第二会社を設立して事業を移す際、気を付けなければならない3つのポイント

先日書いた記事で、年々ご相談内容は変わりつつあるという内容の記事を書かせて頂きましたが、今月もやはり「既存会社の負債の処理と親族へ負債を継がせずに優良部門だけ継がせたい」というご相談ばかりでした。

恐らく、来年以降もこの手の相談ばかりになりそうな予感がしています。

年々変わりつつあるご相談内容。年を追うごとにご相談内容は複雑化している。

2017.12.12

親族へ事業譲渡したいというご相談を受けていると、「実は、身内を代表者にした法人だけはすでに作ってあるんですよ。」等と言われる事が少なくありません。予め準備をしておくという点においては、非常に素晴らしい取り組みだと思うのですが(後手後手に回るよりは良いと思います)、

新会社の代表者、株主、社名、本店所在地等の状況を伺うと、「後々のために、とりあえず新会社だけは作っておこう」といったような感じで、安易に設立したようなケースが散見されます。

これが例えば、「親族の方が独立起業する」という事であれば、大きな問題にはなりませんが、過大な負債を抱えた既存会社の事業を新会社に譲渡させる。という事になると話は変わってきます。

極力、債権者の攻撃の対象とならないよう、ポイントを押さえた上で新会社を設立しなければなりません。

最低限、基本的なポイントは押さえておくべき

債権者に狙われないよう、第二会社を使って親族に事業を譲渡させたいと考えるのであれば、譲渡後に極力トラブルが起こらないよう配慮しなければなりません。特に、サービサーへ債権譲渡されているような場合、詐害行為で訴えてくる可能性もありますので、楽観視しない方が良いです。

そこで、第二会社を設立する時の最低限のポイントをお伝えしておきたいと思います。

 

債権者に訴えられないための第二会社設立における3つのポイント

念のためお伝えしておきますが、この3つを守っておけば、詐害行為で訴えられる可能性が低くなるというもので、絶対的に大丈夫というものではありません。とはいえ、訴えられる可能性が低くなりますから、3つのポイントを踏まえた上で設立した方が良いです。

  1. 新会社の社名は既存会社と異なる社名にする
  2. 新会社の代表者は、既存会社の社長、連帯保証人以外の人物
  3. 本店所在地は既存会社と別の住所にする

1. 社名は既存会社と異なる社名にする

会社分割や事業譲渡で事業を譲渡する際、特に身内に譲渡させたいような場合は同じ商号を使い続けたいという方が非常に多いですが、これは、商号続用とみなされる危険性が非常に高いのでやめた方が良いです。商号続用とみなされると、旧会社と同一とみなされてしまい、債権の支払い義務が発生するため、違う社名にした方が良いです。

「どうしても既存会社と同じ社名にしたい!」という事であれば、

  1. 新会社設立の前に既存会社の社名を変更するか、
  2. 新会社で免責登記をする。

など、いずれかの方法を検討する必要があります。

2. 新会社の代表者は既存会社の取締役・連帯保証人以外の人物

既存会社の取締役になっている方が新会社の代表者にさせるのは避けた方が良いです。連帯保証人も同様で、止めた方が良いです。既存会社の取締役になったことが無く、連帯保証人でもない人物を新会社の代表者にした方が良いです。

3. 本店所在地も既存会社と別の住所にする。

これも本当によくあるケースなのですが、新会社の本店所在地は既存会社の本店所在地と同一にしない方が良いです。別の住所で登記される事をお勧めします。

どうしても同じ場所で活動したいという事であれば、登記上の住所だけは既存会社と異なり、実際の営業活動は既存会社と同じ。という事であれば大きな問題になる事は無いと言えます。

 

負の遺産を引き継がせたくなければ押さえるところは押さえる

「親族に負の遺産を引き継がせたくない」、「わが子には過大な負債を継がせる事なく収益部門だけを継がせてあげたい」という親心は痛い程理解できます。私も子を持つ親ですから、逆の立場であれば全く同じことを考えると思います。

しかし、押さえておくべきところを押さえず、また、会社設立に必要な費用をケチってしまったために、債権者に詐害行為取消権を行使されてしまったら、元も子もありません。

債権者は債務者が思っている以上に債務者の動向を探り、監視していますので、あまり楽観視し過ぎていると突然、預金口座や売掛金を仮差押えしてきたりします。なので、手抜かりなく物事を進めた方が良いです。

 

まとめ

もし、ご自身で第二会社で親族に事業を譲渡されるのであれば、最低限、第二会社設立の3つのポイントは守っていただき、そのうえで、下記手順で第二会社を設立された方が良いです。

  1. 第2会社設立
  2. 既存会社から新設会社への事業譲渡
  3. 事業譲渡手続き終了後、銀行への返済をストップする

ちなみに上記手順は「あくまで理想の手順」というだけの事ですので、銀行への返済を先にストップしてしまったからといって、大きな間違いは起こりません。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年神奈川県生まれ。コンサルティング会社勤務を経て独立。店舗ビジネスに特化したコンサルティング業務を展開していたが、身近な人の倒産を目の当たりにした事をきっかけに事業再生に目覚め、平成21年5月より、事業再生に参入。全国各地の中小企業の再生業務に関与し、中小企業の事業再生のサポートを行っている。 平成23年8月、M&Aに特化した株式会社クレアークを設立、代表取締役に就任。現在に至る。業務の幅を広げる事により、サポートの幅を広げている