信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?今後の流れと返済方法について解説

信用保証協会に代位弁済されるとどうなる?今後の流れと返済方法について解説 資金繰り
  • 信用保証協会の保証付き融資(マル保)が代位弁済されたら今後どうなるのかな?
  • 代位弁済の流れや代位弁済後はどうなるのか、今後、どれぐらい返済することになるのか具体的に知りたいよ。
  • 借入の際に担保に入れた不動産はどうなるのかな?代位弁済について詳しく教えて欲しいよ。

この記事では、こういった疑問にお答えします。

この記事を書いている筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰りや事業再生コンサルタントとして活動しています。

コンサルタントとして活動する中で、関係者から直接見聞きした情報やお客様からの情報提供を元にこの記事を書いていますので、記事の信頼性はある程度担保されていると思います。

それではさっそく本題にはいりましょう。

信用保証協会の保証付融資の「代位弁済」とは

「代位弁済」とは、信用保証協会の保証付き融資(マル保)を受けた事業者が、元利金ともに返済ができなくなった場合に、
主債務者であるあなたに代わって信用保証協会が金融機関に対し、借入金の返済を肩代わり返済する事を言います。

代位弁済の流れ

代位弁済の具体的な流れは以下のとおりです。

信用保証協会の保証付き融資が代位弁済する時の流れ

  1. 延滞:保証付き融資の元利金が90日以上延滞すると、期限の利益を喪失します。
  2. 督促:「期限の利益を喪失した」という内容の内容証明や督促状が届きます。
  3. 代位弁済の請求:銀行が信用保証協会に対して代位弁済の請求をします。
  4. 代位弁済:信用保証協会が債務者に代わって銀行に肩代わり弁済を行います。
  5. 請求【求償権の行使】:肩代わり弁済を行った事で求償権を得た信用保証協会は債務者に返済するよう請求してきます。
  6. 返済【求償債務の弁済】:以降は信用保証協会に対して返済する事になります。

100%保証の融資であれば全額、80%保証であれば、80%弁済されます。

代位弁済すると債権者が代わる

代位弁済の手続きが行われると債権者が銀行から保証協会へ変わりますので、銀行への返済義務は無くなります

普通保証で融資を受けていると保証割合は80%なので、残りの20%の部分については銀行が負担する事になっています。

そのため保証付融資の20%については返済義務が残ります。

保証付融資を受けている銀行口座はいったん凍結します

期限の利益を喪失した時点で、保証付融資を受けている銀行口座はいったん凍結(ロック)します。

ただし、代位弁済手続きが終われば凍結は解除されますので、その後は普通に入出金できるようになります。

詳しくは以下の記事をどうぞ。

信用保証協会に代位弁済されると銀行口座は凍結する?【するけど後で解除されます】
銀行からマル保(保証付)融資を受けているけど、借入金の返済ができず、信用保証協会に代位弁済された場合、銀行口座は凍結するの? 仮に、銀行口座が凍結した場合、口座はずっと凍結されたままになるの?それともいつかは解除されるの? 代...

代位弁済後は銀行ではなく信用保証協会へ返済する事になる

銀行への返済義務は無くなりますが、銀行に肩代わり弁済を実行した信用保証協会に求償債務を負う事になります。

そのため、代位弁済後は信用保証協会に対して求償債務を返済していく事になります。

代位弁済後は信用保証協会へ返済する流れ

以上が代位弁済の流れとなります。

代位弁済の件数

一般社団法人全国信用保証協会連合会のサイトで代位弁済の件数が公開されています。

データを見れば分かりますが、毎月、全国の事業者が何千件と代位弁済されています。

あなたの他にも多くの事業者が代位弁済しているという事実を把握しておきましょう。

【銀行融資】保証付融資の代位弁済件数の推移[平成23年4月~平成31年3月末]
一般社団法人全国信用保証協会連合会は、「信用保証実績の推移」を公表しており、以下のデータを確認する事ができます。 保証承諾:件数・金額 保証債務実績:件数・金額 代位弁済(元利合計):件数・金額 この記事では、...

代位弁済のメリット・デメリット

信用保証協会に代位弁済するメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
  • 毎月払っている借入金の金利を支払う必要が無くなる
  • 毎年発生する信用保証料を払う必要が無くなる
  • 保証付融資を受けている銀行口座が凍結(ロック)される
  • 銀行や政府系金融機関からの借入が絶望的になる
  • 個人信用情報機関への事故登録される
  • 遅延損害金が発生する
  • 不動産を担保に入れて融資を受けていれば換価処分される
  • 連帯保証人への督促

各項目の詳細については、以下の記事をどうぞ。

信用保証協会に代位弁済するメリットとデメリットを解説【基礎知識】
借入金の金利の支払い負担が毎月厳しいよ。これ以上の借入もできないから、いっそのこと支払いをストップして代位弁済する事を考えているよ。 代位弁済すると金利を支払う必要が無くなるという情報をよく見るけど、代位弁済するとどのような不都合...

 

信用保証協会の保証付融資の代位弁済後の流れ

代位弁済後の流れは以下のとおりです。

  1. 信用保証協会から求償債務を取得したという内容の通知が届く。
  2. 保証協会債権回収株式会社(以下、「保証協会サービサー」といいます)から「信用保証協会から債権回収の委託を受けたので、今後の返済について相談したい」という内容の書類が届く(電話連絡の場合もあります)。
  3. 今後の返済方法について保証協会サービサーと交渉する
  4. 合意した金額を毎月返済していく(払込票を受け取る)

以上が代位弁済後の大まかな流れとなります

保証協会債権回収株式会社(保証協会サービサー)とは

保証協会サービサーは、信用保証協会から債権回収の委託を受けている債権回収会社です。

今後の返済方法に関する相談は、保証協会サービサーとやり取りすることになります。

保証協会債権回収株式会社

基本的には一括弁済を求めてくる

保証協会サービサーから連絡があり、今後の支払い方法について交渉する事になります。

この前後で、信用保証協会から「求償権残高のお知らせ」という通知が届きますが、
記載されている元本や遅延損額金の数字を見て「毎月どれぐらい請求されるのかな…」と不安に感じると思いますが、大丈夫です。

不安に思う必要はありません。

信用保証協会サービサーから「求償権残高のお知らせ」が届きました
自宅の競売ですが、不動産鑑定士による物件調査が終わり、3点セット(物件明細書、現況調査報告書、評価書)ができ上がるまでただ待つだけとなりました。 その間に、信用保証協会サービサーから「求償権残高のお知らせ」が届いたので、ご紹介したいと思い...

そもそも、返済できなくなったからこそ期限の利益を喪失し、代位弁済になった訳です。

保証協会サービサーの担当者もその事は十分理解していますので、資金繰りが厳しいという状況を説明し、前向きに交渉しましょう。

払える範囲内で払えばOK

「求償権残高のお知らせ」に記載されている金額を見て、一括弁済という文言で気落ちする方がいますが、気にしないで下さい。

先程伝えた通り、返済ができないからこそ代位弁済となった訳ですから、この状況で一括返済などできるハズがありません。

担当者もその辺の事情を十分理解していますので、冷静に対処しましょう。

交渉のポイントは、できる限り低い金額を提示する

今後の返済の交渉ですが、「月にこれしか払えません」というような感じで、できる限り低い金額から交渉する事がポイントです。

 

資金繰りが厳しいからこそ代位弁済になった訳ですから、支払えるギリギリの金額を提示したら、今は良くても半年、1年後と徐々に苦しくなるのは明白です。

ここで無理して背伸びする必要はありませんので、負担にならない金額を提示して交渉しましょう。

代位弁済の事実は取引先に知られる?

代位弁済の事実が取引先に知られたら、取引停止になるのでは?と心配される方がいますが、代位弁済の事実が社外に漏れるような事はありません。

ただ、不動産を担保に入れて保証付き融資を受けているような場合、謄本を見られたらバレますのでご注意ください。

 

詳しくは以下の記事をどうぞ。

代位弁済したことが社外に知られる?【結論:不動産を担保に入れていなければバレない】
リスケジュールしているけど、このまま金利を払い続けるのもしんどいから、代位弁済に持ち込むか検討しているけど、取引先に知られたら困るよ...。 代位弁済したことが社外に知れ渡り、取引先からの与信が悪化したり、取引停止にでもなったら困...

【注意】譲渡と委託は別物

信用保証協会の債権回収の委託を受けた保証協会債権回収株式会社(保証協会サービサー)から通知が届くと、「債権譲渡された」と勘違いされる方が少なくありません。

しかし、保証協会サービサーはただの回収代行業者なので、債権が譲渡された訳ではありません。

 

譲渡と委託は全く別物です。

この点、注意しましょう。

 

保証付融資の代位弁済は返済減額のチャンス!

信用保証協会へ代位弁済されるという状況は、今後の銀行融資がほぼ絶望的になるので、一見すると大ピンチに思えるかもしれませんが、これはチャンスでもあります。

なぜなら、代位弁済になると今まで当たり前のように銀行に払っていた利息の支払い負担が無くなりますので、資金繰りが大幅に改善されるからです。

 

例えば、1億円を年利2.5%で融資を受けた場合、単純計算で年間250万円の金利支払いが発生します。

保証付き融資なので、金利にプラスして別途保証料も発生します。

しかし、代位弁済になると金利や保証料といった支払い負担が無くなるので、資金繰りは改善します。

実際のところ、毎月どれぐらい返済すればいいの?

代位弁済されたら、信用保証協会に毎月どれぐらい返済すればよいのか、気になるところだと思います。

具体的な月々の返済額は概ね以下の通りです。

  • 毎月1万円 ← 実務上、最も多い返済額
  • 毎月2万円~3万円 ← 「交渉が面倒・苦手だから」と、保証協会サービサー任せにしてしまうとよくある返済額
  • 毎月3千円~5千円 ← 高齢の経営者で事業自体に収益力が無く、役員報酬を受け取っておらず、年金で生活しているとよくある返済額

ちなみに、毎月の返済額は残債の多寡に関係なく設定されます。

毎月の返済額は負債の多寡と無関係

例えば、以下のようなケースがあるとします。

  • Aさん:1億円の求償債務
  • Bさん:500万円の求償債務

Aさんの方が負債総額は圧倒的に多いですが、だからといって、Aさんに対する督促の風当たりがBさんの20倍あるのかというと、そのような事は100%あり得ません。

AさんとBさんに対する対応や、毎月の返済額はほとんど同じです。

保証協会への返済は元本優先弁済

毎月の返済は元本に充当されます。

銀行の場合、金利が優先されますが、保証協会は元本優先弁済なので、返済していれば元本が減ります。

 

信用保証協会の保証付融資を受けた際に担保提供しているケース

保証付き融資を受けた際に、本社屋や工場などの土地・建物を担保提供している場合、代位弁済になると信用保証協会の審査部から以下のような連絡がきます。

「銀行から代位弁済請求があったので、担保物件を換価処分する事になります。
今現在、営業で土地・建物を使用しているのであれば、3カ月待ちますので、不動産の買受先を探して下さい。
3カ月経っても見つからなければ競売に掛けます。」

ファイナンス先や買受先を探す時間ぐらいは貰える

担保付きの保証付き融資が代位弁済になるとすぐに競売に掛けられると思っている方がいると思いますが、一応、買受先やファイナンス先を探す時間は貰えます。

2012年~2013年ぐらいの時期、あるいはそれ以前の時期であれば、以下の記事で解説しているような交渉が可能でしたが、ここ最近は担保処分ありきで話が進みます。

【競売回避】事業継続に必要な不動産の保全を図る方法を解説
不動産を担保に入れて借入を起こしたけど、このままだと返済が難しくなりそうだよ…。 返済が不可能になれば、債権者に競売を申し立てるてしまうのかな?事業に必要な不動産を競売にかけられたら事業継続ができなくなるよ…。 こんな状況でも...

ですので、このままだと代位弁済になりそうだと思ったら、事前に任意売却の準備を進める必要があります。

【競売回避】抵当に入っている不動産の保全を図る任意売却について解説【基礎知識】
融資を受ける際に不動産(事業所・工場等)を担保に融資を受けたけど、資金繰りが厳しくなってきたから今後の返済が難しくなりそうだよ。 返済ができなくなると競売にかけられると思うけど、競売になると事業を継続できなくなるから、競売は回避し...

 

信用保証協会と任意売却の交渉をする際、「都道府県別で対応が違うのではないか?」というご質問をよく頂きますが、基本的に全国一律同じです。

詳しくは以下の記事をどうぞ。

【任意売却】保証協会の代位弁済後、都道府県で回収方針が違ったりする?【どこも同じ】
信用保証協会は各都道府県に拠点があるけど、都道府県が異なれば回収方針が異なることとかあるのかな? 隣県にある取引先の社長から、「すごく親身に対応してくれた」って話を聞いたけど、自分の場合はどうなのかな?厳しいのかな、それとも多少は...

 

まとめ

以上、信用保証協会の保証付き融資の代位弁済の流れや、代位弁済後の支払方法、担保提供している物件の取り扱いについて解説しました。

代位弁済になると銀行融資はほぼ絶望的になるというデメリットがありますが、絶対に借りれなくなる訳ではありません。

以下の記事でも解説していますが、「求償権消滅保証」という救済措置があります。

求償権消滅保証とはどんな保証制度?代位弁済の求償権を借換える仕組みについて解説
代位弁済された事業者を救済する「求償権消滅保証」という保証制度があるみたいだけ、どんな制度なのかな? 再び銀行から融資を受ける事ができるようになるのかな? 制度の内容や、保証を受ける条件等を詳しく知りたいよ。 この記事で...

 

また、ノンバンクであれば代位弁済でも融資を受けることは可能ですので、「代位弁済になったら銀行融資ができなくなる」といって、無理して金利を払い続けるのであれば、金利の支払を止めて代位弁済に持ち込むという選択肢も考えられます。

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