ビジネスローンとは?特徴や種類、注意点を徹底解説
ビジネスローンについて詳しく知りたいです。
特徴や注意点などがあれば教えて欲しいです。
本記事では、こういった疑問・要望にお答えします。
- ビジネスローンとは事業資金専用のローン商品のこと
- ビジネスローンの特徴3つ
- ビジネスローンのメリット・デメリット
- ビジネスローンの注意点2つ
- ビジネスローンのよくある質問
なお、本記事の筆者は、2009年から現在まで中小企業の資金繰り改善コンサルタントとして活動しており、年商数百万の個人事業主から年商10億円以上の企業まで、幅広く対応してきました。
こういった経験をもとに、本記事では、ビジネスローンに関する情報をまとめました。
ビジネスローンに興味をお持ちの方や、特徴や注意点などを詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ビジネスローンとは事業者専用のローン商品のこと
ビジネスローンとは、事業資金専用のローン商品のことです。中小企業や個人事業主が利用できます。商品によっては「事業者ローン」とも呼ばれます。
- 開業資金
- 運転資金(つなぎ資金など)
- 設備投資
などの資金使途で利用できます。
銀行融資と比べて金利は高めですが、その分、審査条件は緩やかなので、銀行融資が難しい事業者でも利用しやすいです。
ビジネスローンの種類
ビジネスローンの種類は主に2つあります。
- 銀行ビジネスローン → 金利は低め(審査は厳しめ)
- ノンバンクビジネスローン → 金利は高め(審査は緩め)
銀行ビジネスローンは、銀行や信用金庫・信用組合がサービス提供しているものを指します。
ノンバンクビジネスローンは、信販会社・消費者金融・ビジネスローン専門会社がサービス提供しています。
ビジネスローンの契約形式
ビジネスローンの契約形式は下記2つあります。
- 証書型
- 極度額型
上記の順に解説します。
証書型
証書型は、契約時に融資金が一括で振り込まれ、その後、分割返済していく契約形式です。
返済期間中の追加融資は原則できません。
極度額型
極度額型は、カードローンのように利用限度額内で繰り返し使える契約形式です。
契約時には必要な金額を自由に引き出せるので、使い勝手が良いです。
ビジネスローンの審査基準
ビジネスローンの審査基準は下記2点を重点的にチェックされます。
- 事業状況
- 信用情報
上記の順に解説します。
事業状況
事業規模や事業歴、資産・負債の状況をチェックされます。
- 事業規模:売上、利益率、従業員数、今期の収益など
- 業歴:2年以上が望ましい(決算書不要で創業1年目から利用できるビジネスローンもあります)
- 資産・負債:特に現預金と負債(銀行や他社からの借入など)をチェックされます
また、ローン会社の中には事業計画書の提出を求めるところもあり、資金使途や今後の資金計画の妥当性など、企業の将来性をチェックされます。
信用情報
法人や代表者の信用情報をチェックされます。
- 銀行融資利用の有無(借入総額・返済条件、延滞の有無、事故情報の有無など)
- 租税公課の納付状況(滞納の有無など)
- 代表者の個人信用情報など
代表者の場合、個人信用情報に傷があれば審査は不利になります。
法人の場合、借入過多や延滞中、税金や社会保険料の未納・滞納があると、審査は不利になります。
以上がビジネスローンの概要となります。続いて、ビジネスローンの特徴を解説していきます。
ビジネスローンの特徴3つ
ビジネスローンの特徴は下記3つです。
- 資金使途の自由度が高い
- 総量規制の対象外
- 審査はスコアリングシステムなので早い
上記のとおり。
資金使途の自由度が高い
ビジネスローンは資金使途の自由度が高いです。
- 開業資金
- 運転資金(つなぎ資金)
- 仕入れ資金
- 設備投資
- 他の借入の返済資金
- 納税資金
- 新規事業のための資金
など、幅広いシーンで利用できます。
銀行融資は申し込み時に資金使途を細かく聞かれますが、ビジネスローンは細かく聞かれません。
総量規制の対象外
ビジネスローンは個人のカードローンとは異なるため、総量規制の対象外です。
総量規制とは
総量規制とは、過剰な貸付を防止する制度の事で、年収の3分の1を超える貸付は貸金業法で禁止されています。
総量規制が適用されるのは、貸金業者から個人が借入れを行う場合です。銀行からの借入れや法人名義での借入れは対象外です。
出典:貸金業法のキホン:金融庁
例えば、年収600万円の方が貸金業者から借入できる合計額は、最大で200万円までとなります。
審査はスコアリングシステムなので早い
ビジネスローンを扱っている金融機関の多くは、審査にスコアリングシステムを導入しているため、銀行のように人が審査するのではなく、システムで融資の可否を自動判別しています。
システムで融資の可否を自動判別するため、審査は早く、最短即日で資金調達することも可能です。
以上がビジネスローンの特徴です。続いて、ビジネスローンのメリット・デメリットを解説していきます。
ビジネスローンのメリット・デメリット
ビジネスローンのメリット・デメリットは下表のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
審査が早い 審査が通りやすい 担保・第三保証人不要 個人事業主でも総量規制の制限を受けない | 金利が高い 借入限度額が低い 今後の銀行/公的機関の融資に影響する やり方を間違えると資金調達できない |
デメリットの詳細は別記事の「ビジネスローンのデメリット4つ」をどうぞ。
ビジネスローンの注意点2つ
ビジネスローンの注意点は下記2つです。
- 銀行にビジネスローンの借入が発覚すると新規融資が難しくなる
- 金利が高いので長期間利用すると利払い負担が増える
上記のとおり。
銀行にビジネスローンの借入が発覚すると新規融資が難しくなる
銀行融資(政府系金融機関からの融資も含む)を受けている方は、ビジネスローンを利用していることがバレないよう、注意が必要です。
銀行はビジネスローンを利用している企業を「高金利の借入を起こさければならないほど資金繰りに困窮している」と判断するので、ビジネスローンの借入が発覚すると新規融資が難しくなります。
「元々、全ての取引行から融資を断られている」ということであれば、あまり関係ありませんが、そうでなければ利用していることがバレないよう、ご注意ください。
詳しくは別記事の「ノンバンクの借入があると銀行が融資しない理由と借入を見抜くポイントを解説」をどうぞ。
金利が高いので長期間利用すると利払い負担が増える
ビジネスローンは銀行融資と比べて高金利です。
- 銀行融資 → 1.5~3.0%
- ビジネスローン → 6.0~17.8%
ビジネスローンを利用すると利払い負担が増大し、経常収支が悪化します。
利用を検討する際は、今の収益で借入利息を払えるのかどうか、収支状況を確認したうえで利用を検討しましょう。
以上がビジネスローンを利用する時の注意点となります。続いて最後に、ビジネスローンのよくある質問をその回答を解説していきます。
ビジネスローンのよくある質問
最後に、ビジネスローンに関するよくある質問とその答えを紹介します。
- 創業間もないですが、利用できますか?
- 個人事業主でも利用できますか?
- ビジネスローンの審査は甘いですか?
- 赤字決算でも利用できますか?
- 債務超過でも利用できますか?
- 税金・社会保険料の滞納中でも利用できますか?
- リスケジュール中でも利用できますか?
- 個人信用情報がブラックでも利用できますか?
- 複数のビジネスローンに申し込めますか?
- ビジネスローンはリスクがありますか?
- ビジネスローンって怪しくないですか?
- ビジネスローンとファクタリングはどのような違いがありますか?
上記のとおり。
創業間もないですが、利用できますか?
ビジネスローンは創業間もない事業者に対する融資を対象外としている場合が多いです。
「審査はスコアリングシステムなので早い」という項目でも解説したとおり、ビジネスローンはスコアリングシステムによる審査を行っているため、審査を行う際に2期分の決算データを入力する必要があります。
創業間もない事業者は決算書が無いので、対象外となっているケースが多いです。
ただ、創業期の事業者でも利用できるビジネスローンはあります。下記ビジネスローンは創業期でも対応しています。
- 【GMOあおぞらネット銀行 あんしんワイド】
:創業期でも利用できる可能性あり - キャレント
:事業計画書や資金計画を提出することで、検討してもらえる
個人事業主でも利用できますか?
ビジネスローンは個人事業主でも利用できます。
ただし、個人事業主は原則、総量規制の対象となります。
一応、事業実績や事業計画などに基づいて借入総額の返済が合理的に見込まれるなど、返済能力があると認められる場合に限り、総量規制を超える借入が可能になります(総量規制の「例外貸付け」)。
総量規制を超える借入は可能だけど、実際は難しい
個人事業主は事業実績や事業計画を提出することで、総量規制を超える借入が可能とされていますが、実際は難しいです。
個人事業主は事業所得と個人の所得が同じなので、実態としては個人と大差ありません。
- 事業所得 = 個人の所得
総量規制の例外貸付けがあるとはいえ、実務上では総量規制と同程度の水準で審査が行われますので、今現在、カードローンやキャッシングを利用している方は審査に通らない可能性があるのでご注意ください。
詳しくは別記事の「個人事業主向けビジネスローン3選【審査のポイントや注意点を解説】」をどうぞ。
ビジネスローンの審査は甘いですか?
銀行融資と比べると審査条件は緩やかですが、審査はそこまで甘くはありません。財務内容が悪いと審査に通らないです。
ただ、一口にビジネスローンと言っても、ビジネスローンの種類によっては審査条件が緩やかだったり、審査条件が厳しめのものもあります。
詳しくは別記事の「ビジネスローンの審査は甘い?【審査に通りやすい金融機関あり】」をどうぞ。
赤字決算でも利用できますか?
赤字の内容にもよりますが、銀行や政府系金融機関と違い、赤字決算でもビジネスローンを利用できるケースはあります。
赤字が常態化していると難しいですが、赤字の原因が減価償却費や特別損失であれば、審査に通りやすいです。
詳しくは別記事の「赤字でも融資可能なビジネスローン」をどうぞ。
債務超過でも利用できますか?
基本的に債務超過だと審査に通るのは難しくなりますが、全く審査に通らないという訳ではありません。
債務超過でもビジネスローンの審査に通る可能性はあります。
詳しくは別記事の「ビジネスローンは債務超過でも融資可能?【可能性あり】」をどうぞ。
税金・社会保険料の滞納中でも利用できますか?
税金・社会保険料を滞納しているのはマイナスポイントではありますが、滞納が常態化していなければ審査に通る可能性があります。
また、納税証明書の提出を必要としないビジネスローンもあります。
納税証明書を提出しなければ税金を滞納している事実は分かりませんので、審査に通る可能性があります。
詳しくは別記事の「ビジネスローンは税金滞納中でも借りれる?【可能性あり】」をどうぞ。
税金・社会保険料の滞納は資金調達の幅が狭まるので早期解消しましょう
税金・社会保険料の滞納は、銀行・政府系金融機関はもちろん、ビジネスローンやその他の資金調達方法を検討するうえで、プラスになることは一つもありません。
税金や社会保険料を滞納しそうなときは、納税資金を借りてでも早めに滞納を解消するようにしましょう。
リスケジュール中でも利用できますか?
銀行融資をリスケジュールしている企業でも、ビジネスローンは利用可能です。
個人信用情報がブラックでも利用できますか?
ビジネスローンは個人信用情報がブラックだと利用できません。
ビジネスローンは銀行融資と違い、代表者個人の個人信用情報を重視します。ビジネスローン会社が信用情報機関に照会した際に延滞の事実が掲載されていると、審査に通りません。
複数のビジネスローンに申し込めますか?
複数のビジネスローンの申し込みは可能です。
ただし、同じ時間に同時に申し込むと、本来通るはずだった審査が通らなくなります。
なので、複数申し込む場合、まずは1社目に申し込み、審査に通ったことを確認してから2社目に申し込むと、2社目も通りやすいですよ。
詳しくは別記事の「ビジネスローンの複数申込みは可能?【多重に注意】」をどうぞ。
ビジネスローンはリスクがありますか?
ビジネスローンを利用するリスクは下記3つです。
- 金利が高いので収益に影響する
- 銀行・政府系金融機関からの融資に影響する
- 個人信用情報が悪化する
詳しくは別記事の「ビジネスローンで資金調達するリスクとは?【3つ紹介します】」をどうぞ。
ビジネスローンって怪しくないですか?
ビジネスローンの多くは大手企業がサービス提供していますので、全く怪しくありません。
また、街金と呼ばれる中小規模のビジネスローンも、貸金業の登録を受けて営業していますので怪しくはありません。
どうしても心配な方は、金融庁や日本貸金業協会のWebサイトでまともな金融業者かどうか、確認してみましょう。
詳しくは別記事の「そのビジネスローン大丈夫?ヤミ金業者か確認する方法【リスク回避】」をどうぞ。
ビジネスローンとファクタリングはどのような違いがありますか?
ビジネスローンとファクタリングの違いは下記のとおりです。
- ビジネスローン → 融資
- ファクタリング → 売掛債権の売買
詳しくは別記事の「ファクタリングとビジネスローンの違い【どちらを選ぶべき?】」をどうぞ。
まとめ
以上、ビジネスローンの概要や特徴、よくある質問を解説しました。
おわり。