してしまえば、確実に保全を図る事ができます。

生前贈与に関しては、顧問税理士の方に相談するようにしましょう。

ただ、この方法は1点注意点があり、銀行借入をリスケジュールしていると、リスケジュール中という事を理由に断られる場合が殆どです。

【注意】リスケジュール中だと断られる場合が殆ど

銀行借入をリスケジュール(返済条件変更)していると、銀行は融資先企業のことを要注意先(要管理先)とみなしますので、担保を解除して欲しいと依頼しても、まず応じて貰えません。

ちなみに、銀行借入のリスケジュールについては「【銀行融資】リスケジュールで返済額を見直して資金繰り改善【基礎知識】」を参考にして下さい。

 

ただし、こちらも例外があり、跡継ぎがいるような場合は、経営者の自宅の抵当権を解除してくれる事があります。

とにかく、依頼してみないと話は進みませんので、まずは銀行に担保解除を依頼してみましょう。

経営者保証に関するガイドラインを活用して担保を外してもらう

「経営者保証に関するガイドライン」とは銀行融資を受ける際、経営者保証が不要な条件を明らかにするとともに、早期に事業再生や廃業を決断した場合、経営者に一定の生活費を残し「華美でない自宅」に住み続けられる可能性などを示したものです。

詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

この、ガイドラインを活用して、家の抵当権を解除してもらうよう、銀行と交渉するという方法があります。

任意売却で親の自宅を相場で買取る

任意売却とは、債権者である銀行の合意を得て、不動産を競売にかけることなく売却する方法のことを言います。

任意売却の詳しい解説は「【競売回避】抵当に入っている不動産の保全を図る任意売却について解説【基礎知識】」をどうぞ。

任意売却を検討する際は、親子間売買でも対応可能な住宅ローンを組める金融機関をいくつか当たりを付けておくと良いです。

競売で入札する(自己競落)

前述の3つの策を用いても、保全ができなかった場合の最終手段として、「自己競落」という選択肢があります。

これはつまり、もし万が一、債権者に競売にかけられてしまった場合、自分達の名義で自宅を買い戻すという方法です。

買い受けるための現金が必要になりますが、支払い停止状態から実際に競売にかけられるまで、1年以上かかることが殆どですので、その間に競落資金をためることができれば、買い戻すことも現実的になります。

 

ちなみに、競売にかけられた自宅を自分達で落札するという事に対して、

  • 不動産なんて大きな買い物だから、何千万もするのでは?
  • 以前親から「この家を建てるのに〇千万円かかった」と聞いたからきっとそんな金なんて貯められない…

などと思うかもしれませんが、幸か不幸か、競売にかけられるとあなたが想像している以上に物件価格は安くなります。

不動産競売物件情報サイトを見れば分かると思いますが、相場よりも非常に安い価格で入札可能となっています。

参考リンク:BIT 不動産競売物件情報サイト

首都圏だと地価が高いため、建物が古くても土地代で結構金額が高めに設定されますが、首都圏以外は価格がかなり低くなりますので、自己競落するという保全方法もあります。

立地が良いと不動産業者に入札されたりするので、不確定要素が強いということに注意しましょう。

 

親が経営者で、家の保全を図るときに準備することは2つ

  • 家の相場価格を知らべておく
  • お金を用意する

上記のとおりです。

家の相場価格を調べておく

家の保全を図るには、自宅の相場価格が重要となります。

これは、「親が経営者で、家を借入の担保に入れている場合の保全策は4つ」で紹介した全ての方法で共通しています。

例えば、相場価格を調べた結果、自宅の価値が数百万だった場合、担保権者である銀行に「市価数百万円の家を担保に入れても、そんなに意味無いのでは?」という交渉も可能となります。

また、経営者保証に関するガイドラインや、任意売却、物件の相場価格というのは必ず必要になります。

ですので、まずは家の相場価格は現状いくらぐらいなのか?という事を調べておきましょう。

家の相場価格を調べる方法は、「「不動産一括査定サービス」なら匿名で売却相場価格を無料で調査可能【おすすめのサイト3選】」をどうぞ。

お金を用意しておく

家の保全を図るには、銀行交渉以外で必ずお金が必要となります。

具体的な金額は保全を図る方法によってまちまちですが、大まかな目安は次のとおりです。

  • 抵当権解除 → 登記費用(司法書士費用、印紙代を合わせて10万弱ぐらい)銀行が負担してくれる場合もあります。
  • 経営者保証GL → 弁護士費用(50万ぐらい~)
  • 任意売却 → 銀行(フルローンだと費用は殆どかからない)/ノンバンク:フルローンは不可能なので物件価格の2割程度の頭金が必要
  • 自己競落 → 購入資金が必要(時価)

このように、家の保全はある程度の費用がかかるので、お金を用意するようにしましょう。

 

親が経営者で、家の保全策を考えてあげるときに注意すること

  • 家族だからといって、必ずしも話を聞いてくれる訳ではない

上記のとおりです。

家族だからといって、必ずしも話を聞いてくれる訳ではない

筆者は、中小企業経営者様からご相談を頂く事が殆どなのですが、たまに、ご子息・ご息女から、ご相談を受けることがあります。

ご相談の入口は、親御さんの会社の資金繰りに関する事が殆どなのですが、お話の中で、親御さんの家の心配をされる方が多いです。経営者の家は、ご子息・ご息女からすると「実家」という事になりますから、心配するのは当然だと思います。

しかし、そんなご子息・ご息女の想いとは裏腹に、親である経営者は「子供に余計な心配をされたくない」と思っていたりすることがあります。

こうなるとご子息・ご息女が家の心配をして、「こんな保全方法がある」「今ならこんな方法で抵当権を解除できる」などと言っても、親である経営者に

  • お前が心配するような事じゃない
  • 余計な心配するんじゃない
  • お前に心配されるほど衰えてない

などと言われてしまい、まともに話を聞いてくれない事が少なくありません。

こうなると、いくら保全策を調べて、保全策を教えても聞く耳を持ってもらえなかったり、これが原因で親子間で揉める事はよくあります。

 

ちなみに、筆者も似たような経験があり、義父の会社がいよいよ厳しいという時に、「今ならこういう方法がある」と、現実的な提案をしたのですが、「心配しなくても良い」とか「自分が撒いた種だから自分でなんとかする」と言って、その時は聞く耳を持ってくれませんでした。

結局、何もできませんでしたけどね…。

 

親が経営者で、家の保全を実行しやすくするポイント

最後に、家の保全を実行しやすくするためのポイントを紹介します。

  • 具体性を持たせてから話を切り出すと進めやすい

上記のとおりです。

具体性を持たせてから話を切り出すと進めやすい

保全策が分かったからと言って、いきなり「こんな方法があるみたいだよ」などと言っても、筆者の経験上、話は前に進まないと思います。

家族だからといって、必ずしも話を聞いてくれる訳ではない」でも解説したとおり、「お前が心配することじゃない」等と言われて、話がそこで終わる可能性があります。

ですので、話を切り出す前にある程度の準備はしておいた方が良いです。最低でも、自宅の相場価格ぐらいは把握しておきましょう

 

相場価格を把握していれば、次のような説明ができます。

この家は銀行借入の抵当に入っているみたいだけど、築〇〇年経っているから、担保価値なんて実際は〇百万ぐらいのものだから、担保解除の依頼をしたら銀行も検討してくれるのでは?もしかしたら、今後の事業計画は必要になると思うけど。
もし断られたら、経営者ガイドラインを活用するという選択肢もある。華美では無い自宅を残せることだし、この家の相場は〇百万ぐらいだから、華美には該当しない。
ガイドラインの交渉に応じて貰えなければ、任意売却を検討すれば良い。この家の相場は〇百万ぐらいで、これぐらいの金額なら親子間売買も検討できそう。一応、親子間売買ができそうな金融機関をいくつかピックアップしておいた。

等という感じで、ある程度、話に具体性を持たせてしまえば前向きに考えてもらいやすくなります。

 

つまり、「思い付きで言っているのではない」ということをアピールすることが、親御さんを行動へと繋げるためのポイントとなります。

相場価格を調べたり、資料をまとめておくことで、理解しやすくなるのはもちろん、本気度が伝わり、親御さんも行動を起こしやすくなりますので、話に具体性を持たせるためにも、資料はできるだけ集めるようにしましょう。

 

まとめ

以上、親が経営者で、家が銀行借入の担保に入っているけど保全策はあるのか?とうことについて解説しました。

借入の担保に入っている家を守る方法は選択肢が4つあります。リスケジュールしていなければ、銀行に依頼すれば解除してくれる事がありますので、まずは相場価格を調べ、そのうえで銀行に依頼するようにしましょう。

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