ビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法を3つ紹介
いくつかのビジネスローンに申し込んだけど、審査落ちしました。
このまま資金調達できないと資金ショートするかもです。
ビジネスローンの他に資金調達する方法があれば知りたいです。
本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。
- ビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法3つ
- ビジネスローンの審査に落ちた時のよくある質問
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験をもとに、本記事では、ビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法をまとめました。
ビジネスローンにいくつか申し込んで全て審査落ちした場合、どこのビジネスローンに申し込んでも審査に通りません。
申込者情報は個人信用情報機関で共有されますので、信用情報を照会されれば他社で審査落ちした情報が判明するからです。
こうなるとビジネスローンでの資金調達は半年近く不可能なので、別の方法を検討する必要があります。
本記事では、実際に筆者がお客様から相談を受けた時にご提案しているビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法を紹介していきます。
ビジネスローンの審査に落ちてしまい、他の資金調達方法をお探しの方はぜひ参考にしてみてください。
ビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法3つ
ビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法は下記3つです。
- 不動産担保ローン
- ABL(流動資産担保融資)
- ファクタリング
上記のとおり。
不動産担保ローン
無担保、もしくは剰余のある不動産を所有していれば、不動産担保ローンで資金調達できる可能性があります。
調達可能な額は不動産の査定価格次第ではありますが、査定額が高ければある程度まとまった金額を調達できます。
調達可能な金額は担保評価の8掛けが目安
調達可能な金額は担保評価の8掛けが目安です。
筆者の仕事柄、不動産担保ローンを提供している事業者の方とお話しすることがありますが、だいたいどこの企業も口を揃えたかのように「担保評価の8掛け」といいます。
例えば、不動産評価額が2,000万円であれば、8掛けの1,600万円を上限に融資が実行されるようなイメージです。
不動産担保ローンが利用できないケース3つ
不動産を所有していても、不動産担保ローンが利用できないケースが下記3つあります。
- ①担保価値が無い
- ②すでに抵当に入っていて剰余が無い物件
- ③流動性が低い
①担保価値が無い
担保提供する不動産に担保価値が無いと、不動産担保ローンは難しいです。
例えば、
- 僻地にあるような土地・建物
- 築20年以上
などの物件は担保価値が無いので資金調達できません。
②すでに抵当に入っていて剰余が無い物件
すでに抵当に入っていて剰余が無い物件(無剰余)とは、下記のように不動産評価額より負債が多い物件です。
- 不動産評価額:2,000万円
- 第1順位抵当権者:2,200万円の残債務がある
担保価値がないので資金調達できません。
一方で、下記のように不動産評価額よりも負債が少なく、剰余がある場合、
- 不動産評価額:2,000万円
- 第1順位抵当権者:500万円
物件の流動性にもよりますが、不動産担保ローンで資金調達できる可能性はあります。
③流動性が低い
不動産の流動性が低い場合、つまり物件の換金性が低い場合は、ローン事業者からすると回収不能リスクが高いため、利用できない場合が多いです。
ABL(流動資産担保融資)
ABL(流動資産担保融資)は売掛金や商品在庫・機械設備など担保に融資を受ける方法です。
ABLは銀行/公的機関の融資と比べて金利は高めですが(年利7~15%程度)、ノンバンクビジネスローンと比べれば上限金利は低いです。
ビジネスローンの審査に落ちても、ABLであれば資金調達できる可能性があります。
ABLの種類
ABLは下記2種類あります。
実務上、動産担保融資はほとんど使われていないため、実際に利用するとなると売掛金担保融資になります。
ABLは取引先が少ないと難しい
ABLを提供している事業者の多くは取引先の分散度を重視して売掛金を評価するため、取引先数が少ないと難しくなります。
例えば、平均月商が1,000万円の場合、売掛金評価のイメージは下記のとおりとなります。
- 1,000万円 × 1社 ← 最も評価が低い(1社に依存しているため)
- 500万円 × 2社 ← 分散度が低く、評価が低い
- 100万円 ×10社 ← 分散度が高く、評価が高い
取引先が特定の企業に依存していると未回収リスクが高いので、取引先が少ないと売掛を評価してもらえません(取引先が大手企業でも評価対象にならない)。
一方で、取引先数は多いけど1件1件の売上が少ない場合、未回収リスクが低いため、売掛の評価は高くなります(取引先数が多ければ多いほど担保評価が上がります)。
ファクタリング
ファクタリングは融資ではなく、商取引で発生した売掛債権を売買して資金調達する方法です。
詳しくは別記事の「ファクタリングとは?仕組みや特徴、注意点を徹底解説」をどうぞ。
売掛債権が存在していることが前提となりますが、ファクタリングを利用することで売掛金の入金日を待たずに前倒しで現金を受け取れます。
例えば、翌月入金予定の500万円の売掛金があれば、ファクタリング会社に売掛債権を売却することで、最短即日で手数料を引いた額をファクタリング会社から受け取ることができます。
ファクタリングの取引形態2つ
ファクタリングの取引形態は下記2つあります。
- 2社間ファクタリング
- 3社間ファクタリング
2社間ファクタリングは利用者(売掛債権を持っている企業)とファクタリング会社間で売買契約を締結するため、手数料は高くつきますが、取引先に知られることなく最短即日で売掛金を現金化できます。
一方の3社間ファクタリングは、利用者と取引先とファクタリング会社の3社間で契約するため、手数料は低いものの、契約に時間がかかり、取引先に売掛債権を売却することが知られます。
どちらも一長一短がありますが、取引先に知られたくない方や、お急ぎの方は2社間ファクタリングを利用するケースが多いです。
ファクタリングを利用する時の注意点2つ
ファクタリングを利用する時の注意点は下記2つあります。
- 資金調達コストが高い
- 売掛金がないと資金調達できない
上記のとおり。
資金調達コストが高い
ファクタリングは売買の都度、買取手数料が発生するため、融資と比べて資金調達コストが高いです。
ちなみに、ファクタリングの手数料相場は下記のとおりです。
- 2社間ファクタリング → 6%~18%
- 3社間ファクタリング → 2%~9%
例えば、500万円の売掛金を手数料10%でファクタリング会社に買い取ってもらう場合、手残りは450万円になります。
毎月利用すると、毎回10%の買取手数料が発生するので利益率は悪化します(継続利用すると、手数料は下がるケースが多いです)。
売掛金がないと資金調達できない
ファクタリングは売掛債権を売却して資金調達する方法なので、売掛金がないと資金調達できません。
以上がビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法です。続いて、ビジネスローンの審査に落ちた時のよくある質問とその答えを紹介していきます。
ビジネスローンの審査に落ちた時のよくある質問
ビジネスローンの審査に落ちた時のよくある質問とその答えは下記のとおりです。
- 駅前で見かけるビジネスローン会社なら審査に通りますか?
- 何件か審査落ちしましたが、次はいつ頃申し込めますか?
- 3つ以外に資金調達方法はありますか?
- このままだと取引先へ支払いできません、どうすればいいですか?
上記のとおり。
駅前で見かけるビジネスローン会社なら審査に通りますか?
基本的には難しいです。まともな金融業者は信用情報をチェックしますから、信用情報を照会されれば審査落ちの事実が発覚します。
他社で審査落ちしているということは、金融業者からしたらリスクの高い顧客ですので、非常に難しいです。
何件か審査落ちしましたが、次はいつ頃申し込めますか?
いくつかのビジネスローンに申し込んで、全て審査落ちした場合。
基本的には半年以上経たないと、また審査に落ちる可能性が高いです。
ビジネスローンの申し込み情報(代表者の個人情報、ローン商品、申し込み日時)は個人信用情報機関に6か月登録されます。
したがって、最低でも6か月はビジネスローンの申し込みは止めた方がいいです。
3つ以外に資金調達方法はありますか?
筆者は2009年から様々な経営者の方から資金調達に関するご相談を受けてきましたが、基本的に、下記3つ以外に資金調達の方法はありません。
他にあるとするなら、下記2つぐらいです。
- 社債発行(少人数私募債) → 縁故者(親族、知人、取引先など)から資金調達する方法
- 第三者割当増資 → 縁故者や投資家、ファンドなどに株式を発行して資金調達する方法
ただし、どちらも現実的ではありませんので、やはり3つしかないと言わざるを得ません。
このままだと取引先へ支払いできません、どうすればいいですか?
ビジネスローンの審査に落ちて取引先への支払いが難しい場合、対処法が2つあります。
- 支払いを延期してもらう
- 請求書カード払いを利用する
上記の順に解説します。
支払いを延期してもらう
ビジネスローンで資金調達できず、取引先への支払いが難しい場合、取引と交渉して支払いを延期してもらうことで資金繰りを確保します。
取引先とのこれまでの付き合いや、手元資金がどれぐらいあるかにもよりますが、
- 支払いジャンプ(全額ジャンプ)
- 払えるだけ払い、残りはジャンプ(半分払い、残りはジャンプなど)
- 延べ払い(分割払い)
などの方法で支払いを延期してもらい、資金繰りを確保します。
支払いを延期しもらうことができれば、資金調達できなくてもひとまず資金繰りを確保できますが、取引条件の悪化(最悪、取引停止)を招くので取引先の見極めが必要です。
請求書カード払いを利用する
請求書カード払いとは、取引先からの請求書をお持ちのクレジットカードで支払えるサービスです。
請求書カード払いを利用すると、最大60日ほど支払いを先延ばしできるので、資金調達と同じような効果を期待できます。
利用者は取引先からの請求書を「請求書カード払い会社」に立て替え払いを依頼して、クレジットカードで決済します。
決済が完了するとカード払い会社は利用者名義で取引先へ請求金額を振り込んでくれます。
利用にあたり3~4%の手数料がかかりますが、利用額に応じてクレジットカードのポイントが付くので実質的に2~3%ぐらいで利用できます。
支払い.com:手数料4.0%、支払延長期間60日(クレジットカード老舗のクレディセゾンと共同運営) - labol(ラボル) カード払い:手数料3.0%~3.5%、支払延長期間60日(カード会社大手オリエントコーポレーションと共同運営)
- INVOYカード払い
:手数料3%、支払延長期間60日
クレジットカードをお持ちであれば、請求書カード払いの利用を検討してみてください。
まとめ
以上、ビジネスローンの審査に落ちた時の資金調達方法を3つ紹介しました。
おわり。