【銀行融資】手形割引(商業手形割引)とは?特徴や注意点を解説

【銀行融資】手形割引(商業手形割引)とは?特徴や注意点を解説

手形割引について詳しく知りたいです。

本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。

本記事の内容
  • 手形割引(商業手形割引)とは
  • 手形割引の特徴3つ
  • 手形割引を利用する時の注意点1つ

なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。

こういった経験をもとに、本記事では、手形割引(商業手形割引)の情報をまとめました。

目次

手形割引(商業手形割引)とは

手形割引とは、受取手形を金融機関(銀行・ノンバンク)に持ち込み、手形の額面金額から決済期日までの期間、手形を現金化する融資方法です。

商取引で商品やサービスを提供した後に請求書を提出すると、取引先によっては約束手形を渡されます。手形の入金日は締め日から30日~60日後にならないと、現金が入金されません。

締め日から決済期日まで現金化できないのは厳しいものですが、手形割引を利用すると、割引料を負担するだけで期日を待たなくても現金化できます。

手形割引の割引料とは

手形割引の割引料とは、手形を割引く際に手形の額面金額から差し引かれる手数料の費用勘定ことをいいます。

手形割引の割引料の求め方

手形割引の割引料の求め方は下記のとおりです。

手形割引料の求め方
  • 割引料 = 手形額面 × 年利率(割引日数 ÷ 365日)

手形割引の割引料の計算例

例えば、額面100万円で決済期日が90日後の手形を、3%の割引料を負担して割引いて貰った場合、割引料は下記のとおりです。

手形割引の割引料の計算例
  • 100万円 × 3%(90日 ÷ 365日)= 7,397円

上記に別途、手形取立手数料がかかります。

手形取立手数料は取立の方法(同一手形交換所、他行取立など)によってまちまちですが、概ね700円~1,000円ぐらいです。

手形割引の特徴3つ

手形割引(商業手形割引)の特徴は下記3つです。

  • 手形割引は手形の売買ではなく融資
  • 振出人の信用力が高ければ資金調達しやすい
  • 手形の割引率は金融機関ごとに異なる

上記のとおり。

手形割引は手形の売買ではなく融資

手形割引は手続き上売買に近いものがあり、法的性質上も「売買」として扱われていますので、手形を金融機関に売却したらそれで終わりと思われがちです。

しかし、実際の手続きは銀行取引約定書を交わして、「手形を担保に融資」を行っていますので、基本的には融資という扱いになります。

貸金業法第2条にも、手形割引は貸し付けにあたると明記されています。

(定義)
第二条 この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

出典:貸金業法第二条 | e-Gov法令検索

振出人の信用力が高ければ資金調達しやすい

手形割引は基本的に手形振出人の信用力を重要視していますので、一般的な銀行融資と比較すると資金調達しやすいです。

ただし、振出人の信用力を重視しているとはいえ、振出人が不渡りを起こすと、割引を行った金融機関は割引依頼人に対して買戻し請求をしなければならないため、割引を依頼された金融機関は割引依頼人の財務内容や資産状況、租税公課の滞納の有無などをチェックします。

審査の結果、「万が一、振出人が不渡りを起こしても、手形を買い戻してもらえる可能性が高い」と判断されれば審査は通りますし、「買い戻す力はない」と判断されれば割引は断られてしまいます。

手形割引は割引枠を設定することが多い

手形割引の審査は、割引を依頼する度に行われるのが基本です。

しかし、定期的に手形割引を利用する企業に対しては、割引枠(限度額・極度額)を設定し、割引枠の範囲内であればいつでも割引できるようにするケースが多いです。

手形の割引率は金融機関ごとに異なる

手形の割引率は金融機関によって異なりますが、割引料の一般的な相場は次のとおりです。

  • 銀行
    • 都市銀行 → 1.5~3.0%
    • 地方銀行 → 2.0~3.5%
    • 信用金庫 → 2.5~4.5%
    • 信用組合 → 3.5~5.5%
  • ノンバンク → 3.0~18%

銀行で手形割引を利用する場合、銀行の規模で割引料は異なりますが、ノンバンクの場合、手形の銘柄(振出人企業)によって割引料が変わります。

例えば、以下は手形割引専業のノンバンク、東信商事の手数料体系ですが、手形の銘柄ごとに割引料が変動します。

  • 上場の有料企業手形 → 6.0%~
  • 上場企業及び連結会社等 → 8.0%~
  • 非上場の有料企業手形 → 10.0%~
  • その他 → 15.0%~

参考リンク 手形割引の割引料・手数料・計算シミュレーション|東信商事株式会社

銀行と違い、ノンバンクは振出人の信用力を重要視しているため、銘柄別に割引料が変動するのです。

手形割引を利用する時の注意点1つ

手形割引を利用する時の注意点は下記1つです。

  • 振出人が倒産すると手形の買戻し義務が発生する

上記のとおりです。

振出人が倒産すると買戻し義務が発生する

手形割引は手形を売買しているのではなく、手形を担保に融資を受けるという性質なので、手形振出人が当座預金不足をおこしたり、倒産するなどして手形が不渡りになると、割引依頼人(割引を利用した企業)は割引を行ってくれた金融機関に返済する義務を負います。

つまり、手形振出人が振り出した手形が不渡りとなると、額面全額返済する必要に迫られるので注意が必要です。

まとめ

以上、手形割引(商業手形割引)の特徴や注意点を解説しました。

おわり。

人気記事 【効率化】おすすめなクラウド会計ソフト3選【資金調達しやすい】

人気記事 法人口座開設におすすめなネット銀行4選【振込手数料が安く作りやすい】

面白かったらシェアをお願いします!
  • URLをコピーしました!
目次