信用保証協会に代位弁済されると銀行口座は凍結する?【凍結は期限の利益喪失時】

信用保証協会に代位弁済されると銀行口座は凍結する?【凍結は期限の利益喪失時】

信用保証協会(以下、「保証協会」といいます。)に代位弁済されると銀行口座は凍結しますか?

もし凍結した場合、いつぐらいに解除されますか?

代位弁済された時に銀行口座がどうなるのか詳しく知りたいです。

本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。

本記事の内容
  • 銀行口座の凍結は代位弁済時ではなく期限の利益喪失時点
  • 凍結解除後の銀行口座を使う時の注意点2つ
  • 期限の利益喪失で銀行口座が凍結する時のよくある質問2つ

なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。

こういった経験を元に、本記事では、保証協会に代位弁済されると銀行口座が凍結するかどうかについて詳しく解説していきます。

一度凍結した銀行口座を使い続ける時の注意点も併せて解説していきますので、保証付き融資が返済できなくなると今後どうなるのかご心配な方は、ぜひ参考にしてください。

ちなみに、結論から言うと、銀行口座の凍結は代位弁済時ではなく、期限の利益を喪失した時点で凍結します。

目次

銀行口座の凍結は代位弁済時ではなく期限の利益喪失時点

銀行口座の凍結は代位弁済をきっかけに凍結するのではありません。
借入金の返済が90日以上延滞し、期限の利益を喪失した時点で凍結します。

代位弁済は期限の利益喪失後、銀行が保証協会に対して代位弁済請求をしてから実行されるものです。

凍結は主債務者だけでなく、連帯保証人の銀行口座も同時に凍結します。

  • 主債務者 → 法人の銀行口座
  • 連帯保証人 → 経営者個人の銀行口座(第三者の連帯保証人の口座も含みます)

代位弁済の詳しい流れは別記事の「保証協会に代位弁済されるとどうなる?」をどうぞ。

預金残高は借入金と相殺される

銀行口座が凍結すると、凍結時点の預金残高は借入金の返済に充当されます。

預金残高よりも負債が多ければ、残高は0になります(連帯保証人の銀行口座も同じ)。

凍結中は残高の確認・記帳はできません。凍結解除後に確認できます。

代位弁済手続き後に凍結解除

期限の利益喪失の時点で銀行口座は凍結しますが、代位弁済の手続きが完了すると凍結は解除されます。

銀行から連絡もらえる場合がほとんど。

凍結が解除されると通帳の記帳はもちろん、銀行のATMや提携ATMで入出金できます。

銀行口座を凍結されても代位弁済手続きが完了すれば使えるようにはなりますが、一度凍結した口座を再び使おうとするのは、正直、おすすめできません。どうしても使い続けたいという時は、次のことに注意して下さい。

凍結解除後の銀行口座を使う時の注意点2つ

凍結した銀行口座を使う時の注意点は下記2つです。

  • 銀行に対する債務が残っていると入金と同時に相殺される
  • 差し押さえの対象になりやすい

上記のとおりです。

銀行に対する債務が残っていると入金と同時に相殺される

代位弁済の手続きが完了し、凍結が解除されると、銀行に対する債務は無くなったと思いがちですが、実は、債務が残っている場合がほとんどです。

銀行に対する債務が残っていると、入金と同時に相殺されます。

銀行に対する残債が残ってしまうケースは下記2つあります。

  • 普通保証(保証割合8割)で融資を受けた場合
  • 銀行に延滞利息(遅延損害金)をチャージされている場合

上記順に解説していきます。

普通保証(保証割合8割)で融資を受けた場合

普通保証で保証付き融資を受けた場合、保証協会の保証割合は8割ですので、残りの2割の部分は銀行負担になります。

例えば、保証付き融資の残高が1,000万円残っている状態で期限の利益を喪失した場合。
銀行は保証協会から800万円の肩代わり弁済を受けますが、残りの200万円は銀行負担です。

銀行が200万円負担するということは、200万円の残債が残ることを意味します。

銀行は200万円の債権を有しているので、銀行口座に入金があれば200万円の債権と相殺(返済扱い)されます。

200万円の債務がなくなるまで、ひたすら相殺されます。

銀行に延滞利息(遅延損害金)をチャージされている場合

保証付き融資の返済を止めると、通常の金利支払いに加えて「延滞利息(遅延損害金)」が発生します。

返済が止まってから120日間に発生した利息・延滞利息は保証協会が肩代わり弁済を行いますが、120日を超える部分は銀行負担となります。

代位弁済の請求は、保証付債権に事故が発生し、その解消に努めた結果、回収が困難と判断される場合に行うことになりますが、請求にあたっては、金融機関から提出された事故報告書に基づいて、信用保証協会と金融機関であらかじめ協議し、その上で行うこととしています。 請求できる範囲は、未回収元本に未収利息及び最終履行期限(期限の利益を喪失した場合は喪失日)後120日(※初日不算入)までの延滞利息(遅延損害金)を加えた額が限度(注)です。なお、延滞利息の計算は、貸付利率(割引利率)と同率とします。(注)長期延滞先の場合は、未収利息発生日から365日超の利息は原則カットとなります。

出典:信用保証のご案内 2023 | 愛媛県信用保証協会

銀行負担の利息は、当然、債務者へ請求することになります。

銀行負担の利息が計上されるということは、同時に利息の請求権が発生するということです。

払い終えていない利息が残っていると、入金と同時に相殺されます。口座を使いたいとお考えの方はご注意ください。

延滞利息の請求は代位弁済の手続き後、銀行から書類が届く場合がほとんどです。

差し押さえの対象になりやすい

期限の利益を喪失するということは、状況的に他の借入返済も困難になる可能性が高く、銀行や保証協会以外にも、債権者が増える可能性が容易に推察できます。

代位弁済後、銀行に残った債務がサービサーに債権譲渡され、サービサーに差し押さえられるリスクも考えられます。

こうした状況下にある企業がずっと同じ銀行口座を使い続けるのは差し押さえ対象になりやすいので、使い続けようとお考えの方は十分お気をつけください。

差し押さえ対象になりやすい理由

差し押さえ対象になりやすい理由は、債権者からすると差し押さえ対象となる銀行口座を調べなくて済むからです。

銀行口座の差し押さえは、銀行名と支店名の特定が必要です。

本来、債権者が費用と時間をかけて調査することになるのですが、金融機関は決算書の勘定科目から債務者企業がどこの銀行に口座を開設しているのかをすでに把握しています。

わざわざ調査しなくても過去に提出された決算書をみれば、どこの銀行に口座を開設しているのか分かるので、債権者からすると差し押さえしやすいです。

債権者に口座情報を知られているのに、一度は凍結した銀行口座を使い続けるのは賢い選択とはいえません。

どこの銀行でも構いませんので、新規で銀行口座を開設して、今後は新たに開設した銀行口座を使った方が賢明です。

詳しくは別記事の「銀行口座の差押は簡単?債務者の口座の特定は難しい」をどうぞ。

ちなみに、下記記事で法人口座におすすめなネット銀行を紹介しています。銀行口座と併せてデビットカードも発行されるため、経費精算の手間が省けて便利です。

一般的な銀行と比べて振込手数料が安いので、1~2つほど口座を開設しておくといいですよ。

法人口座開設におすすめなネット銀行4選

以上が凍結解除後の銀行口座を使う時の注意点となります。続いて最後に、期限の利益喪失で銀行口座が凍結する時のよくある質問とその答えを紹介していきます。

期限の利益喪失で銀行口座が凍結する時のよくある質問2つ

期限の利益喪失で銀行口座が凍結する時のよくある質問とその答えは下記2つです。

  • 90日以上延滞した時点で凍結しますか?
  • 凍結した口座はいつぐらいに解除されますか?

上記のとおり。

90日以上延滞した時点で凍結しますか?

基本的に、90日以上延滞した時点で凍結します(91日目に凍結します)。

ただ、必ずしもそうなる訳ではありません。これまでの付き合いにもよりますが、事前交渉で待ってもらうことは可能です(地方銀行・信金・信組に限る)。

実際、筆者のお客様で90日以上延滞しているのに、口座が凍結しなかった方はいます(名前を憶えているだけでも30名近くいます)。

ただし、都市銀行は待ってもらうことは不可能です。問答無用で凍結しますのでご注意ください。

凍結した口座はいつぐらいに解除されますか?

銀行によって異なりますが、一般的に2~3か月ほどで口座凍結は解除されます。

  • 期限の利益喪失で銀行口座凍結
  • 凍結時点の残高、凍結期間中の入金を既存債務と相殺する(1か月ぐらい)
  • 相殺後、銀行は保証協会に代位弁済請求する
  • 保証協会が銀行に代位弁済実行
  • 代位弁済手続きが完了し、凍結が解除される

上記のとおり、代位弁済手続きが完了するのに2~3か月かかります。手続きが完了すると凍結は解除されます。

まとめ

以上、保証協会に代位弁済されると銀行口座は凍結するかどうかを解説しました。

銀行口座は代位弁済の時点ではなく、借入金の返済ができなくなり、期限の利益喪失時点で凍結します。代位弁済の手続きが完了すれば凍結は解除され、また使えるようになります。

とはいえ、銀行に負債が残っている状態で口座を使い続けると、入金と同時に相殺される危険性があるということを覚えておきましょう。

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