銀行融資の指標「債務償還年数」を分かりやすく解説【基礎知識】

資金調達
  • 債務償還年数ってよく聞くけど、言葉の意味や計算方法、この数字を銀行がどう判断するのか、目安などを分かりやすく教えて欲しいよ。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

債務償還年数とは

債務償還年数とは、銀行が融資先企業の有利子負債の返済可能な年数を計る指標です。

つまり、「融資したお金を全額返済してもらえるのに何年かかるのか?」ということを図るための指標となります。

債務償還年数の意味

債務償還年数が長くなればなるほど、銀行の立場からすると新規融資を出しにくい・出したくないとなりますが、短ければ短い程、新規融資を出しやすくなります。

  • 債務償還年数20年 → 貸し過ぎ
  • 債務償還年数 3年 → もっと貸しても大丈夫

例えば、銀行が企業に1,000万円融資していて、全額返済するのに20年かかるような場合、銀行は「貸し過ぎ」と判断することができます。

逆に、1,000万円全額返済するのに、3年で返済できる場合、「この企業ならもっと貸しても大丈夫」と判断することができます。

債務償還年数の計算式

債務償還年数の計算式は次のとおりです。

  • 債務償還年数 = 有利子負債 ÷(税引後利益+減価償却費)
有利子負債には短期借入金、長期借入金、社債が含まれます。

税引き後利益に減価償却をプラスする理由

減価償却費は損益計算上、「販管費及び一般管理費」の中に含まれる経費ではありますが、実際にお金が出ていく訳ではなく、手元に残っていると考えられているお金です。

減価償却費の分、税引後利益は減少しますが、実際の手元資金は減少しないので、足し戻して計算することになります。

 

債務償還年数を銀行が判断する基準

債務償還年数は「全額返済するまでに何年かかるか?」をという事を計る指標ですが、実際、どれぐらいの年数があると「借り過ぎ」と判断されてしまうのでしょうか。

債務償還年数の目安は10年

業種にもよりますが、概ね「10年」を目途として考えています。

  • 10年以内 → 正常先
    • 優良 → 3年以内
    • 良好 → 5年以内
    • 普通 → 10年以内
  • 10年~15年 → 要注意先
  • 20年~30年 → 要管理先
  • 30年超 → 破綻懸念先

金融庁の方針として、15年以内と判断するよう、目線を定められてはいますが、実務上、分岐点となるのは10年です。

債務償還年数が10年未満であれば銀行は融資先企業を「安全」と判断しますが、10年を越えると「借り過ぎ」と判断します。

この「10年」という数字は全ての銀行に共通していますので、今後も銀行融資を受けるのであれば、債務償還年数が長くなってしまうと、融資に消極的になるということを覚えておきましょう。

 

債務償還年数の改善方法2つ

債務償還年数を改善する方法は2つあります。

  • 借入金残高を減らす
  • 償却前営業利益を増やす

上記のとおりです。

借入金残高を減らす

1つ目の方法は、借入金の残高を減らす方法です。

借入金の残高を減らすには、基本的に利益で返済していくことが前提ではありますが、資産を売却して現金化し、返済に充当するという方法もあります。

営業で使用していない遊休資産を売却し、売却資金を借入金の返済に充当するという方法です。

借入が減りますので、債務償還年数は改善します。

特に、含み損があるような遊休資産であれば、売却損の計上で節税効果も期待できますので、売却損の分、キャッシュを確保する事ができます。

営業利益を増やす

2つ目の方法は営業利益を上げるということです。

債務償還年数の計算式を見れば分かるとおり、「税引後利益」が増えれば、債務償還年数は短くなります。

ですから、債務償還年数を良くするには「利益」を増やす他ありません。

 

債務償還年数を改善する時のよくある疑問

最後に、債務償還年数を改善することを考えた際のよくある疑問をご紹介します。

  • 減価償却を増やせば債務償還年数は改善する?
  • 節税しながら債務償還年数を改善することはできる?

上記のとおりです。

減価償却を増やせば債務償還年数は改善する?

減価償却を増やせば債務償還年数が改善できるのでは?と思われるかもしれませんが、減価償却が発生するケースを思い出してみて下さい。

減価償却が発生する時というのは、金額の高い電化製品・機械設備・内装設備等を購入した時に発生しますよね。

つまり、設備投資を行った事によって減価償却が発生する訳です。

設備投資を行わなければ減価償却は発生しませんから、意図的に増やす事はできないのです。

節税しながら債務償還年数を改善することはできる?

節税しながら債務償還年数を改善することはできません。

利益を上げると当然、税金を納める必要が出てきますが、節税によって税引き後利益が減少してしまうと、債務償還年数が長くなってしまい、その結果、銀行融資を受けるのが難しくなってしまうというジレンマがあります。

銀行融資と節税は相反する関係にありますので、利益を減らしてしまえば銀行融資は難しくなってしまうのです。

銀行融資を受けるには、沢山利益を出して、沢山納税する事によって、受けやすくなるのです。

「税金はなるべくなら納めたくないけど、銀行融資は受けたい」とお考えの経営者は少なくないと思いますが、この考え方が矛盾しているという事を覚えておきましょう。

 

まとめ

以上、銀行が融資を検討する際に重要視している指標、「債務償還年数」の計算方法や考え方について解説しました。

債務償還年数は業種によって見方が変わりますので、10年以上だから融資不可能とは一概には言えません。

しかし、10年を超えると基本的に難しくなるのは間違いありません。

銀行と長期的に付き合っていくのであれば、「債務償還年数」は借り手である企業も常に意識する必要があります。

 

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