【銀行融資】リスケジュール交渉を成功させるコツ14選【必見】
約定返済を続けるのが難しいのでリスケジュールしようと思ってます。
銀行にリスケジュールを依頼する時のコツがあれば教えて欲しいです。
本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。
- リスケジュール交渉を成功させるコツ14選
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験を元に、本記事では、銀行融資のリスケジュール交渉を成功させるコツをまとめました。
銀行にリスケジュールしてもらうこと自体、難しいことではありません。
しかし、リスケジュール交渉に時間がかかったり、不利な要求をされてしまい、リスケジュールがきっかけでさらに厳しい状況に追い込まれる会社もあります。
本記事では、リスケジュール交渉を成功させるコツを14こまとめましたので、不利な状況に追い込まれないよう、コツを押さえてからリスケジュールを依頼しましょう。
リスケジュール交渉を成功させるコツ14選
それでは、リスケジュール交渉を成功させるコツ14選を紹介します。
- まずは銀行に融資の相談をする
- 月商1か月分の資金を確保しておく
- リスケジュールを早く決断する
- リスケジュール前に高金利の借入をしない
- 資金調達手段を確保しておく
- 必要最低限の資料を準備する
- リスケの依頼はメインバンクからはじめる
- リスケジュールは他行一律同条件が基本
- 嘘はつかない
- 返済額は限りなく低く依頼する
- 前向きなリスケジュールであることをアピールする
- できない、したくない約束はしない
- 経営改善計画書を作成する
- 粘り強く交渉する
上記のとおり。
まずは銀行に融資の相談をする
いきなりリスケジュールを依頼する前に、まずはメイバンクに融資の相談をしましょう。
融資を受けれるのであれば融資を受けた方がいいので、リスケジュールを依頼する前に融資を受けれるのか否かを確認しましょう。
意外とよくあるのが、担当者は「もう少し融資できそう」と思っているのに、経営者は「これ以上の融資は無理だろうな」と思い込んでいるパターンです。
- 銀行 → もう少し融資できそう。
- 経営者 → 「これ以上の融資は難しいだろうな」と思い込んでいる。
こういった認識の違いはよくあるので、一方的に「多分無理」などと決めつけず、リスケジュールを依頼する前に新規融資の相談をして、まだ融資を受けれるのか否かを確認しておきましょう。
月商1か月分の資金を確保しておく
リスケジュールを依頼する時は、月商1か月分の資金を確保している状態で依頼しましょう。ギリギリまで返済を頑張ってしまうと、資金繰りにゆとりがなくなります。
もし万が一、下記のようなトラブルが発生したら、資金ショートは避けられません。
- 取引先からの入金遅れ
- 売上/受注が大幅に減少した
- 取引先が倒産した
リスケジュールすると新規融資は難しくなるので、借りれない前提で考えておいたほうがいいですよ。
リスケジュールを早く決断する
銀行に融資の相談をして下記いずれかの回答だった場合、スグにリスケジュールを決断しましょう。
- 借換えを提案されたけど、真水は殆ど出ない(毎月の返済が少し減るだけ)
- 銀行のビジネスローンを提案される
- これ以上の融資は不可能
ちなみに、真水がほとんど出ないような借換えを提案された場合、基本的には断った方がいいです。
資金繰りの状態にもよりますが、真水が出ない借換えをしても資金繰りは厳しくなり、近い将来リスケジュールを依頼することになります(資金調達できない限り、間違いなくそうなります)。
それなら、今のうちに元本返済を止めておいた方が、後々の資金繰りは楽になりますよ。
ビジネスローンを提案されたら終わりの合図
新規融資を依頼した時に、系列会社の銀行ビジネスローンを提案されることがあります。
この時、「まだ融資を受けれるのだから、リスケジュールしなければまた融資を受けれるかも…」と勘違いされる方が一定数います。
銀行がビジネスローンを提案するのは「当行ではこれ以上の融資は不可能」という終わりの合図なので、ビジネスローンの提案を受けたらリスケジュールを決断しましょう。
リスケジュール前に高金利の借入をしない
銀行融資をリスケジュールする前に、高金利の借入はしないようにしましょう。
百歩譲って取引銀行提案の銀行ビジネスローンは致し方ないとして、それ以外の高金利の借入はリスケジュール前にしない方が良いです。
理由は下記2つです。
- 高金利の借入があると銀行はリスケジュールに応じようとしないから
- 高金利の借入で低金利の借入を返済することになり、資金繰りがより厳しくなる
上記の順に解説します。
高金利の借入があると銀行はリスケジュールに応じようとしないから
高金利の借入がある状態で銀行にリスケジュールを依頼すると、
銀行から「高金利の債権者には返済を続けて、我々(銀行/公的機関)だけリスケジュールするのですか?債権者平等の原則に反するのでは?」と言われることがあります。
銀行によっては「高金利の借入は別」と考えてくれるところもありますが、そうでない銀行もあります。
こうなるとリスケジュール交渉は難航しますので、もし、高金利の借入れの利用を検討しているのであれば、リスケジュール後に検討するようにしましょう。
高金利の借入で低金利の借入を返済することになり、資金繰りがより厳しくなる
リスケジュールする前に高金利の借入をすると、高金利のお金で銀行/公的機関の低利融資を返済することになります。
こうなると、資金繰りはより厳しくなるので、高金利の借入を起こすならリスケジュール後に利用しましょう。
資金調達手段を確保しておく
リスケジュールすると新規融資は難しくなるので、リスケジュールを依頼する前に資金調達手段を確保しておくと、いざという時に安心です。
銀行/公的機関の融資はハードルが高い
一応、下記のようにリスケジュール中に利用できる融資の仕組みや制度融資もありますが、どれもハードルが高いので「当社で利用できればいいな」ぐらいに考えておいた方が無難です。
- 短期継続融資(短期転がし融資:通称短コロ)
- ABL(流動資産担保融資)
- 条件変更改善型借換保証
- 経営改善サポート保証
- 企業再建資金
ちなみに、業種にもよりますが、上記の中で融資を受けれる可能性が最も高いのは「短期継続融資」です。
実際に利用するとなるとノンバンク
リスケジュールすると、銀行/公的機関からの融資は難しくなるので、実際に検討するとなるとノンバンクからの融資か、もしくはファクタリングが現実的な資金調達方法になります。
- ビジネスローン
- ABL(売掛金担保融資・動産担保融資)
- トランザクションレンディング
- 不動産担保ローン
- ファクタリング
詳しくは下記記事をどうぞ。
必要最低限の資料を準備する
銀行にリスケジュールを依頼する前に、下記3つの資料を準備しましょう。
- 資金繰り表
- 直近の試算表
- 借入金一覧表
理想は、上記書類にプラスして、「経営改善計画書」があると良いのですが、スグに作成するのは恐らく難しいという思いますので、まずは3つの書類を準備しましょう。
リスケの依頼はメインバンクからはじめる
3つの資料を準備したら、メインバンクからリスケジュールの依頼をしていきましょう。
メインバンクは基本的に融資残高で決まりますので、融資残高が多い順にリスケジュールの依頼をしていけば大きな間違いはないです。
融資残高が同じぐらいの銀行には注意が必要
下記のようにメインバンクと準メイン(サブバンク)の融資残高がほとんど同じような場合。
- A銀行 → 5,120万円
- B銀行 → 5,067万円
一見するとA銀行の融資残高が多いので「メイバンクはA銀行」と判断しがちですが、実はB銀行がメインバンクだったということがあるので、ご注意ください。
融資残高がほとんど同じ場合のメインバンクの決め方
融資残高がほとんど同じ場合のメインバンクの決め方は下記2つあります。
- 毎月の返済額で決める方法
- 借入の保全状況で決める方法
詳しくは別記事の「リスケ依頼時のメインバンクの判断方法」をどうぞ。
リスケジュールは他行一律同条件が基本
リスケジュールは他行一律同条件が基本です。
複数の銀行や公的機関から融資を受けていれば、全ての銀行で同じ条件でリスケジュールすることになります。
A銀行はリスケジュールするけど、B銀行は返済を続ける。といったことはできません。
全ての銀行に同じ条件でリスケジュールを依頼するようにしましょう。
嘘はつかない
リスケジュールを依頼する時に嘘をつかないようにしましょう。
例えば、銀行に対して正直に言いにくい情報があるような場合。
- 他行がリスケジュールに難色を示している
- 大口の取引を打ち切られた(売上減のマイナス要因が出てきた)
など、極力、銀行に知られたくないと思うかもしれませんが、嘘をついて報告したところで遅かれ早かれ嘘はバレます。
嘘がバレれば後々の銀行付き合いに悪影響しかありませんので、言いにくいマイナス情報でも正直に伝えるようにしましょう。
返済額は限りなく低く依頼する
リスケジュールを依頼する時、元本返済額は限りなく低い金額で依頼しましょう。
- 金利のみ(元本0円)
- 元本1万円+金利
- 数万円+金利
などのように、限りなく低い金額で交渉するといいですよ。
中途半端に元本を返済すると後々資金繰りが苦しくなります。
ちなみに、中途半端に元本を返済してしまったとしても、再度リスケジュールを依頼すれば返済額を減らしてもらえますが、手続きに時間がかかりますし、その間に現金は減りますので、最初から元本ゼロや数万円で依頼して、資金繰りが好転してきたら徐々に返済額を増やせば問題ないです。
前向きなリスケジュールであることをアピールする
リスケジュールは元本返済を猶予してもらう交渉なので、後ろ向きな話になりがちです。
しかし、「リスケジュールでこれ以上の資金流出を食い止め、その間に経営改善を行い、最終的には約定返済に戻す」というように、リスケジュールすることでお互いにとってプラスになることをアピールすることで、こちらの要望を聞き入れてもらいやすくなります。
できない、したくない約束はしない
リスケジュールを依頼すると、不利な条件を提示されることがあります。
具体的には次のとおりです。
- 金利引き上げ要求
- 追加担保の要求
- 追加連帯保証人の要求
基本的に断っても問題無いのですが、銀行から「リスケジュールの条件」などと言われると、「条件を断ってリスケジュールして貰えなければ困る」と思い込み、応諾してしまう方がいます。
後々必ず後悔しますので、不利な条件を提示されても安易に応諾せず、断るようにしましょう。
経営改善計画書を作成する
リスケジュールを依頼したら、実現可能性の高い経営改善計画書を作成しましょう。
ちなみに、銀行に経営改善計画書を提出すると、リスケジュール期間中はもちろん、リスケジュール後に計画の進捗状況を報告することになります。
進捗状況が悪いと不良債権に分類される可能性があるので、実現可能性が低いことは書かないようにしましょう。
粘り強く交渉する
数年前と比較すると現在はリスケジュールしやすい環境にありますが、断られることもあります。
よくある断り文句は下記のとおりです。
- 前回融資して間もないからリスケジュールできない
- 長期はリスケジュールしても良いけど、短期は書き換えできないから短期だけ返済して欲しい
- 元本ゼロは応じられないので、約定の3分の1は返済して欲しい。
銀行にこのように言われてすぐに諦めてしまう方が一定数いますが、一度断られたからと言って、惰性で返済を続けていると近い将来資金ショートを起こします。
断られたり、不利な条件を突きつけられても諦めず、粘り強く交渉しましょう。
まとめ
以上、リスケジュール交渉を成功させるコツ14選でした。
おわり。