【銀行融資】借入が増えると銀行からの評価は下がる?【下がらないケースあり】

前期決算と比較すると借入が増加しているけど、銀行から「負債過多」と見られて評価が下がったりしないかな?

銀行から決算書を提出するよう言われたけど、借入が増加しているから提出したくないよ…。でも、提出しないと今後の融資が絶望的になるよ…。

借入が増えると銀行からの評価が下がらないかどうか知りたい。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

目次

借入が増えても銀行からの評価が下がらないケースがある

前期決算と比較して借入が増加している場合、「借入増加が原因で銀行からの評価が下がるのではないか?」と心配される方が少なく無いですが、

結論から言うと、借入が増えたからといって、必ずしも銀行からの評価が下がるということはありません。

なぜなら、借入が増えても銀行からの評価が下がらないケースがあるからです。

借入が増えても銀行からの評価が下がらないケース4つ

前期決算と比較して借入が増えていても、銀行からの評価が下がらないケースは下記4つあります。

  • 他行からの借入が増加している
  • 現預金が増加している
  • 売掛金や在庫が増加している
  • 役員借入金が増加している

上記のとおりです。

他行からの借入が増加している

前期と比較して他行からの借入が増加している場合、銀行からの評価は下がりません。

例えば、3つの銀行と取引していて、そのうちの一行が融資シェアを伸ばしているようなケース。

  • メインバンク → 前期と比較して借入増加なし
  • サブバンクA → 前期と比較して借入増加あり
  • サブバンクB → 前期と比較して借入増加なし

前期と比較してメインバンクとサブバンクBは借入が増加していないものの、サブバンクAのシェアが増加して借入が増えた場合、メインバンクとサブバンクBからの評価は上がります。

理由は、そもそも論として、銀行は返済できそうもない企業に対して融資を実行することはないからです。

借入が増加しているということは、メインバンクとサブバンクBからすると、「サブバンクAは返済できるチカラがあると判断したからこそ融資を実行した」という見方をしますので、借入が増えても評価は下がらないのです。

現預金が増加している

借入の増加と同時に、現預金も増加している場合、銀行からの評価は下がりません。

例えば、貸借対照表が下記のような状況だった場合。

  • 現預金 → 3,000万円
  • 借入金 → 5,000万円

銀行からすると、「3,000万円の現預金があるから、借入と相殺可能」といった見方をします。

  • 5,000万円(借入金)− 3,000万円(現預金)= 実質的な借入2,000万円

つまり、決算書上は借入が増えているものの、実態としては借入と相殺可能な現預金を保有しているため、実質的な借入は2,000万円という見方をしますので、銀行からの評価は下がらないのです。

売掛金や在庫が増加している

借入の増加と同様、売掛金や在庫が増加している場合、銀行からの評価は下がりません。

これについては、前述の「現預金が増加している」と同じ理屈で、相殺可能な資産があるから実質的な借入が増加した訳では無いという見方をするからです。

売掛金や在庫は将来的に現金化される資産ですので、現金化すれば借入を減らす事ができます。そのため、銀行からの評価は下がらないのです。

不良在庫を抱えていると評価は下がります

不良在庫は換金可能性が低いため、帳簿上、商品在庫を計上していても「実態は不良在庫なので換金可能性はゼロ」という見方をしますので、銀行からの評価は下がります。

例えば、決算書に1億円の商品在庫が計上されているものの、実際に動いている在庫は4,000万円分しかない場合、銀行は実際に動いている在庫の4,000万円にしか評価しません。

  • 決算書上の在庫:10,000万円
    • 実際に動いている在庫:4,000万円
    • 動きの無い不良在庫:6,000万円
  • 実質的な在庫は4,000万円

そのため、借入が増えているのに、実際に動いている在庫が増加していないと、マイナス評価となります。

ちなみに、銀行が動きの無い在庫を調べる方法は、下記3つの方法で総合的に判断します。

  • 経営者からのヒアリング
  • 過去の決算書の情報
  • 目視による確認(現場に来ます)

役員借入金が増加している

借入が増加していて、役員借入金(代表者が会社に貸しているお金)も増えている場合、銀行からの評価は下がりません。

銀行は役員借入金を実質的に資本金が増加したという見方をします。

「実質自己資本」と呼ばれてます。

そのため、借入の増加とともに役員借入金が増加した場合、評価は下がらないのです。

詳しくは「実質自己資本とは?求め方や自己資本との違いを解説」をどうぞ。

役員貸付金が発生・増加すると致命的

借入の増加と同時に、役員貸付金が貸付金が発生したり、増加している場合、評価減というような生やさしい話では済まなくなります。

役員貸付金が発生・増加しているというのは、銀行の立場からすると、会社に融資したのに経営者の懐に金が流れているという見方をするからです。

資金使途違反はもちろん、経営者個人に対する迂回融資をされたと判断しますので、評価が下がるどころか、今後の銀行融資は絶望的となりますのでご注意ください。

詳しくは「【銀行融資】役員貸付金が原因で融資を断られた!発生原因や解消方法を解説」をどうぞ。

借入が増えて銀行からの評価が下がるケース3つ

最後に、借入が増えて銀行からの評価が下がるケースを紹介します。下記3つです。

  • 流動資産が増加していない
  • 赤字決算
  • 債務超過

上記のとおりです。

流動資産が増加していない

前期決算と比較して借入が増えているにもかかわらず、流動資産が増加したいなければ銀行からの評価は下がります。

  • 流動資産
    • 現預金
    • 売掛金・在庫

借入が増加していないのに流動資産が増加してないということは、借入と相殺可能な流動資産が増えていないのに、純粋に借入(負債)だけが増えた状態となりますので、当然、評価は下がります。

赤字決算

前期決算で借入が増加し、なおかつ赤字決算の場合、銀行からの評価は当然下がります。

ただ、以下の記事でも解説しているとおり、赤字決算だからといって、融資が絶望的になるわけではありません。

赤字決算でも融資を受けることができるケースはあります。詳しくは下記記事をどうぞ。

債務超過

前期決算で借入が増加しており、しかも債務超過になると、銀行からの評価減は避けられません。

しかし、「【銀行融資】債務超過でも新規融資を受けることはできる?【状況次第】」でも解説しているとおり、債務超過だからといって、必ずしも融資を受けられなくなる訳ではありません。

債務超過でも状況次第では、融資を受けることは可能です。

まとめ

以上、借入が増えると銀行からの評価が下がらないか?について解説しました。

おわり。

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