無知につけこんだ悪質な回収事例(金融機関のケース)

競売日記

内輪のネタになるのですが、ちょっと思い出した事があるので、お話ししたいと思いました。

一昨年の夏頃でしょうか、地元S信用金庫の担当者の方が「破産手続き中の会社の借入金の件でお話があります」との事で訪問してきた事がありました。

私はその日、家にいたのですが、出張があったので、「破産したのに何しに来たんだ?保険でも売りに来たのかな?」ぐらいにしか考えず、黙々と出かける用意をしていました。

義理の両親は家にいたので、突然の来訪にもかかわらず、「どうぞおあがり下さい」と、快く招き入れていました。

 

5分ぐらい軽い雑談をした後、S信用金庫の担当者はこのように切り出しました。

銀行員
銀行員

実はですね、破産する以前、当行の株券を買っていただいたと思いますが、その件で今日はやってまいりました。

 

義父の会社が破産するずっと前の事なのですが、(金融事故を起こす前)S信用金庫と取引していた際に、付き合いで数口、S信用金庫の株を買わされたみたいなのです。

まあ、付き合いで株を買わされるのは、よくある話だと思います。(ご相談者さまの決算書を見ると、たまに見かけます。)

銀行員
銀行員

株券はお手元にございますでしょうか?

義父
義父

ありますよ。

破産手続きする前は見つからなかったけど、この前、家の掃除をしていたら証券が見つかったから、弁護士の先生に連絡しようと思ってた。

銀行員
銀行員

そうでしたか。それでは今、お手元に証券があるのですね。

義父
義父

ありますよ。

後で先生に連絡して、持っていこうと思ってますけど。

 

銀行員
銀行員

その株券ですが、当行にご返却頂けないでしょうか。

 

というのも、株券は借り入れの担保に入っていますので、負債と相殺という形で、当行の借入に充当してもらいたいのです。

このS信用金庫、破産手続き中にもかかわらず、たった十数万ぽっちの金を回収するために、抜け駆け的な回収をしてきたのです。

 

義父
義父

えっ、別にかまわないけど…。

義父は詳しい事情をあまり理解しておらず、また、焦げ付いた金額も多額なため、それぐらいなら先生に相談しなくても大丈夫だろうという判断が働いていました。

それに「株券が担保に入っている」と言われ、担保にはいっているなら仕方がないかぐらいに思ってしまったみたいなのです。

ただ、「株券なんて担保に入れたか?」と微妙に引っかかってたみたいですが、何年も前の事だし、返せなくて申し訳ないという心理状況であったため、先生に相談せずに、株券を渡す方向に心が傾いていました。

 

私はこの時、短パンとシャツといういでたちで、「今日はどのスーツを着て行こうか」なんてのんびりしていたのですが、リビングの不穏な空気を察知した妻に、

妻

またなんか言いくるめられてるっぽいから、ちょっとだけ顔出してみてくれない?

と言われ、面倒と思ったのですが、「じゃあ、アポに遅れるから、10分だけ」といって、同席する事にしました。

短パンとシャツという格好だったので、「なんかチープだな~」と思ったのですが、時間が無いので仕方無く、この格好で同席する羽目になりました。

S信用金庫の担当者に軽く挨拶し、座るところが無かったので、担当者の横に座る事にしました。私はこの時まで細かい話は知らなかったのですが、義理の両親とS信用金庫のやりとりを黙って聞いてて、数分の間で話を全て理解しました。

S信用金庫の担当者は、とにかく「今日、証券をいただけないか。」の一点張りで、訳の分からない事をグダグダ話していたので、私も時間が無いので、反撃に出ることにしました。

筆者
筆者

こんな格好で申し訳ないけど、あのね、オタクが今何をやってるのか分かる?

銀行員
銀行員

どういう事でしょうか?

筆者
筆者

いや、そういうしらばっくれはいいから。

 

あのね、いま、破産手続き中だって知ってますよね?知らない訳無いでしょ。

銀行員
銀行員

はい、存じ上げております。

筆者
筆者

受任通知が来てますよね?来てないですか?

オタクにも行ってるはずですが。

銀行員
銀行員

はい。

ただ、株券は借り入れの際に担保に入っておりますので。

筆者
筆者

担保?証拠は?金融機関なんだから、書類ぐらいあるでしょ。

コピーとかありますか?

銀行員
銀行員

今日は持ってきておりません。

筆者
筆者

オタクね、これがどういう行為なのか、理解してますか?

 

1から10まで説明した方が良いですか?それとも、いま、この場で金融庁に電話しましょうか?

銀行員
銀行員

いえ。その…。

筆者
筆者

もし、株券が欲しいなら、オタクの支店長のハンコを付いた文書もってきてくれないかな?

 

ウチもリスケに行った際に文書持って行ったでしょ?

こっちは手間暇かけて文書作ったのに、オタクは口答で済ませるの?

銀行員
銀行員

そういう訳では…。

筆者
筆者

じゃあ、今、金融庁に電話しましょうか?

銀行員
銀行員

戻って確認致します。

筆者
筆者

何を確認するんだよ(笑)。

確認したければ今確認すればいいじゃん。

 

そこの電話使っていいから、いま確認すればいいんじゃないですか?

銀行員
銀行員

申し訳ございません。支店に戻ってきちんと確認致します。

筆者
筆者

あっそう。ならいいけど。

問い詰めまくったら、担当者の方は、急に帰り支度を始め、私となるべく目を合わせないよう、そそくさと帰って行きました。

あれから、S信用金庫の担当者は一度も家に来ません。急いでいたのもあるのですが、無知につけこんだという事に対して、なんだか無性に腹が立ったので、わざと荒っぽい感じで対応しました。

 

このように、無知につけこんで、抜け駆け的な回収を図ろうとする輩は 少なくありません。金融機関や大企業だからと言っても安心できません。「知らない」という事を良い事に、抜け駆け的な回収をしようとする輩がたくさんいるのです。

もちろん、回収しようとする側も無知だったりするケースもあるので、回収する側、回収される側、双方気を付けなければなりませんね。

それにしても、この仕事はいろんな事があって面白いです。

この話の続きに興味がある方は以下の記事をご覧ください。

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