【資金調達】少人数私募債の特徴や発行要件、メリット・デメリットを徹底解説

資金調達
少人数私募債の情報を探している方向けの記事です。

金融機関からの借入だけが資金調達とは限りません。

金融機関に頼らない資金調達方法の一つに、中小企業でも発行可能な「少人数私募債」という社債を発行して資金調達する方法があります。

社債とは、会社が市場から直接資金を調達するために発行する有価証券の事を言います。

この記事では、中小企業でも発行できる社債「少人数私募債」の特徴や発行要件、メリットデメリットなどについて、網羅的に解説します。

少人数私募債による資金調達とは

少人数私募債は社債の一種で、主に経営陣や親族、友人・知人、取引先などの縁故者を対象に、直接的に資金提供を受けるために発行する社債の事をいいます。

大企業が発行する通常の社債と違って、社債発行に必要な手続きの一部が免除されていますので、短期間で低コストで簡単に発行することができます。

少人数私募債の発行要件

少人数私募債を発行するための要件は5つあり、社債発行にあたって、5つの要件を全て満たす必要があります。

  • 会社法上の「持分会社」であること。(株式会社、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社)
  • 社債の募集人数はは49名までであり、不特定かつ多数の者に対する募集でないこと。
  • 縁故者に限定して、社債を直接募集すること
  • 社債購入者に証券会社や銀行などの「金融のプロ」がいないこと。
    発行額が1億円未満であること(社債の一口の金額は発行総額の50分の1以上とすること。)
  • 取得者から多数の者(50名以上)に譲渡されるおそれがないこと

 

少人数私募債を発行して資金調達するメリット・デメリット

少人数私募債を発行して資金調達することのメリット、デメリットを解説します。

少人数私募債を発行するメリット

少人数私募債を発行して資金調達するメリットは次の6つです。

  • 発行手続きが簡単
  • 物的担保や保証人なしで発行可能
  • 中長期的に資金を確保できるので資金繰りが改善する
  • 信用力が高まる
  • 経営の自由度を奪われる事がない
  • 利息は全額経費(損金)扱い

上記のとおりです。

発行手続きが簡単

金融機関から融資を受ける場合、多くの手続きを踏む必要があります。

融資の申込、審査、承認、契約締結、担保権の設定、信用の度合いによっては保証協会への申請、貸出実行を経て、ようやく借入資金が預金口座に入金されます。

しかし少人数私募債の場合、会社であれば取締役会の決議を経て所定の手続きを実行するだけで発行することができます。

また、通常の社債と違い、有価証券届出書などの書類を提出する必要がありません。

物的担保や保証人なしで発行可能

少人数私募債は物的担保や保証人なしで発行できます。

大企業が発行する通常の社債の場合、社債管理会社を設置する必要がありますが、少人数私募債は社債管理会社もいらないため余計なコストがかかりません。

中長期的に資金を確保できるので資金繰りが改善する

金融機関の借入金は、毎月元本・利息を返済しなければならないため、毎月現金が流出してしまいますが、社債の場合、毎月の返済がなく、償還期日一括返済ですので、償還期限が到来するまでは利息だけの支払いになります。

利息の支払いも年に1~2回の支払いなので、資金繰りは楽になります

通常、2,000万円(5年償還・年利率3%)を金融機関から借入れた場合、初年度は、元利合計で約454.5万円もの現金が流出しますが、同条件で少人数私募債を発行した場合は、支払利息の60万円が1年間に出ていくだけで済みます。

信用力が高まる

社債を引受けてくれる支援者がいるということは、それだけ経営者や企業が信用されてるという証拠です。

また、「社債を発行している」ということで、金融機関からの格付け評価が上がります。

経営の自由度を奪われる事がない

少人数私募債は社債の発行なので、株式発行と違い、社債購入者から株主のように経営に口出しされることもなく、経営権を奪われる恐れもありません。

利息は全額経費(損金)扱い

社債の利息は株式配当金と違って損金扱いになりますので、少人数私募債の支払利息は税務上経費(損金)扱いになります。

少人数私募債を発行するデメリット

少人数私募債を発行して資金調達するデメリットは次の2つです。

  • 期日一括償還
  • 予定額が集まらない場合がある

上記のとおりです。

期日一括償還

償還期日が到来したら一括で償還しなければならないため、多額の現金が必要になります。ですので、日頃から資金管理をして償還資金をプールしておく必要があります。

もし、社債の償還期日に返済できない場合、社債購入者の承諾を得て、再び同額の社債を引き受けてもらうようにします。このことを社債の「借換発行」と言います。

予定額が集まらない場合がある

社債の募集は縁故者に限定して行わなければならないため、必ずしも必要な数の申込みを得る事ができるとは限りません。

必要な申し込みを集めることができず、また、予定額が集まらないということも当然あります。

また、担保や保証人無しに資金の提供をお願いする事になるので、償還期日には必ず返す事ができるという、明確な事業計画を示すことができなければ応じてもらえない場合があります。

 

少人数私募債の発行手続きの手順

少人数私募債を発行するには、以下の手順で発行手続きを行います。

  1. 事業計画・社債発行条件の決定
  2. 取締役会等において社債発行の決議
  3. 社債の募集に必要な書類の作成(募集要項、社債申込証、事業計画書など)の作成
  4. 社債購入者の募集
  5. 購入申込受付と社債申込証の受領・審査
  6. 募集決定通知書の送付
  7. 申込金額の入金確認と申込証払込金預り証の発行
  8. 社債預り証の発行・利札の発行
  9. 社債管理台帳の作成、保管

以上が社債発行の手順となります。

 

社債発行後、利払い期日が到来しましたら、社債購入者様に金利をお支払いし、社債償還期日が到来しましたら元金を返済します。

もし、社債の償還(返済)が難しい場合、借換え等の手続きを行う事で返済期日をジャンプする事も可能です。

 

ちなみに、少人数私募債の発行手続きに必要な書式は、以下の書籍を購入すると全て入手することができます。

 

少人数私募債で資金調達を成功させるポイントは3つ

最後に、筆者が関与した経験や、少人数私募債で資金調達を成功させたお客様から伺ったお話をもとに、少人数私募債による資金調達を成功させるポイントを3つ紹介します。

  • 事業計画書を作成する(社債償還までの筋道を記載する)
  • 数打ちゃ当たる(可能性がありそうな縁故者はリストアップ)
  • プレゼンの決め手は熱意と気合

上記のとおりです。

事業計画書を作成する(社債償還までの筋道を記載する)

少人数私募債で調達目標額を決めたら、事業計画書を作成しましょう。

社債発行にあたって、事業計画書は必要書類ではありませんが、社債償還までの根拠を事業計画書で示さないと縁故者の協力を得るのは難しいです。

これは逆の立場で考えれば分かると思いますが、どんなに親しい間柄でも、口頭で「絶対償還できるから社債を引き受けて欲しい」などと言われて、社債を引き受けようと思いますでしょうか?

恐らく、「事業計画を聞かせて欲しい」、「どのようなプランを描いていて、どのような根拠で返済可能なのかを聞かせて欲しい」と考えるのではないでしょうか。

社債引き受けの募集を受けた縁故者も同じように考える事は間違いありませんので、

  • 何をするために社債を発行するのか(社債を募集する目的・背景)
  • 集めた資金は何に使うのか(社債の資金使途)
  • 満期に償還する事が本当に可能なのか(社債償還プランの提示)

などを記載した事業計画書を作成するようにしましょう。

数打ちゃ当たる(可能性がありそうな縁故者はリストアップ)

「数打ちゃ当たる」とはいえ、少人数私募債は募集できる人数(声を掛ける人数)には限りがあり、原則的に49名以内で募集することになります(49名を超えてはいけません)。

社債を引き受けて貰うということは、端的に「金を貸して欲しい」と伝える事になりますので、基本的には

  1. 資金的に余裕がありそうな取引先、縁故者をリストアップする
  2. 資金的に余裕がありそうな順番に声を掛ける

という方法が最も効率的に思えるかもしれませんが、一概にそうとも言えないことがあります。

例えば、資金的に余裕が余裕がありそうな縁故者を10名ぐらいピックアップして、順番に声を書ければよいだろうと考えて、実行に移したとします。

ここですんなり集まれば良いですが、当然、そんなにうまく資金調達できることはまれです。

10名のうち、数名でも引き受けて貰うことができれば良いですが、募集額の半分にも満たなかった場合、再度リストアップする事になります。

この時、「ウチの社債を引き受けて貰うなんてやっぱり難しいのかも…。」と、手詰まり感が出てきて、心が折れてしまう事があります。

ここで心が折れると、再度縁故者をリストアップする際に「あの人は多分ダメだろうな」、「あの会社も恐らくダメだ」という感じで、リストアップすること自体がおっくうになり、今後の募集が頓挫する恐れが出てくるので、一番最初の時点で49名ギリギリまでリストアップした方が良いです。

プレゼンの決め手は熱意と気合

リストアップした縁故者にプレゼンする機会を得ることができたら、最後は熱意と気合です。

プレゼンの最中、「事業計画とか見せられても…要するに金貸せって事でしょ」といった感じで冷たく言われたとしても、「そうです。金を貸して欲しいからお願いに来たんです!」といった感じで、何を言われても気合で乗り切るほかありません。

縁故者からスマートに資金を集めるなんて、幻想に過ぎません。

筆者が関与した案件はもちろん、少人数私募債による資金調達を成功させたお客様からお話を聞くと、スマートに集めた人は殆どいません(過去1人だけいました)。

資金調達に成功した方に共通していることが、プレゼンの際に「絶対に迷惑をかけず、満期償還するから引き受けて欲しい!」という熱意と気合で引き受けて貰った方が殆どです。

縁故者に対してプレゼンする機会を得たら、最後は熱意と気合でプレゼンした方が、調達できる可能性は高いです。

 

まとめ

以上、中小企業でも発行可能な社債、「少人数私募債」による資金調達方法について解説しました。

おわり。

 

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