【リスケジュール】銀行に約定返済に戻すよう言われたら応じるべき?【判断のポイントを解説】

銀行にリスケジュールの更新を依頼しようとしたら、約定返済に戻すよう言われた。業績も回復傾向にあるから戻せなくは無いけど、約定に戻した後は融資してくれるようになるのかな?

1年ぐらいなら約定返済を続けれらると思うけど、それ以上となると正直分からない。

資金繰りが落ち着いてきたとはいえ、返済するだけの状態が続くのは厳しい。応じるべきかどうか詳しく知りたい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

目次

銀行に約定返済に戻すよう言われても無理に戻す必要はない

銀行融資のリスケジュール契約の終了時期が近づいてきた時に、銀行にリスケジュールを延長するよう依頼をすると、
銀行から「リスケジュールの延長は難しいから約定返済に戻して欲しい」と言われる事があります。

業績が回復傾向にあるとはいえ、約定返済に戻した後の資金繰りの事を考えると、次はいつぐらいに借りれるようになるのか分からないので、やんわりとリスケジュールを延長するよう伝えると、銀行は「約定返済に戻せばまた借りれるようになりますよ」の一点張り。

銀行が「約定に戻せば借りれる」と言っているぐらいだし、約定に戻しても大丈夫でしょうか。

結論から言うと、銀行に言われたからといって、無理して約定返済に戻す必要はありません。

銀行が約定返済に戻すよう要請してくる時は、決まって「再び融資を受ける事ができるようになる」という事を言ってきますが、この言葉を額面通り受け取るのは危険です。

なぜなら、リスケジュールした企業が再び融資を受ける事ができるようになるには、約定返済を1年以上続けて実績を作らない限り、新規融資は非常に難しいからです。

再び融資を受けれるようになるには約定返済を1年以上続けないと難しい

約定返済に戻してから新規融資を受けれるようになるには、1年以上、約定返済を続けないと非常に難しいです。

返済実績を作るということはもちろん、事業の進捗状況も同時に様子を見られることになりますので、
リスケジュール前と比較して経営改善の効果が出ており、売上も回復してきているという事であれば、1年以上返済を続けた時に新規融資の審査をしてくれるようになります。

しかし、半年~1年以内ぐらい約定どおり返済したところで、審査すらして貰えない場合が殆どなので、
銀行に約定返済に戻すよう言われたら「1年以上、約定返済を続けることができるかどうか?」という事を考えてから結論を出しましょう。

リスケジュール状態から約定返済に戻すかどうか検討するポイント3つ

リスケジュール状態から約定返済にもどすかどうかを検討するポイントは下記3つあります。

  • 手元資金は月商の3倍程度を確保しているかどうか
  • 1年以上借入無しで資金繰りが回るかどうか
  • 実質債務超過を解消しているかどうか

上記のとおりです。

手元資金は月商の3倍程度を確保しているかどうか

約定返済に戻すかどうかを検討する際、手元資金が月商の3倍を下回るようであれば、約定に戻すのは時期尚早といえます。

1年以上の返済実績を作らない限り新規融資は難しいですから、約定返済で手元資金が毎月目減りする事を考慮すると、2倍ぐらいだと若干心もとない感じがします。

  • 月商と同程度(1倍) → 入金遅れが発生したりすると、資金ショートする可能性あり
  • 月商の2倍 → 比較的ゆとりはあるものの、借りれない状況がしばらく続く事を考慮すると厳しい
  • 月商の3倍 → 大抵のトラブルには対応できるため、安全度が高い

月商の3倍の手元資金があれば大抵のトラブルには対応できますので、資金を確保してから約定に戻すようにしましょう。

1年以上借入無しで資金繰りが回るかどうか

約定返済に戻してから融資を受けれるようになるまで1年以上かかります。

具体的には概ね以下のような流れになる場合が殆どです。

  1. 返済実績を1年作る
  2. 約定返済を行った期の決算書を提出する
  3. 決算書を見て審査してくれる

つまり、約定返済に戻してから実際に新規融資を受ける事ができるようになるまで、実質1年と数ヶ月かかる場合が殆どなので、1年数ヶ月分の期間、借入無しで資金繰りが回せるような状態であることが望ましいです。

直近の業績と照らし合わせて、綿密な資金繰りシミュレーションを行い、1年半近く約定返済を続けても資金ショートしないようであれば、約定に戻しても問題無いと思います。

しかし、1年ともたずに手元資金が枯渇しそうであれば、約定に戻すのは時期尚早だといえます。

実質債務超過を解消しているかどうか

業績が改善して資金繰りが回復傾向にあったとしても、実質債務超過を解消しない限り、返済実績を作っても「実質債務超過だから難しいですよ…」と新規融資を断られてしまいます。

ちなみに、債務超過だと銀行が融資を消極的になってしまう理由は「【銀行融資】債務超過でも新規融資を受けることはできる?【状況次第】」で解説しています。

実質債務超過とは、つまり、決算書に記載してある簿価で計算するのではなく、現在の時価に修正して計算した場合の事を言います。

よくあるケースは下記のとおりです。

  • 貸借対照表に商品在庫が1億円計上されている → 実際の商品在庫は5千万円分(残りはデッドストック・あるいは破損状態)。

このような場合、決算書上の自己資本が1千万円あったとしても、実質4千万円の債務超過状態という事になります。

新規融資の審査を行う際、簿価ではなく実態ベースで決算書を見られますので、業績が回復してきて、約定返済に戻したとしても実質債務超過であれば頑張って約定返済を続けても新規融資はNGとなります。

なので、実質債務超過を解消しているかどうか、実態ベースで決算書を確認するようにしましょう。

ちなみに、実質債務超過について「銀行融資の指標「実質債務超過」を分かりやすく解説【基礎知識】」という記事で詳しく解説していますので、是非どうぞ。

無理は禁物、計画を下回りそうであれば迷わず再リスケしよう

約定返済に戻したものの、進捗が芳しくない場合、手元資金が月商の1か月分を割り込む前に迷わず再度リスケジュールするようにしましょう。

【銀行融資】リスケジュールの更新手続きを期限内にしないと約定返済に戻る?【戻るけど再リスケ可能】」でも解説しているとおり、銀行に再リスケジュール依頼しても普通に受けてくれますから、進捗が芳しくなく、想定よりも資金の減りが早ければ迷わずリスケジュールしましょう。

リスケジュール後の新規融資は当面は諦める必要がありますが、以下2つの記事でも解説しているとおり、リスケジュール中の新規融資を可能にした保証制度があります。

保証制度を利用することで、リスケジュール状態からソフトランディングしながらリスケジュールの卒業(約定返済に戻す)がしやすくなりますので、資金繰りの状況を見ながらこうした保証制度の利用を検討するのも一つの選択肢です。

まとめ

以上、リスケジュール中だけど、更新しようとしたら銀行に約定返済に戻すよう言われたら応じるべきなのか、ということについて解説しました。

おわり。

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